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第67回NHK杯1回戦解説記 宮田敦史六段VS久保利明王将 ~前編~

今週は宮田敦史六段と久保利明王将の対戦でした。

先手番の宮田六段は、詰将棋を解くスピードが非常に速く、終盤力も高いことから「スーパーあつし君」というニックネームが付いています。ネーミングセンス無さ過ぎだろ…

後手番の久保王将は振り飛車党の第一人者で、その華麗な指し回しから「捌きのアーティスト」と呼ばれています。……..こっちはずいぶんおしゃれですね。確かに、「スーパーとしあき君」じゃあ、様にならないですもんね笑

 

本局の棋譜は、こちらのサイトからご覧いただけます。
参考 本局の棋譜NHK杯将棋トーナメント

第67回NHK杯1回戦第9局
2017年5月28日放映

 

先手 宮田 敦史 六段
後手 久保 利明 王将

 

初手から▲2六歩△3四歩▲6八玉△4二銀▲4八銀(青字は本譜の指し手)と進み、そこから久保王将は中飛車に振りました。第1図をご覧ください。
NHK 1
▲4六銀と上がって5筋の歩交換を阻止したところです。
この将棋は振り飛車が先手のときに出現しやすい戦型で、先後が入れ替わっているのはちょっと珍しいです。
久保王将としては、本来、先手のときにしか使えない戦法を後手で採用することが出来たので不満はないはずです。逆に、宮田六段も普段よりも一手早く駒組みが進むので悪くないと考えているのでしょう。

第1図からはお互いに囲いの構築を行い、第2図の局面になりました。
NHK 2
だいぶ進めましたが、互いに平凡に囲い合うと大体、こんな感じになります。特に解説するところが無いんですよね(;^_^A

囲いが完成したので、そろそろ攻めの形を作らなければいけません△3二金→△4四銀→△3三桂と組むのが自然ですが、久保王将はその前に△9二香▲8六歩△9一飛と端攻めを見せて先手陣を揺さぶりました。(第3図)
NHK 3
次に△9五歩から攻めてくるかは微妙なところですが、自分だけ端を攻められる心配をしなければいけないのは実戦的に嫌なものです。宮田六段は手堅く▲8七金と端を強化します。しかし、横からの攻めには弱くなりました。久保王将はそれに満足して△3二金~△4四銀と右辺の駒を活用していきます。(第4図)
NHK 4
宮田六段の方も攻めの態勢を整えたいのですが、▲4六銀⇔△4四銀という関係が互いに仕掛けを封じていて、攻めの糸口が見えにくい形です。加えて、角を打ち込まれる隙を作らないようにしなければいけないので駒組みの制約が大きく、それも打開を難しくさせている要因です。

動くなら第4図で▲2四歩は有力でした。以下△同歩▲同飛に△3三桂や△4九角が候補手でいい勝負です。ただ、先手玉は金銀から離れていて、ここで戦いを起こすのは選びにくい印象を受けます。本譜は無難に▲1六歩△3三桂▲1五歩と端歩を伸ばしました。しかし、△2一飛と2筋交換を受けられた局面は、もう先手からの打開は難しくなっています。(第5図)
NHK 5
有効な仕掛けを見出すことができなかった先手は、失敗を認めてここから待機策へ移行します。第5図から▲6八金~▲7八玉と形を整え、その後は▲8八金~▲8七金や▲8八玉~▲7八玉でひたすら待ち続けます。感想戦で宮田六段は「千日手はしょうがない」との事でした。

先手が待機に徹している間に、後手は4四の銀を銀冠にくっつけて、より良い陣形を作り上げます。(第6図)
NHK 6
さて。第6図の局面は、後手に千日手の権利があります。△4二金~△3二金を繰り返せば千日手だったでしょう。
しかし、振り飛車側からすると、後手でまあまあ模様の良い序盤を千日手でリセットしてしまうのは、いささか口惜しい感もあるんですよね。久保王将は△5一飛と誘いの隙を見せます。場合によっては、△4五歩~△5五歩で打開する筋も視野に入れていたのかもしれません。

ただ、この手は▲2四歩からの仕掛けを与えています。宮田六段は咎めるべく、▲2四歩△同歩▲同飛と動きました。(第7図)
NHK 7
第7図のような、角交換振り飛車で2筋を交換されたときの対処法ですが、一番やってはいけない手が△2三歩です。これでは「一歩を交換する」という相手の言い分を無条件で飲んでいるので、感心しません。相居飛車と違って、玉が遠い場所にあるので、2筋は真面目に受けるところではなく、適当に受け流すのがコツです。

という訳で、久保王将は△4八角と打って飛車が移動した隙を突きます。この辺りは互いに相手の指し手を悪手にさせようとしていますね。

宮田六段は▲3五歩と突いて、桂頭を攻めました。(第8図)
NHK 8
前篇はここまでにします。

桂頭を攻められている久保王将ですが、どのように対応すれば良いでしょうか?

では続きは後編で。ご愛読ありがとうございました!

 

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