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毎日次の一手(2019.9.30)

毎日次の一手

 

どうも、あらきっぺです。今日も次の一手に取り組んでいきましょう。

今月は、「攻防手」をテーマに問題を出題します。

 

注意事項

 

・問題は、主にあらきっぺが指した将棋を基に制作しております。なるべく答えが一通りになるように局面を編集しておりますが、人間なのでミスがあることもございます。大らかな目でご覧いただけると幸いです。

 

・問題の難易度としては、主に有段者を対象に想定しております。したがって、級位者の方々には些か荷が重いかもしれません。ただし、解答及び解説は丁寧に記しておりますので、難しければ解答だけでもご覧ください。

 

「ご挨拶」の記事でも記している通り、問題の無断転載は、ご遠慮お願い致します。

 

昨日の解答

 

それでは、答え合わせです。優位を維持することが目的でしたね。

 

次の一手

正解は、▲4八飛成です!

 

次の一手

4一の飛を自陣に引きつける手が正解でした!




解説

 

問題図は、先手が飛角得という圧倒的な駒得ですが、自玉が後手の攻撃陣に包囲されているので容易ならざる局面を迎えています。

 

次の一手

後手玉も大いに露出しているので危険な状態ではありますが、ここで▲1五歩と叩いても△2三玉で特に成果は上がりません。(A図)

また、▲4八金と受けるのは△4七香が鋭く、これも無意味な手に終わります。

他には▲1五金△同玉▲2六角で成桂を抜いてしまう手も考えられますが、△1四玉▲3七角△3八金と進められると、どうも芳しくありません。(第1図)

 

次の一手

後手は成桂を失いましたが、その代償に金を得ています。つまり、後手にとってこの応酬は損失がないので、寄せに悪影響が及んでいないのです。

第1図は角取りと△6八歩成▲同玉△6七銀打からの詰めろが同時に受からないので、先手は受けに窮していると言えるでしょう。

 

 

改めて、問題図に戻ります。

次の一手

確かに3七の成桂を除去するのは良い着眼点ですが、それに偏重してしまうと後手玉に脅威を与えることが出来ないので、寄せに専念されてしまうことになります。

したがって、問題図では3七の成桂を責めながら後手玉に迫る手が求められており、それが▲4八飛成なのです!(解答図)

 

次の一手

駒の損得勘定を完全に無視していますが、先手は元より飛角得しているので、このような荒技が成立しています。

ここで後手は本音を言えば△4七香と指したいのですが、それには▲1八竜が鋭い一着。以下、△1五歩に▲同竜と食いちぎってしまえば、後手玉を即詰みに討ち取ることが出来ます。(第2図)

 

後手は△同玉と応じる一手ですが、▲2六金△1四玉▲1九飛△2三玉▲1四角△2二玉▲3二角成△同玉▲1二飛成と追いかければ後手玉は詰み筋に入っていますね。(B図)

 

改めて、解答図に戻ります。

次の一手

要するに、この▲4八飛成は詰めろ逃れの詰めろになっています。そうなると△同成桂▲同玉と進むのは妥当ですが、これで先手玉は広い格好になりました。

後手はそこから△1七飛と攻防手を放つのが一案ですが、▲2七金△1八飛成▲2八飛で再び相手の攻め駒にアタックしましょう。自玉の広さを保つことがこの局面の急所なのです。(第3図)

 

次の一手

後手は飛車を渡すと▲1一飛が厳しいので△1九竜とかわすことになりますが、先手に待望の手番が回ってきました。まずは▲2六桂で後手玉を下段に落とします。これに△2三玉は▲1四角がうるさく、後手は適切な対処がありません。(C図)

よって、▲2六桂には△1三玉と引くことになりますが、▲1四歩△1二玉で後手の入玉の可能性を撲滅させてから▲4七玉で上部脱出を試みるのが、クレバーな勝ち方になります。(第4図)

 

先手は5六の金を移動させてから▲5六玉→▲6五玉という要領で玉を行進していけば、確実に入玉できる態勢ですね。ここで△4九竜▲4八歩△4三香と迫られても▲4六金と受けておけばノープロブレムです。

 

第4図は後手玉をすぐに寄せ切れる訳ではありませんが、こちらの入玉が約束されているので先手が優勢と判断できるでしょう。

 

問題図では、駒得を活かすために長期戦へと持ち込むことが急所でした。そのための第一歩が▲4八飛成だったという訳ですね。

 


お知らせ

 

本日をもって、毎日次の一手を終了します!

もともとキリの良いところで終わろうとは考えており、今日の記事でちょうど一年を迎えるので、良い区切りかなと思いました。大きな事故や病気に見舞われることなく、毎日欠かさず更新できたことは良かったかなと思っています。

ただ、今年に入ってからは記事の内容が「NHK杯」と「最新戦法の事情」と「毎日次の一手」の三種類に偏っており、ちょっとマンネリ化してきたなという実感もあるので、変化を求めたいという気持ちもありました。

ちなみに、自分はまだまだ書いてみたい記事があるので、ブログへの意欲が落ちたという訳ではありません。その点につきましてはご安心ください。

 

毎日次の一手を終了することで、しばらくはブログの更新頻度が落ちることが予想されますが、当ブログがより充実していくための変革期と受け止めてくだされば何よりです。

これからも、あらきっぺの将棋ブログをよろしくお願い申し上げます。

4 COMMENTS

たむら

お疲れ様でした。ここ数日難問が続いていたので疑問に思っていましたが納得しました。これからも頑張ってください。

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あらきっぺ

労りのお言葉、ありがとうございます。難問にお付き合いしてくださり、ありがとうございました!

これからは、今まで以上に読者の方々にお役に立てる情報を発信していけたらと思っています。

返信する
ななみ

あらきっペ先生、いつもブログで勉強させて頂いております。また、著書もすべて読ませて頂きました。ありがとうございます。

今回、ご相談したいことがあり、コメントさせて頂いた次第です。

今、私は、将棋倶楽部24で、2000から2100の間で推移してる状態です。(最高点は、2200)
この実力で、2年間ほど変わってなくて、困っています。
自分なりに勉強法や棋風改革等、いろいろ行ってますが、いまいち手ごたえがありません。
何か良い策があるのか、それとも、まだ勉強時間が足りてないだけなのか、あらきっペ先生のご意見をお聞かせ願いたいです。以下に今の現状を記します。

詰め将棋(5手から15手)、囲い崩しの問題、必死の問題、逃れ将棋、次の一手問題、
これらの問題集が5〜6冊あるので、毎回10問程度といて、繰り返しています。
今までに30周以上はしたかと思います。
解いてると言うよりは、筋を忘れないように確認程度で繰り返している、と言う感じです。

次にウォーズ10分切れを3局、将棋倶楽部24(早指し)を1局、
対局後はAIの解析を見ながら、感想戦を30分くらいします。AIは、水匠、KENTO、Bonanza、の3つを使って、一番自分の棋風に合う納得する手を採用する様にしています。必要あればパソコンに記録して、忘れた頃に復習する様にしています。
尚、平日は仕事等で忙しい時は、対局数が減りますし、休日時間あれば将棋倶楽部24の回数を増やしています。

あとは、棋譜並べしたり、このブログを読んだりしています。
勉強時間は、平均すると、一日2時間程度かと思います。
上記の内容で、対局+感想戦を70%、問題集を20%、その他10%としています。

使用している戦型は、角換わり(腰掛け銀か、右玉)右四間飛車(相手が矢倉、雁木、ノーマル振り飛車の場合)です。
その他は、状況によっては雁木、相掛かり等も指しますが、主には角換わりと右四間飛車です。
自分の傾向としては、どちらかといえば持久戦派です。急戦は、たまに指しますが、あまり得意ではないかなと思います。手将棋になるとかなり苦手で、たいがい負けてます。

正直なご意見、ダメ出し等、お願いします。
長文になりまして、申し訳ないです(^_^;)

返信する
あらきっぺ

ブログや拙著をご覧くださり、誠にありがとうございます。

さて、ご質問についてです。日頃から熱心に将棋に取り組んでおられるようで、素晴らしいですね。
特に、対局+感想戦をメインにしつつ、他の勉強方法も満遍なく行う配分は、とても良いと感じます。
ただ、勉強方法の内容については、二点、気になる部分がございますゆえ、以下に詳細を記します。

============
【問題集系について】

詰将棋や次の一手、囲い崩しなど、様々な問題集に取り組んでおられるのは良いことです。
ただし、「解いてると言うよりは、筋を忘れないように確認程度で繰り返している」という状況は、良いことではありません。

こうした問題集に取り組む目的は主に二つあり、一つは「読みの力の強化」。もう一つは「手筋(知識)の習得」です。
同じ問題を繰り返すと、問題の内容を「覚えて」しまうので、考えることは放棄しています。ゆえに、「読みの力の強化」を達成することが出来ません。
並びに、同じ問題を繰り返すことで、違う手筋(知識)の習得機会を損失している節もあります。
それゆえ、問題集系の取り組みに関しては、学習効果が低くなっていることが予想されます。
例えるならば、味の無くなったガムを噛み続けているようなものです。

改善案としては、もっと新しい問題にチャレンジすることを推奨いたします。
同じ問題集を周回して反復練習することも大事ではありますが、それは3~4周程度に控え、
それが過ぎれば別の問題集に取り組む方が良いと考えます。

【実戦について】

継続的に実戦を続けていることは良いことです。
ただし、もう少し切れ負けの将棋の対局数を減らし、代わりに秒読みの対局を増やすことを推奨いたします。
理由は、切れ負けの将棋は終盤戦でどうしても時間が少なくなり、その部分をきっちり考えることが難しくなるからです。ゆえに、切れ負けの将棋では、終盤力が培いにくい嫌いがあります。

秒読みがついている対局なら、その心配は無いので、[序盤・中盤・終盤]漫勉なく強化できることが期待できます。したがって、そちらを増やす方が学習効果が高いと考えます。
同時に、秒読みの対局では、一手ごとに時間ギリギリまで考えることをお薦めします。そうした思考の集積が、あなたの力になっていきます。

対局後に、AIの解析を見て感想戦を行っているのは、良い習慣ですね。
並びに、複数のソフトを用いて検討するのも良いことです。その方が適切なフィードバックを得やすい印象ですね。
============

話をまとめますと、

・新しい問題集に取り組む
・実戦は秒読みがついた将棋を増やす

この二点を重点的に行うことが、ご質問に対する回答となります。
少しでも棋力向上のお役に立てれば、幸いです。

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