どうも、あらきっぺです。
以前にも申し上げましたが、この度、本を出版させて頂くことになりました!
【近刊】
『現代将棋を読み解く7つの理論』予約受付開始!
「あらきっぺの将棋ブログ」での解説が大評判のあらきっぺ氏(@burstlinker0828)が、複雑な現代将棋を7つの理論ですっきり体系化! 局面の核心を言葉にするのが本当にうまいあらきっぺ氏の初著作。乞うご期待!https://t.co/ROSYKGz1N3— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) September 28, 2020
なお、発売日は2020/11/13(金)になります。
リリースされてからはたくさんの反響を頂いたり、amazonの売れ筋ランキングで2位に入ったりするなど、多くの方に興味を持ってくださったようです。著者として、誠にありがたい限りですね。
既報の通り、本を出させて頂くことになりました!
【現代将棋を読み解く7つの理論】
という書名になります!
プロレベルの強者なら誰でも知っている。でも表立った説明はされていない……。そんな抽象的な概念を言語化した内容です。お手に取ってくださると幸いです!
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 28, 2020
ただ、正直なところ、このニュースを見たときに多くの方はこういったお気持ちを抱かれたのではないでしょうか?
これ一体、何の本なの?
「現代将棋を読み解く7つの理論」なーんて、かっこつけたタイトル付けてますけど、正直なところ何を伝えたい本のか全く謎めいていますよね。
読みたいがイマイチどういう棋書かわからない。『上達するヒント』的な本なのだろうか https://t.co/7Uf1GeNlTf
— 枝 (@edashogi) September 29, 2020
あらきっぺさんの最新戦法の事情は、ほんと面白いしためになるので、この本も気になるんだけど、このあらすじだと、いかんせん中身がさっぱりわからないぞ?
— 木下あかり@にゃーん (@akari_tree) September 28, 2020
そんな訳ですので、この記事では「現代将棋を読み解く7つの理論」がどういったコンセプトに基づいた本なのか、そしてこれを読むことで読者にはどんなメリットがあるのかということを、ご説明したいと思います。少しばかり長めではありますが、お付き合いくださると何よりです。
目次
この本の狙いは?
まず、この本は一体、何を読者に伝えたい本なのか? というモヤモヤしたところをスッキリさせましょう。
これは端的に申し述べると、「今まで言語化されなかった将棋の概念を分かりやすく伝える本」になります。
そして、その抽象的な概念を伝えることによって、
見えなかったものが見えるようになる
という段階に読者の方をナビゲートすることが、この本の真の狙いになります。
ただ、この「見えなかったものが見えるようになる」という表現だけでは説明不足だと思いますので、もう少し話を深堀いたします。
強者は見えている世界が違う
これは将棋に限った話ではありませんが、どんな分野であれ上達すればそれに比例して、高い目線から物事を見れるようになりますよね。
つまり、プロ棋士とアマ初段くらいのプレイヤーでは、同じ局面を見ていたとしても、目線が全く異なる訳です。
例えば、こういった次の一手の問題は、アマ初段くらいの棋力の方には、かなり荷が重いのではないでしょうか。
週末次の一手!(第16回)
今週は平成元年4月号、赤羽のたかちゃん氏作。自玉はわかりやすく詰めろ。後手玉に迫る手段もいろいろと見えますが、果たして…?
解答はDMで日曜24時まで受付。正解者から1名に書籍プレゼント!(リストからお選びいただきます) pic.twitter.com/uwZCxc69zb— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) October 9, 2020
しかし、プロ棋士レベルの強者は、
「あー。これは、こーゆーことすればいいのね。うんうん、なるほどね」
みたいな感じで、ホントにさっと答えに辿り着いてしまったりします。
事実、これは私もすんなりと解くことが出来ました。見えている世界が違うので、こういった結果になり得るわけなのです。
では、その違いはどこから生まれてくるものなのでしょう…?
無意識でハイレベルなことを行っている
ところで、全く話が変わってしまい恐縮ですが、皆様は肉まんを美味しくするライフハックをご存知でしょうか。
昔友人に教えてもらった誰もが知るべきライフハックなんで皆さんにもお教えますね
1cmぐらい水入れたコップに肉まん置いて2分レンチンするとふわふわ熱々に温まります
明日にはスーパーから肉まんが無くなるぐらい広まってほしい pic.twitter.com/kR3DqRGaIU
— 麦ライス(簡単レシピ) (@HG7654321) September 11, 2020
こういった知識を初めて知ると、「へー、そうなんだ!」と感じますよね。
ただ、それは知識の理解度としては、あくまで初期段階に過ぎないと私は考えています。
こういった知識は実際にやってみると、より理解が進むものです。そして、その理解が進んで行くといずれは定着し、最終的には自動化されてしまい自分でも無意識のうちにスキルを使っているような段階に達します。自転車の乗り方とか、泳ぎ方とかはまさにそうですよね。
これは将棋でも全く同じことが言えます。そう、プロは上達する過程でこのプロセスを何度も何度も行っているので、めちゃくちゃに強いわけなのですね。
強者は、こういった無意識レベルで使えるスキルやノウハウを莫大な数で有しています。これが「見えている世界が違う理由の正体」だと私は考えています。
だからこそ、プロは一分将棋の秒読みに追い込まれても精度の高い手が指せますし、先述した難しい次の一手の問題に取り組んでも、短い時間で答えを見つけることが出来るのですね。
しかしながら、はっきり言って、この無意識レベルまで知識やスキルを身に着けるというのはあまりにもハードルが高く、多くの方にとっては現実的ではありません。再現性が低すぎるのです。
けれども、初期段階の「知る」という部分だけなら、誰にでも簡単に出来る領域ですよね。それこそ、肉まんのライフハックのように。
なので、非常に話が長くなってしまったのですが、この「現代将棋を読み解く7つの理論」という本は、プロレベルの強者が身に着けている知識や概念を、「知る」というレベルに導くことが目的なのです。
そんな訳ですので、この本を読んだからと言って、棋力がぐーんと上がる……という保証は無いのですが、少なくともプロの思考を知る一助にはなると思います。それはすなわち、プロに近い目線で物事を見れるようになると表現しても、間違いではないでしょう。
ここまで説明すると、「見えなかったものが見えるようになる」という筆者の主張が、ご納得頂けるのではないでしょうか。
今までにはない本を作りたかった
最後になりましたが、この本がなぜ「一体、何の本なの?」という疑問を抱かせてしまったのかという話をしたいと思います。
世の中には多くの将棋書籍が存在しますが、大きく分けると、
・入門書系 (ビギナー向け)
・定跡系 (戦法の解説書)
・棋譜解説系(自戦記、観戦記など)
・問題集系 (詰将棋、次の一手など)
この4つに分類されるかと思います。
さて、では「現代将棋を読み解く7つの理論」は、これらのどこに属するのでしょうか。結論から申し上げますと、どのジャンルにも属しません。それゆえ、「一体、何の本なの?」という印象を与えてしまった節はあったかなと思います。
ちょっと、制作秘話っぽい話をすると、初回の打ち合わせの際に、筆者は「せっかくの機会なので、今までにはない本を作りたい」という意向を担当編集者に示しました。そして、それを最大限に汲み取って頂いたので、このような本が完成する運びとなりました。チャレンジングな姿勢を温かく受け入れてくださったことには、本当に感謝しています。
そういう経緯があったので、販売サイトの説明文に書いてある、「こんなロジカルな将棋論、見たことない!」という文言は、誇張な表現や都合の良い売り文句ではなく、等身大の説明をしているものだと思います。
冒頭にも述べましたが、「現代将棋を読み解く7つの理論」は11/13(金)に発売されます。Amazonや楽天から予約することが可能です。
Amazon 楽天
また、マイナビの将棋情報局から予約すると、棋譜データもセットで付いてきます。こちらの方がお得かも知れませんね!
本書を一読されることで現代将棋の理解が深まるのであれば、著者として至上の喜びです。立ち読みでも構いませんので、お目通しくださると幸いです。
それでは、また。ご愛読、ありがとうございました!
はじめまして。いつも記事を楽しく拝見させていただいております。
Amazonで予約しており、先程商品ページを見たら画像イメージが追加されていたので読んでみました。
おそらく本の単価設定や原稿料や文字数の兼ね合いもあってマイナビさん側で【だ・である調+α】で校正されたのかと思われますが、文体があらきっぺさんの感じでは無く「団塊世代以上の人が書いた昭和っぽい文章」みたいになってるのに違和感を感じてしまいました。
西尾先生の「コンピュータは将棋をどう変えたか?」も【ですます調】ですし、あらきっぺさんの本も最新の考え方について等書かれているので、校正するにしてもいつものあらきっぺさんの【ですます調】を書物用に体裁を微調整するくらいが良かったのではと思います。
それはさておき、発売までまだ1週間あって首を長くして待っていますが、届いたら熟読しようと思います。
この本が好評になってあらきっぺさんの他の本も出版されることを楽しみにしています。
はじめまして。いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
並びに、拙著をご予約してくださり、感謝申し上げます。
確かに、本書の文体は【だ・である調+α】になっておりますので、普段とは雰囲気が違うかもしれません。ただ、【だ・である調+α】を選んだのは私の意向です。
ブログはそれこそ無限に字数が費やせますが、書籍となると、そうもいきません。限られたスペースの中で【ですます調】の文体を選んでしまうと、使える文言に制約が掛かり、表現のクオリティーを損なう恐れがあると判断いたしました。それゆえ、こういった形になっております。ご理解くださると何よりです。
結果的に、些か堅苦しい文体になってしまいましたが、これも一つの「あらきっぺスタイル」だと受け取ってくださると幸いです。
また、最後になりましたが、温かい激励をいただき恐縮です。今後もマイペースで発信を続けていく所存なので、お楽しみいただけると嬉しい限りです。
ふむふむなるほどと読ませていただきました。タイトルの現代将棋がどこにかかるのか上を見るだけでは分かりませんでしたが得心しました。アマで実践しようと思うと読み,手筋など足りない部分が多そうなので、シナジーのいい棋書を合わせて勉強していこうと思います。
はじめまして。拙著をご購入してくださり、ありがとうございます。
将棋を見たり指したりするときに、感じ方が今までと違うものになれば著者として非常に嬉しいです。あなた様のさらなるステップアップを祈念しております。
いつも楽しく記事を読ませていただいています。今回の例として挙げられた次の一手はどうにかして手を稼いで83金 72馬の必死を実現するという方針で大丈夫でしょうか?また、12香が正解だと思ったのですがこれで合ってますかね?
初めまして。
以下のリンクから、答え合わせなさると良いかと思います。
将棋情報局 週末次の一手!(第16回)
返信ありがとうございます。合ってました。ちょっと嬉しいです。後、本購入しようかなと思います。ただ、新しい感覚を知るとしばらくは緩手が増えて調子を崩すんですよね。それを思うとちょっとナイーブになります。
おお! 正解されていましたか。それは良かったです。
私も新しいことにチャレンジすると、初めのうちは失敗ばかりと言いますか、今一つツボが分からないことは多々あります。
ただ、長期的な視点で顧みると、取り組んでみて良かったなと思うことが多いですね。陰ながらではありますが、応援しております!
あらきっぺ先生、「現代将棋を読み解く7つの理論」を注文しました。
ロッキーさんの「棋書ミシュランで」レビュー読んで面白そうなので、思わず注文してみました。とても楽しみです。
ついに40代最後の歳になってしまいましたが、まだ、棋力の伸びしろは、ありますかね??
将棋を毎日続けることが、強くなるコツと自分の先輩というか師匠は言っていますが、香1本で良いので、強くなりたいです。まずは、アマ2段です。
はじめまして。この度は、拙著をご購入くださり、ありがとうございます。
人によって意見は異なるかと存じますが、私は幾つになっても棋力は向上できると確信しております。
年齢よりも、意欲や継続性、そして自己分析が大事かなと考えております。
本書は抽象度の高い説明が多いので、もしかいたしますとお好みには合わないかも知れません。
ただ、あなた様と同じくらいの棋力層の方からは、「今までとは違う目線で将棋を見れるようになった」というお言葉もいただいているので、良い刺激を与えられるのではないかと想像しております。少しでもお役に立てれば幸いです!