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第31期竜王戦七番勝負 第7局 ▲広瀬章人八段VS△羽生善治竜王の解説記(前編)

どうも、あらきっぺです。よく行くスーパーの店員様がサンタの帽子をかぶっていて、クリスマスが近いことを感じる今日この頃です。

 

さて。この度、読者の方から先日に行われていた竜王戦第7局の解説をしてほしいとのリクエストがありました。私自身も強い関心があったので、筆を執らせて頂いた次第です。それでは、さっそく解説していきましょう。

なお、本局の解説記は二回に分けて執筆いたします。

 

本局の棋譜は、こちらのサイトからご覧いただけます。
参考 本局の棋譜第31期竜王戦七番勝負 第7局

第31期竜王戦七番勝負 第7局
2018年12月20日・21日

 

先手 広瀬 章人 八段
後手 羽生 善治 竜王

一日目・序盤

 

初手から▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角(青字は本譜の指し手)と進み、第1図のようになりました。

 

平成最後の竜王戦

戦型は角換わり腰掛け銀になりました。プロ棋界で最も流行している戦法ですね。

この戦型は、後手がどのような配置で待機するのかが、焦点の一つです。最もポピュラーな形は、この局面ですね。(基本図)

ただ、羽生竜王は、本局に関しては、この局面には誘導したくはなかったのでしょう。その意思が、第1図の△6三銀に表れています。つまり、9筋の歩を突かないことで、基本図ではない将棋を選ぼうとしているのです。

以下、駒組みが進み、第2図のようになりました。

 

第31期竜王戦

後手が△9四歩を突いていないので、基本図とは一手分、ズレていますね。羽生竜王は、その一手を△3一玉に回しています。

 

さて。先手が後手の作戦を咎めるのであれば、▲9五歩で位を取ってしまう手が一案です。しかし、▲4八金・▲2九飛型の将棋は、バランスの良さが売りなので、玉を8八まで囲う将棋にはなりにくい側面があります。

であれば、9筋の位は、価値が低いとも判断できますね。よって、広瀬八段は、▲7九玉を選びました。対して、それを見て後手は△9四歩と端歩を突きます。(第3図)

 

第31期竜王戦

おそらく、羽生竜王は、この局面が誘導したかった局面の一つだったのでしょう。▲6八玉・△4二玉型の将棋よりも、この局面のほうが都合が良いと判断していることが窺えます。

具体的には、ここで▲6六歩のときに、△6五歩と動きやすいですね。(A図)

 

第31期竜王戦

△3一玉と引いていることで、▲6九飛からのカウンターを緩和している意味があります。

このような背景があるので、先手はこれ以上、有効な手待ちはありません。ゆえに、広瀬八段は▲4五桂と跳ねて、仕掛けを決行しました。(第4図)

 


中盤

 

第31期竜王戦

後手としては「桂の高跳び歩のえじき」という展開を目指したいので、△4二銀は当然の一手です。以下、▲6六角△4四角▲3五歩と進みました。(第5図)

 

第31期竜王戦

ここで△6六角▲同歩△4四歩と指せば、後手は桂が確実に取れますが、▲3四歩△4五歩▲4四角がうるさい攻めで、容易ではありません。この変化は、歩切れに泣かされています。(B図)

 

よって、羽生竜王は△3五同歩と応じました。先手は足を止めるわけにはいかないので、▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛で攻めを繋げていきます。(第6図)

 

第31期竜王戦

香を渡すと▲3四香があるので、△6六角▲同歩△1三香で、1五の香を守るのは必然です。以下、▲3四飛△1六角が意表を突く受けでした。(第7図)

 

第31期竜王戦

ぱっと見は僻地に角を投資するのでもったいないようですが、この手の意味は▲3五飛を強要させることで、△3三歩を打てるようにしたことです。ひいては、4五の桂をタダ取りすることが、真の目的です。(第8図)

 

第31期竜王戦

つまり、直ちに△4四歩で桂を取りに行くと、▲3三歩の筋があるので、桂交換が関の山です。しかし、第8図のように△3三歩を打ってしまえば、その心配はありませんね。

 

ここまで防御を固められると、右辺での攻めは困難です。なので、広瀬八段は▲7五歩で戦線を広げました。

これを△6三銀と受けると、▲1二歩△2二玉▲2四歩という攻めがあります。(C図)

 

第31期竜王戦

一見、△同歩で何事も起こらないようですが、▲7四歩△同銀▲1一歩成△同玉▲1四歩△同香▲3六角で、後手は収拾困難です。(D図)

 

本譜に戻ります。(途中図)

第31期竜王戦

このように、後手は全ての手に相手をしていると、1筋の駒を活用する余裕が得られません。ゆえに、羽生竜王は△8六歩▲同歩△2七角成▲7四歩△2六馬▲3八飛△1七香成▲7三歩成△同金で、桂を取らせる代償に、馬と成香を作りました。(第9図)

 

第31期竜王戦

ここで、一日目が終了となりました。個人的には成駒が手厚く見えるので、後手持ちだったのですが、先手も駒損を回復していますし、持ち歩が多いことや▲1二歩の垂れ歩が残っていることも心強い利点です。

彼我の言い分を簡単にまとめると、

先手攻め駒が捌けており、持ち駒も豊富。自玉がすぐに攻められることもない。

 

後手成駒を作ったので上部が手厚い。将来、△4四歩から駒得も期待できる。

といったところでしょうか。

どちらが良いのかは、プレイヤーによって、見解が分かれそうな局面ですね。難解な形勢を維持したまま、二日目に突入していきます。

 

それでは、続きは後編で。ご愛読、ありがとうございました!

 



2 Comments

あらきっぺ

はじめまして。

そう、仰っていただけると嬉しいです! 後編は明日にアップするので、楽しみにしていてください!

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