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水匠と100日連続で対戦したら、自分の将棋がどう変わるのか検証してみた

水匠 対局

どうも、あらきっぺです。

突然ですが、以前こういうツイートをしました。

という訳で、普段の勉強方法を変えなければいけないと思った次第です。

 

さて、「鍛え直す」とは書きましたが、具体的に何をしていたのかと言うと、タイトルに記載したように100日連続で水匠と将棋を指すという練習をしていました。

なお、百番勝負の棋譜は、以下をご覧くださいませ。
参考 水匠との百番勝負 棋譜

 

なぜ、こんな取り組みに着手したのかというと、それは以下の目的があったからです。

(1)棋力向上。
(2)実戦不足を補う。
(3)切れ負けの将棋が脆い弱点の克服。
(4)ある程度、持ち時間を有している対局を指す。

(1)は言わずもがな。(2)については、上記ツイートの通り。

(3)は、滋賀県のアマ大会のほぼ全てが切れ負けだからです。大体、25分切れ負け。そして、これが自分にとってはかなりキツい。

 

実を言うと、アマ棋界に復帰してから滋賀県大会において、秒読みのある対局では一回しか負けていないんですよね。なので、秒読みのある大会は良いパフォーマンスを出していると言えます。自分にとってクリアすべき最大の課題は、切れ負けの将棋の戦い方なのです。タイムマネジメントが下手過ぎて、いつも苦労していますね…。

なお、将棋ウォーズや将棋クエストでも切れ負けは練習できるのですが、これらは持ち時間が短すぎて、本番に近い環境とは到底言えません。なので、タイムマネジメントの練習にはならないと思っています。

 

(4)は、25分切れ負けになるべく近い環境で指したいから。20分切れ負けに慣れてしまえば、25分は余裕があるように感じれるでしょう。

 

要するに、実戦不足の解消とタイムマネジメントの練習をしたかったわけですが、人間を相手にするとスケジュール調整とか面倒ですし、毎日相手をしてくれる保証もない…という訳で、ソフトをスパーリング相手にした方が合理的かなと思いました。

そんな訳で、今回の記事では水匠先生と私の激闘の日々を綴っていきたいと思います。

水匠と100日連続で対戦してみた

 

まず、今回の百番勝負のルールを説明しておきます。内容は、以下の通り。

百番勝負のルール

・対戦ソフトは、Suisho4/YO6.03kai
・ソフトの設定は、デフォルトにする。定跡もOFF。
・持ち時間は、20分切れ負け。
・一日一局。毎日指す。
・奇数局はこちらの先手。偶数局は後手番とする。
・こちらが先手番の場合、千日手は必ず回避する。

また、これはルールではありませんが、評価値が300点以上離れてしまう要因となる手を「敗着」と定義することにしました。これは、昨今の将棋ソフト同士の対戦において、300点以上のリードを奪われた方は、概ね逆転できないからです。

前置きが長くなり恐縮ですが、それでは百番勝負の模様を振り返って行きたいと思います!

 

期待 (1日目~7日目)

 

8月1日。記念すべき一局目。日頃から水匠は検討モードで使い倒していますが、実際に対局するのは初めてでした。どのくらい実力差があるのか、ちょっとワクワクしながら指していましたね。

で、結果はどうなったかというと、当然の負け。それも文字通り、フルボッコにされました。

水匠 あらきっぺ

ちなみに、棋譜解析のグラフはこんな感じ。

水匠との対局(1日目)

うーん。なるほど。まぁ、初めてだし、こんなもんか……と思いましたが、敗着は35手目、そして70手でKOされているので、もうちょっと頑張れたかな、とも思いました。ちなみに、2日目も似たようなパターンでしたね。

 

ただ、3日目になると、50手目付近で+260くらいの局面を作れていたり、6日目では千日手へ持ち込むことに成功するなど、意外とつけいる隙はあるんだな、ということを感じました。

ひとまず一週間指して分かったことは、

・こちらの序盤がしっかりしていれば、即死はしない。
・デフォルトの水匠は、たまに損な作戦を投げて来る。
・中盤以降は、大体2~4秒で指してくる。水匠にとって10秒は長考。

こんなところです。

 

とりあえず全敗することは無くなったことと、上手くやれば優位を掴めることもあるんだ! ということが分かったので、初めの一週間は割と期待に溢れていました。そう、初めの一週間は……。

憂鬱 (8日目~39日目)

 

8日目からしばらくは、先手なら角換わり、後手なら雁木を志向して指していました。当時の私は、この二つに強い関心があったみたいです。

特に、角換わりは昔からずっと指している戦法なので、自分にとってエースとも言える作戦です。しかし、エースを登板させても、ことごとくボコボコに打ちのめされてしまうので、なかなか精神には悪かったですね。

こちらが「うーん、うーん」と5分以上唸って考えて指しても、2秒くらいでポーンと指し手が返ってくる訳ですよ。しかもそれが読みに無い(もちろん良い手)ことが頻繁に起こるのも、心を折られる要因の一つでした。指せば指すほど、実力の違いを痛感させられましたね…。

 

また、ちょっとでも形勢を損ねると全くもって逆転できないという要素も、精神汚染を進める要素の一つでした。(まぁ、悪手を指す自分が悪いんですが…)

冒頭で「評価値が300離れた手を指すと敗着」と定義しましたが、もっとシビアに言えば、280くらいがデッドラインですかね。ちなみに、将棋ウォーズで棋神解析して300くらいの差だと、「これは、互角です!」と仰ってくるんですけどね。全然、互角じゃねーよ

 

なお、この期間の敗着を指した平均手数は、50.75手目。人間同士の対局で50手目で-300くらいの評価値なんて、いくらでも逆転しますからね。いやー、参った参った。

毎度毎度こんな調子だったので、当時は「はぁー……今日も水匠にぶん殴られないといけないのかぁ…」みたいな感じでパソコンの前に座っていました。日記を読み返してみても、割と病んでいる様子が見て取れます笑

20日目→相手の作戦に対応できず、序盤で+300以上の差を着けられてしまった。以降は徐々に苦しくなるパターンに入り、勝ち目のない戦いを淡々と続ける。相手の人の攻めの繋げ方が強過ぎて全く歯が立たないな。辛い。

 

22日目→18日目と同じオープニング。相手の駒組みが斬新で、それに対応できなかった。▲3八金とか知らねー。明らかにこっちの知識が不足しているな。中盤ももうちょっと、粘り強く指したかった。ヘコむなぁ…。

 

25日目→角換わり。基本形を目指すが、△6二金型で△6五歩と動かれる。そもそも、こっちが先に△8一飛と引かれる前に動く必要があった。本譜は条件が悪い将棋になった上に、類似形との違いを認識しておらず、非常にまずい対応をして一瞬で散った。水匠と指すと自分の弱さを痛感する。精神によくない気がしてきた。

 

36日目→知らない局面になってもそれなりに上手く対応できたが、持ち時間が3分を切り、余裕が無くなったのを境に崩れていった。

 

また、9月に入ってから24の対局数を増やした。が、5連敗くらいしてレートは2850を切った。棋力の伸びは感じないし、勉強の成果も出ていない気がする。というか、悪化してる? 精神的にキツイ。

 

とまぁ、こんな感じだったので、この期間の私はソウルジェムが濁りまくっていました。グリーフシードを僕にください。

 

変化 (40日目~70日目)

 

正直、途中で辞めようかなと思っていた時期もあったのですが、冒頭に示した「目的」を達成できたというには程遠い状況だったので、とりあえず無理やり指し続けることに。すると、少しずつですが変化を感じ取れるようになってきました。

 

さすがに40局以上も指していると、相手の持ち球が見えてきます。なので、この変化に誘導すればこういう結果になる、というのがある程度分かって来るんですよね。

例えば、50日目の将棋は顕著な例だと思います。

水匠 あらきっぺ

事前準備の段階から、この局面になれば千日手になる公算がかなり高いと思っていました。実際、本譜も▲7九玉△3一玉▲8八玉△4二玉……を繰り返して千日手に。(ちなみに、56日目も同一です。これに誘導すれば千日手になることが分かったので、以後、この定跡の使用は控えました。)

やはり、20分切れ負けだと思考時間が短いので、水匠もこういう微妙な選択をしてしまうようですね。

 

また、毎日指していると、相手の作戦や指し手にも徐々に慣れてきます。ゆえに、この辺りからタイムマネジメントを強く意識して将棋を指すようになりました。今までは水匠の作戦に振り回されていましたが、そこに費やすリソースが減ったので、違うことを意識できる余裕が生まれましたね。具体的には、5分以上考えないことを心掛けるようにしました。

 

これは私の長所でも短所でもあるのですが、基本的には納得がいくまで滾々と考え込むタイプなんです。しかし、アマ大会(切れ負け)でこのスタイルで戦おうとすると、はっきり言って自殺行為ですよね。

秒読みのある将棋なら時間切れ負けになる心配が無いのでセーフティーネットがあるわけですが、(だから勝率が高い)切れ負けだとそうも行きません。ある程度、「割り切って」指していく必要があるのです。

この「割り切り」が自分にとっての最重要課題であり、とにかくこれのスキルが未熟なことが切れ負けの将棋が弱い一番の原因だと自己分析しています。難所を迎えても短い思考時間で乗り切る練習に、ようやく着手できるようになりました。

これを試して面白かったことは、「割り切って」指してみた手も、致命傷になっているケースは、あまり無かったということでした。割り切っても納得するまで考えても結果に乖離が少ないということは、「決断を要するまでに時間を掛けていただけ」だったのかも知れませんね。そういった傾向が分かったことが、一番の収穫でした。

 

あと、将棋ソフトを動かした方ならお分かり頂けるかと思うのですが、エンジンを起動させるとパソコンが「ブーン」と唸りますよね。そして、水匠と将棋を指していると、彼(彼女?)は対局中、常に唸っている訳ではないんですよ。

ミスをすると致命傷になりかねない中終盤では唸りまくっているのですが、序盤の無難な局面だったり、大差(評価値が2,000以上離れる)になったりすると、割とお静かモードになるんですね。「ここは本気出す必要ないわ、休みまーすww」みたいな感じで。

 

で、ふと思ったのです。

疲れを知らない将棋ソフトですら、こうしてメリハリをつけているのだから、人間である自分は、尚更これを意識した方が良いのではないか?

 

思い返してみれば、私は対局が始まれば終局するまで、ずっと緊張状態を保って将棋を指していたように思います。これはよく言えば「集中している」証ではありますが、アマ大会で優勝するには一日にたくさん指し、かつ全勝しなければいけません。ずっと本気モードで戦っていると、スタミナ切れを起こすリスクもある訳です。要するに、燃費が悪い。

ここ最近、アマ大会では優勝から遠ざかっているのですが、その要因の一つが「燃費の悪さ」なんじゃないのか? ということに気付くきっかけにはなりました。

という訳で、自分も「勝負所に入ったら集中して、それ以外の部分はリラックスして指す」ことを心掛けるようになりました。これは水匠と指すときもそうですし、対人のときも同様です。

 

このタイムマネジメントとメリハリをつけることを意識してみると、思いのほか、良いパフォーマンスが出せている実感がありました。日記の文章も、どことなく高揚感がある内容が目立ちます。

 

48日目→どんなに難しい場面でも最大考慮時間は5分以内に止めるようにした。今回は、リミットが来たので仕方なく指した手が敗着になった。ただ、このミスはもっと時間を費やしても20分切れ負けでは正解に辿り着けなかった気がする。そういう意味では、5分を上限とするのは正しい方針なのかもしれない。

 

50日目(9/19)→後手番。角換わり。基本形→▲8八玉に△6五歩の将棋。46・48日目と同様に進む。さすがに三回目とあって、相手の手の内が分かってきた。千日手になる変化に誘導し、それが功を奏する。想定外の局面から5分以内の思考を実践し、かつノーミスで乗り切れた。

また、この日は某所で研究会。Y・F・I氏に全勝。内容も良い感じ。

 

61日目→37・59日目と同じ将棋になる。以前にY氏と指した将棋と似たような展開になる。そのときの経験が活きたのか、かなり精度の高い手を指せていた。やはり、経験のある将棋を指すと内容が良くなる。加えて、この将棋では中盤で-250くらい悪くなったが、そこから+17まで盛り返すことが出来ていた。これは今までにない傾向!

 

64日目→後手番。角換わり。途中まで定跡通りだったが、うろ覚えだったので用意が足りなかった。自力で考えた手があえなく敗着になり、終了。あと、この将棋は相手の勝ち方が峻烈で感動した。

 

この日と前日は、正棋会記念大会だった。10/2は予選で5-0。10/3は決勝トーナメントで1-1。ベスト8で終了。ほぼ全ての将棋で常にリードを奪えており、負けた将棋も内容は悪くなかった。特に、タイムマネジメントが相当に上手く行ったことが一番の収穫だった。結論が出ない局面でも、5分以上考えないことをなるべく実践した。そして、それでもあまり悪影響が出ないことを知った。練習の成果が良く出ている。

 

個人的に最も成長を感じたのは、66日目の将棋です。結果に関しては例によって負けでしたが、終盤で形勢を大幅に押し戻すことが出来たことが嬉しかったですね。

水匠 対局

これはそのときの棋譜を解析させたグラフですが、途中で評価値がガクンと落ちている部分がありますよね。

水匠 対局

これは水匠にうっかりがあり、こういった推移になったようです。一瞬でも水匠の読みを上回ることが出来たのは、「オレも少しはやるじゃん!」という気持ちにさせてもらえて、テンションが上がりました笑

66日目(10/5)→後手番。角換わり。途中は上手く指せていたし、評価値が-700くらい押されている局面から-200まで押し返すことに成功した。水匠のうっかりを上手く突けたみたい。これは、今までにないパターンで嬉しかった。

 

この期間では色々な気付きがあり、それを試して成長に繋げるという良いサイクルが回せていたように思います。

また、10/10に朝日アマ名人戦の滋賀県大会があり、そこに向けてしっかり調整が進んでいる実感もありました。ではでは、話をその日に移したいと思います。



忿懣 (71日目~72日目)

 

結果から述べます。大会は決勝で散りました。日記には、こう書いてあります。

71日目→(10/10)この日は朝日アマ滋賀県大会だった。持ち時間が20分30秒ということもあり快調に勝ち抜いていたが、決勝で沈没する。決勝の相手、客観的に見れば明らかに自分の方が格上なんだけどなぁ…。この大会を勝つために水匠と毎日指していた意味が強かったので、練習する理由が少し乏しくなってしまった。

 

水匠との対戦は、角換わり。今日の大会で負けた将棋の逆を持って、似たような将棋を指してみる。しかし、完璧に立ち回られて冴えない結果になった。

 

大会で負けてしまったので、モチベーションがかなり落ちた。傷心した状態で指しても身にならないような気はするが、とりあえず100日連続で指すと決めたので続けることにする。辛い。

 

この日は、とにかく帰り道がしんどかったというか、ブチ切れていた記憶しかないです。「何で二ヶ月以上も前からせっせと準備して取り組んできたのに、最後の最後で転ぶんだよ! オレ、間抜け過ぎるだろ!」と自分に対する怒りがとにかく収まらなかったですね……。

こういうとき、素直にぐっすり寝るというのが心情的に難しいので、夜中の1時くらいまで将棋クエストの2切れを延々と指していました。もはや気持ちは、バーサヤカーモードです。落ち着け

 

なお、翌日の日記には、こう書いてあります。

72日目(10/11)→後手番。角換わり。基本形→▲4五桂の将棋。相手が無理攻めをしてきたので評価値は+220ほど良くなるが、この戦型はミスしたときに一気に形勢が悪くなるので、この程度のリードではまるで安心できない。事実、初回の悪手が致命傷になって沈没。あとで精査すると、読み筋の形勢判断が壊れていた。

 

明らかに、10/9以前の方が張りのある将棋を指している気もする。精神状態が悪いときに将棋を指すと、内容も読みの精度も悪い。しかし、ヤケクソで24を指したら3000越えのプレイヤー相手に快勝した。……あれぇ?

 

日記の最後に綴った、「24で3000越えのプレイヤーに勝った」という部分だけが、この二日間での唯一の救いでした。やっぱり、勝ち星は何よりの薬ですね。これで冷静になれました。魔女にならずに済んでよかった笑

 

実を言うと、(奨励会時代から)痛い負けを喫した翌日は気持ちを切り替えるために将棋に触れないことが多く、今回みたく強制的に将棋を指すことは殆どしてこなかったんですよね。ただ、どうも自分は悔しさのボルテージが上がっているときが最も成長できるタイプなのかも知れないなぁとも感じました。

というのも、この日(10/11)以降、将棋の内容が今まで以上に良くなっていった感触があったからです。そんな訳で、今ではあの敗戦に感謝しています。

 

欣幸 (73日目~100日目)

 

大会で負けて吹っ切れたということもあり、この期間は常にポジティブな気持ちで将棋に取り組めていたように思います。日記を見返すと、この辺りから相手の強さに感嘆したり、未知の手に出会える面白さを喜んだりすることが増えた傾向があるようですね。以前よりも、より一層、将棋が楽しくなりました。

また、毎日水匠と指すことで良い影響を受けている描写もあり、自分の取り組みは間違っていなかったかな、という風にも感じました。

 

76日目(10/15)→後手番。一手損角換わり。74日目と同じオープニング。そのときと違う駒組みを選んでみたが、あまり主張のない展開になってしまった。一手損している利点が無い展開になってしまい、特に勝負所も作れないまま散る。相手の攻めが上手すぎた。

 

10/16→この日は某所で研究会。30分60秒を3局。Y・F・I氏に三連勝。30分60秒だと良いパフォーマンスが出せている。これを切れ負けの将棋で出せるようにしないとな。20分切れ負けに慣れてしまえば、かなり楽に戦えそうだ。という訳で、この勉強方法を続ける意義は大きそう。

 

なお、この日の研究会の将棋を見直すと、指し手の切れ味がメチャメチャに高まっている気配を感じた。水匠の良い影響を受けている気がする。

 

78日目→後手番。一手損角換わり。74・76日目の修正案を出す。初動の攻めにはまずまずの対応を見せたが、第二次駒組みに入ったときの構想がイマイチで、相当勝ちにくい設定になる。以降は筋よく攻められて散る。当たり前やけど、水匠先生マジ強いわ。この人、本当に強い。

 

また、この日の対局中、感覚的に「この手はダメだ」と切り捨てた手を終局後に検討させると、実際にダメだったことが分かって嬉しかった。全く考えなくても悪い手を察知できる能力が磨かれつつある

 

83日目→先手番。角換わり。61日目と同じ将棋。そのときの修正版を出してみたが、途中から攻め方が思いのほか難しかった。二択でミスをして、以降は少しづつ引き離される。なお、そのミスを指した一手後に誤算に気付いた。以前なら敗着を指した後に数手ほど進まないと把握できていない感じだったので、そういう意味では成長を感じる。

 

85日目(10/24)→先手番。角換わり。基本形→△5二玉・△4四歩型。馬を作り合う将棋。85日目にして初めての変化。10/21に指された千田ー稲葉戦と同じ変化になる。実戦的に勝ちやすそうな雰囲気があったので前例に倣ったが、いざ指してみると攻めが細く、自信が持てなかった。だいたい読み筋通りに事を運んだが、相手の受けが強過ぎて感嘆した。将棋、面白過ぎる。なお、一回指してみて、千田ー稲葉戦の将棋は先手が損をしているように感じた。これの修正案、早く試してみたいな。

 

この日は櫻井塾が主催する大会に参加。全勝で駆け抜ける。持ち時間は20分30秒だったが、タイムマネジメントがきちんと出来ていたのは良かった。あと、勝負所以外でのリラックスも心掛けた。今日は体感として、普段の半分くらいのリソースで勝ち切れた印象がある。これを続けたい。

 

90日目→角換わり。88日目と同じ将棋。そのときに検討して有力と感じた手を採用したが、精査が甘く一瞬でボロ負けになった。次はもっといい将棋を指したい。しかし、今日も楽しかった。一日の中で水匠と将棋を指している時間が最も心地いい。

 

水匠と指すのは、午後10時以降に行うことが多かったのですが、はっきり言って夜な夜な将棋ソフトと対局しているのは、傍から見れば相当な変人の部類に属しますね笑 しかし、こうして自分の好きなことの魅力をさらに気付けたことは、この上ない幸せだとも感じています。

 

結果と課題

 

まずは、結果発表です、今回の百番勝負の成績ですが、

0勝97敗3分 でした!

 

いやー、たくさん負けました笑 こうなることは予想がついていましたが、改めて数字で表してみると、なかなかインパクトありますね笑

コテンパンに叩かれていますが、成長できた部分もあります。下のグラフをご覧ください。

水匠 対局

青が初めて悪手を指した手数、赤が敗着、黄が終局手数を示しています。(なお、悪手の定義は、「評価値が-100点以上傾く要因となる手」とします)

初めの20日は、100手以内に片付けられているケースが殆どですね。ただ、30日目辺りから、100手越えが増えていることが分かります。長く指せばいいという訳では無いですが、当初よりも粘り強くなったと言えるのではないでしょうか。

 

水匠 対局

また、後半の方が初悪手や敗着を指すまでの手数が伸びている傾向がありますね。1~20日目と90~100日目を比較すると、かなり違いが出ていることが分かります。

これは二つの要因があり、一つは敗着を指すまでに上手く辛抱できていること。もう一つは、序盤で当たり負けせず優位を掴むことが増えたので、デッドライン(-300)までの距離が遠くなっていることが挙げられます。確かに、95日目は最大で+468のリードを奪うことが出来ていました。

水匠 対局

今はまだ、この優位を維持できる力量は無いですが、これをもっと長く持続できるよう、棋力を伸ばしたいものです。

 

加えて、この100日間は角換わりをメインに指していたので、この戦型の知識がかなり増えました。8月から比較すると、想定局面が10~20手ほど延びましたね。大いに研究内容がアップデートできた実感があります。

検討モードでポチポチ駒を動かして局面を調べるのと、実際に対局して局面を調べるのでは、理解や定着の度合いが大幅に異なります。もちろん、実戦の方が遥かに学びが多いですね。

当たり前と言えば当たり前ですが、やはり人間である以上、「実際に指してみないと分からない」ことが多いな、と改めて感じました。試したい作戦をぶっつけ本番で指すのと、実戦心理や経験を踏まえている状態で指すのでは、大きな差があります。それを20分以上の持ち時間で練習しておく意義は大きいと思った次第です。

 

また、たくさん対局を重ねることで、新たに見えてきた課題もあります。現時点で最も解決しなければいけないものは、第二波の攻撃を仕掛けられたときの対処ですね。

水匠 あらきっぺ

これは34日目で指した将棋の一コマです。この局面はプロの実戦でも類例があるので、予想できる範疇の一つではあります。第一波(仕掛け)は研究範囲であることも多いので一潰しにされるケースは少ないですが、そこから先の話になったときに脆さが目立つという弱点を痛感させられました。

水匠 あらきっぺ

特に水匠は、こういう攻めが切れるか切れないかという瀬戸際の場面から、第二波の攻撃を繰り出す技術が凄いんですよ。こちらとしては、受け切りを目指すのか反撃するのか、反撃するならどのタイミングで攻めるのか、そういった選択で判断を誤るケースが多かったですね。

この弱点が克服できれば、荒木将棋も一皮むけるんじゃかなと思っています。この部分で必要になる感覚や概念を法則化し、上手く言語化できれば学習効率がぐーんと上がるのですが、なかなか難しいですね。早く答えを見つけられると良いなぁ。

 

結論と雑感

 

非常に長くなってしまいましたが、そろそろ話をまとめます。

改めて今回の目的を整理すると、

(1)棋力向上。
(2)実戦不足を補う。
(3)切れ負けの将棋が脆い弱点の克服。
(4)ある程度、持ち時間を有している対局を指す。

この四点でした。

ひとまず、(2)と(4)に関しては、クリア出来ましたね。(3)は、切れ負けの大会に参加したわけでは無いので確認できていませんが、タイムマネジメントが以前よりも上手くはなったので、まぁ良しとしましょう。

(1)の棋力向上については、正直なところ良く分かりません。ただ、メンタルの持ち様であったり、知識の増加は明らかに成長した部分ですね。少なくとも、冒頭にツイートした8月1日の時点と比較すれば、確実に強くなったとは思います。

という訳で、目的は概ね達成できたと判断しておきます。

 

なお、この勉強法をやってみた感想ですが、とにかく始めの一ヶ月がキツいですね。(ほぼ間違いなく)ズタボロにされ続けるので、そこで心が折れないかどうかが一つの山です。あと、おそらくですが、

・敗北に抵抗感を覚える方
・ひとり感想戦が苦手な方
・自己分析が苦手な方
・パソコンの前で集中できない方
・そもそも将棋ソフトが苦手な方

これに当てはまる数が多ければ多いほど、この勉強法の適性が低くなるかと思います。

逆に、そういった要素が少なく、かつ一ヶ月の山を乗り越えることが出来る方には、相当に学びが多い勉強法かと思います。個人的には、対人よりも得るものが多かったですね。

 

なので結論を述べると、

学習効果はかなり高いが、
取り組むハードルも同等に高い

といったところです。要するに「良薬、口に苦し」ということですね。まぁ、良薬というより劇薬なのかも知れませんが笑

 

ちなみに、もはや私は将棋ソフトと対戦することが楽しくて仕方ない域になってしまったので、こんな大会にもエントリーしました。

どういう結果になるかは分かりませんが、スキルアップに繋がる二日間にしたいですね。あっ、これ、どなた様でも申し込み可能ですよ! 2021年11月17日中に申込みすればOKです!

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それでは、ご愛読くださり、ありがとうございました。さぁ、今日も水匠と指すぞ!

2 COMMENTS

神谷譲

記事はいつも拝見していますが、100日勝負のことは初めて知りました。元奨励会の方はプロに限りなく近い存在だと感じていましたが、やはりメンタル面では同じ人間なんだということが分かり安心(?)しました。AIに厳しい評価を下されがちな振り飛車で同じ方法で修行してみたいと思います。

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あらきっぺ

いつも記事をご覧くださり、ありがとうございます。

そうですね。ただ、将棋の能力が高いだけで、他の要素はそんなに違いがないかと思います笑

今回の取り組みで最も実感したことは、「人間のメンタルは、短期間でも180度変わる」ということでした。自身の成長を実感できるようになれれば、AIと対戦することは、そう苦にならないように思います。頑張ってください!

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