どうも、あらきっぺです。
以前に Twitter にて告知いたしましたが、この度、新たに本を出版させて頂く運びとなりました! 「盤上のシナリオ」という書名になります。
【お知らせ】
お陰様で、新しい著書を出させて頂ける運びとなりました。
【盤上のシナリオ】
という書名になります!
近日中に、予約開始となるようです。頭の片隅に置いてくださると幸いです。 https://t.co/IsclklTjtK
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 26, 2022
なお、発売予定日は 2022/10/24(月)になります。
まだ予約段階ではありますが、 Amazon の将棋・新着ランキングにて一位になったりするなど、喜ばしい反響をいただいております。感謝、感謝ですね。
「盤上のシナリオ」がAmazonの[将棋・新着]カテゴリーにて、1位になっておりました!
お買い上げしてくださった皆様に、感謝申し上げます🙇 pic.twitter.com/gVu2PXI9J7
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 2, 2022
以前インタビューを書かせていただいたあらきっぺさんの新作『盤上のシナリオ』が予約開始されましたね‼︎
どんな本なのか、今から楽しみです‼︎
言語や設定によって将棋が強くなるなら、ラノベ作家でも強くなれるのか…?https://t.co/TwIgtudCYC
— 白鳥士郎 (@nankagun) September 2, 2022
絶対に買うべき1冊になりそう❗指導にもかなり有効的に使えるんじゃないかな🤔 https://t.co/t0i0gGuzpU
— 淳平のオンライン将棋教室 (@SandaShogi) August 26, 2022
さて、「盤上のシナリオ」というタイトルから察するに、何となーく「構想力」とか「読み」に関する内容なのかな? と予想された方は鋭いです。ただ、具体的にどんなことを伝えたいのか、どんなことがメインテーマなのかということは、書名だけではちょっと見えにくいですよね。そんな訳で、この記事ではそういった不透明な部分をご説明していきたいと思います。お付き合い頂ければ幸いです。
目次
本書のコンセプト
ご存じの方も多いとは思いますが、私は元奨励会員です。退会してから六年ほど経ちました。プレイヤーとしての活動は、アマ大会に参加したり、奨励会員やアマ強豪と研究会を行うことが多いですね。まぁ、六年前とやっていることはそう変わりがないのですが、ただ一つだけ、明らかに違いを感じる部分があります。
現代人って、
読みの力が落ちてるんじゃない?
あくまで自身の体感ではありますが、以前よりも深く読んで将棋を指す人が減ったように感じるんですよね。相手がアマチュアのプレイヤーの場合は、特にそれを感じます。
昨今ではネットで将棋が指せるプラットフォームが増え、(将棋倶楽部24、将棋ウォーズ、将棋クエスト、81道場など)手軽に将棋がプレイできるようになりました。それはとても有難いことです。ただ、ネット将棋は往々にして持ち時間が短い環境で将棋を指すので、そのバトルフィールドに慣れてしまうと読みの力は育まれないように感じます。
また、現代ではプロアマ問わず、将棋ソフトを用いて検討するのが当たり前の時代になりました。しかし、将棋ソフトは漫然と使っているだけでは頭を使いません。ただソフトが示す評価値や手順を見ているだけでは棋力はつかないので、必然的に読みの力もつかないですね。
つまり、これらの現代的に市民権を得た、多くの方が行っている(であろう)勉強方法は、読みの力をつけることに関しては、著しく効果が低いことが予想されます。この辺りが、現代人が読みの力が落ちた要因なのかな、と筆者は考えています。
正直なところ、将棋で勝つために「読みの力」が占めるウェイトは、決して小さくないと筆者は考えます。アマ大会は25分切れ負けとか20分30秒といったケースが多く大長考できる環境ではありませんが、それでもある程度はまとまった時間を考えないと通用しないことは確かでしょう。また、将棋を観るときも読みの力が優れていれば、その分、楽しめる要素も増えてくると思います。
なので、読みの力を強化する本を作れれば現代的にはうってつけの教材になるかなと思い、今回の本を執筆いたしました。つまり、本書のコンセプトは、
読みの力をグレードアップさせること
本当に、この一点に尽きます。
ただ、読みの力をグレードアップさせると言っても、「ただ本を読んでいるだけで読みが鍛えられるのかよ?」と疑問を抱かれた方もいらっしゃるでしょう。
という訳で、ここからは、本書がどういったアプローチで読者の読みの力を引き上げるのかということについて、述べていきたいと思います。
読みには二種類の方法がある
ところで、人間は手を読むとき、どういった方法でそれを行っているでしょう? 筆者は、大きく分けると二つの方法があると考えています。
[方法1 直感を頼りに読む]
[方法2 理想の実現を目指して読む]
この二つ。そして、「盤上のシナリオ」で伝えたいことは、2の方法です。実を言うと、方法1には一切触れていません。
なお、方法1は、第一感として浮かんだ手を切っ掛けにして読みを進めることを意味します。いわゆる「三手の読み」は、まさにこの手法ですね。
直感を頼りにして読みを進める方法は、特にアマチュアの方が好んで使う印象が強いです。また、持ち時間の短い状況で使われることも多いですね。そもそも、持ち時間が切迫していると入念に読みを深めることは難しいので、この方法を取らざるを得ないという側面もあるでしょう。3分切れ負けや30秒将棋のような短い持ち時間では、とりあえず第一感の手を模索し、支障がなければそれを選ぶ。支障があれば第二感、第三感の手を選択する、という要領で読みを進めるのが一般的かと思われます。しかし、この方法は重大な問題を二つ抱えているのです。
一つは、行き当たりばったりな嫌いがあること。言ってしまえばノープランなのですね。とりあえず目についた手を掘り下げているに過ぎないので、局面が進み誤算があった場合、軌道修正が非常に難しくなってしまいます。
もう一つは、何を持ってして読みを一区切りすれば良いのかが見えてこないことです。例えば、三手の読みを使い「これで大丈夫」と思っている局面でも、その先に相手に好手があれば、その前提は成り立ちません。絶対に間違えない直感を持っていればそうした悲劇は起こりませんが、そんな人間がいる訳がないことは言うまでもないでしょう。
要するに、直感を頼りに読みを進める方法は、
・明確なビジョンを持たないまま指し進めている
・自身の直感が優れていないと悪手のオンパレードになる
といった問題を抱えているのです。ゆえに、まとまった持ち時間がある状況化では、この手法に頼るのはリスキーと言えます。
だからこそ、筆者は2の[理想の実現を目指して読む]方法を推奨します。この技術をお伝えすることが、本書の真の狙いですね。
強者は「組み立て」を作って難所を切り拓く
少し話が変わってしまいますが、プロ棋士の対局を観ていると、とんでもなく長考する場面に出くわしますね。最近のタイトル戦で言うと、第70期王座戦五番勝負第2局の長考合戦が印象深いところです。
こういった場面を見ると、「一体、何考えてんだろう?」「ただ、堂々巡りしているだけなんじゃない?」みたいな感想を抱かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そうではありません。強い人が長考に沈むのは、確固たる理由と目的があるのです。端的に述べると、「組み立て」を作っているのです。
なお、「組み立て」とは、理想を実現するための構想のことを意味します。これを鮮明に描けば目指すべき局面がクリアになるので、自信を持って着手することに繋がります。
つまり、一つの難所を迎えたとき、その局面から具体的な手を読むのではなく、その前に
「この局面から、どうなれば成功なのか?」
「どうすれば最悪の状況を回避できるのか?」
「どういった状況になれば勝ちに近づくのか?」
というように、実現すれば自身にとって大きなリターンが得られる状況をまず描くのです。そうすれば目的や方針が分かりやすくなり、読みの着地点も明確になります。ゆえに、「組み立て」を作る意義は極めて大きいと言えるでしょう。
とはいえ、「組み立て」を作るには、一体、何を指針にすれば良いのでしょうか? そして、指針が決まったあとに、どんな方法で「組み立て」を作っていけば良いのでしょうか? ……そう、「盤上のシナリオ」は、その方法論を述べた本なのです。本書が皆様の読みの力を底上げし、今までとは違うアプローチで読みを深めることが出来るようになれば、本書の試みは成功しているかな、と思っています。
過去作との違い
ここまで読んでくださった方の中には、「どうも今回は、今までのあらきっぺの本とはテイストが違うかもね」という印象を受けた方もいらっしゃるかもしれません。そう、今回の本は、過去作とは趣旨が大きく異なります。
「現代将棋を読み解く7つの理論」と「終盤戦のストラテジー」は、概念をお伝えすることが趣旨でした。汎用性の高い概念を知れば、未知の局面に相対しても対応力が上がります。ゆえに、これらの本は漠然と読んでいるだけでも、学び取れる部分が多かったと存じます。
しかし、「盤上のシナリオ」は概念だけでなく、「読む力の強化」も趣旨としています。というより、先述したように後者がメインテーマですね。当然ながら、読みは考えなければ実行することは出来ません。ゆえに、本書は過去作よりも難しい内容であることは否定しません。読みを題材としている以上、かなり思考力が求められますし、有段者の方でもページをめくる手が重くなってしまうかもしれません。
ただ、「今は級位者だけど、いずれは有段者になりたい!」という方や、「プロレベルのプレイヤーは、どんな思考で読みを進めているんだろう?」ということを知りたい方は、お手に取ってみると面白いかもしれません。何より、冒頭に記したように現代人は読みの力が落ちている方が多いような気もするので、本書がそれを補う存在になれば、著者として嬉しいですね。
そんな訳で、「盤上のシナリオ」は2022/10/24(月)に発売です!
将棋情報局(マイナビ出版)
https://book.mynavi.jp/shogi/products/detail/id=132120
Amazon
https://amzn.to/3VziuZ2
また、本書を将棋情報局、もしくは Amazon からご予約なさった方には、オンライントークイベントにご招待いたします。
トークイベントは、10/29(土)13:00 開始になります。イベントの申し込みフォームは以下のリンクからどうぞ。「本は予約したけれども、まだトークイベントの申し込みはしてないや」といった方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひお申込みくださいませ。刺激の多い時間を提供できれば幸いです!
\\ トークイベントに参加する! //
それでは、本書が皆様の棋力向上になることを祈って、結びといたします。ご愛読くださり、ありがとうございました!