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第38回アマチュア竜王戦全国大会の出場記

どうも、あらきっぺです。

令和7年6月21日(土)~6月22日(日)に東京で開催されました第38回アマチュア竜王戦全国大会に出場いたしました。結果は、 X(旧 Twitter) でもご報告したように、決勝トーナメント二回戦で敗退という形になりました。

今回は、この大会の模様を振り返ってみたいと思います。

大会の模様

アマ竜王戦の全国大会に出場するのは、今回が二回目。昨年も参加させて頂いたので、特に緊張することなく、平常心で対局に臨むことが出来ました。

なお、初日は予選と決勝トーナメント一回戦まで行い、二日目は二回戦から決勝まで、というスケジュール。持ち時間は、初日が40分30秒、二日目は45分30秒という形です。

対局の模様については、以下のツイートをご参照くださると幸いです。また、ツイートで言い切れなかった部分も補足しています。

【予選1回戦 (新潟代表 伏屋氏)】

この将棋は、大きなミスなく乗り切ることが出来ました。一局を通して、形勢が悪くなった場面は一度もなかったようです。

伏屋戦の棋譜解析の結果。自分の研究範囲が切れた局面から解析。
(使用ソフトは水匠10、一手辺り5秒で棋譜解析。)

【予選2回戦 (東京代表 木村氏)】

中盤の優位性を終盤に結びつける工程でミスを犯しましたが、苦しい場面で上手く勝負手を放てたのは、良かった部分かと思います。

なお、中盤における自分のミスを振り返っておきます。

上図で相手は、☗1五歩→☗1四歩で端攻めを狙っています。対局中は、

①それを緩和するべく、☖4五桂を指して4六の角に働きかける必要あり
②それを指すと、自身の攻めは☖6六桂が最速になる
③☖6六桂の威力をより引き上げるため、7筋の突き捨ても入れておきたい

という思考の流れで☖7五歩を指したのですが、無視されて☗1五歩と伸ばされると、7筋の突き捨ての効能が乏しかったです。以降も上記の思考の流れに囚われて最善を逃し、それが形勢逆転の要因となりました。

上図では、ゆっくり指すなら☖7三桂☗1五歩☖2二金で特に問題なかったようです。また、激しく攻めるなら☖7三桂☗1五歩☖8五桂☗1四歩☖4五歩☗6八角☖7七桂成☗同桂☖6六歩という進行がベストでした。

振り返ってみると、受けに回る方法も敵陣の攻め方も正解ではなかったですね。中盤における彼我の玉の距離感が上手く認識できていないのかな、とも感じた次第です。

木村戦の棋譜解析の結果。自分の研究範囲が切れた局面から解析。
(使用ソフトは水匠10、一手辺り5秒で棋譜解析。)

【決勝トーナメント1回戦 (神奈川代表 嶋村氏)】

千日手になったので、結果的には二局指すことになりました。どちらも明確に形勢が悪くなった場面は、一度もなかったようです。細かいミスはありましたが、40分30秒という持ち時間を踏まえると、及第点と言える内容だったでしょうか。

嶋村戦、千日手指し直し局の棋譜解析の結果。自分の研究範囲が切れた局面から解析。
(使用ソフトは水匠10、一手辺り5秒で棋譜解析。)

【決勝トーナメント2回戦 (山形代表 中川氏)】

文字通りの完敗でした。

本局で唯一チャンスがあったとすれば、この局面。ここは☖7四歩で反発する一手でした。対局中は☗7六飛で効果が乏しいと判断して見送ったのですが、そこから☖7五歩☗同飛☖7三銀と進めれば、後手まずまずだったようです。

なお、☖7四歩と突く手は、水匠10なら-50くらい、 dlshogi は-100くらい、氷彗は-150くらいの評価値を示します。三者とも微妙に数字は違いますが、ここを突くしかないという見解は同じでした。

また、上図で☖7四歩以外の手を選んでしまうと、全て先手良しの評価値になってしまうようです。そして、本局はその優位性を最後までキープされてしまいました。相手が強かったですし、自分の戦型選択にも問題がありましたね。

中川戦の棋譜解析の結果。自分の研究範囲が切れた局面から解析。
(使用ソフトは水匠10、一手辺り5秒で棋譜解析。)

雑感と今後の取り組み

昨年のアマ竜王戦全国大会の出場記を改めて見ると、優勢な終盤でミスが頻発していて、そこに苦しんでいるような印象を受けますね。しかし、今回はそうしたミスが相当に減っており、問題点が改善された実感があります。

これに関しては、自身の学習方法を意識的に終盤に振っていたところがあり、その効果が出ている気がします。終盤力を数値化することは難しいのですが、ミスの回数で言えば見違えるほど減っているので、今の取り組みが奏功していると判断するのは妥当かと思います。

また、昨年の出場記では、以下のことを記していました。

持ち時間が切迫しているときでも正しい手を選べるようになる思考法を見つけ出さないといけない

これに関しても適切な方法を発見できた実感があり、今回は優勢な終盤戦でのパフォーマンスが相当に安定していたように思います。そこに関しては昨年よりも大いに成長していたので良かったです。

負けた将棋に関しては、準備や認識が甘い序盤になってしまったことが一番の要因だと考えています。ただ、自分で言うのも変ですが、筆者は序盤を相当に調べているタイプですし、対戦相手から「あらきっぺ相手に研究勝負をしてはいけない」と見られている印象もあります。(実際、今回の大会でもそうしたお言葉を複数の選手から頂きました)なので正直に言うと、アマ大会で自分が序盤で失敗する可能性は限りなくゼロに等しいと思ってたんですよね~。……驕ってはいけないということが、今回の一番の収穫でした。いい薬にしたいものです。

今後の取り組みとしては、一番解決すべき終盤が大いに改善されたので、今後もそれを進めつつ、序盤の穴を塞いでいきたいと思います。中盤の強化方法が課題ではあるのですが、これに関してはいろいろ試行錯誤して、自分なりの答えを見つけ出したいものですね。

最後になりましたが、今回の大会の主催者である公益社団法人日本将棋連盟、株式会社読売新聞社、そして運営に携わってくださった関係者各位に、厚くお礼申し上げます。また、清水市代会長のご挨拶は配慮が行き届いていて、選手としてとても励みになりました。

プレイヤーとして、こうした大会に参加できるのは幸せなものですね。お陰様で、楽しく将棋を指すことが出来ました。

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

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