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第37回アマチュア竜王戦全国大会の出場記

第37回アマチュア竜王戦全国大会

どうも、あらきっぺです。

令和6年6月22日(土)~6月23日(日)に天童で開催されました第37回アマチュア竜王戦全国大会に出場いたしました。結果は、 X(旧 Twitter) でもご報告したように、ベスト8で敗戦という形になりました。

今回は、この大会の模様を振り返ってみたいと思います。

大会の模様

アマ竜王戦の全国大会に出場するのは、今回が初めて。とはいえ、全国大会の参加経験はそれなりに多いので、特に緊張することもなく、普段通りの気持ちで臨みました。

なお、初日は予選と決勝トーナメント1回戦まで行い、二日目は2回戦から決勝まで、というスケジュール。持ち時間は、初日が40分30秒、二日目は45分30秒という形でした。

対局の模様については、以下のツイートをご参照くださると幸いです。また、ツイートで言い切れなかった部分も補足しています。

【予選1回戦 (VS石綿氏)】

この将棋に関しては、大きなミスなく乗り切ることが出来ました。

【予選2回戦 (VS中川氏)】

中盤の中期までは上手く指せていたようですが、そこから終盤の入口に突入する辺りで細かいミスがあり、そこが本局で一番の反省点です。

この局面は5四の角が最も力を発している駒なので、それを目標にするのが最適です。ゆえに本譜はあまり考えずに☗4五桂☖7五歩☗5五歩と進めたのですが、☖7六角と突進されると☗4五桂と跳んだ手が空振りになっているような形になり、相手の食いつきを許すことになりました。

正着は☗5五歩☖同銀☗4五桂という手順で、これなら次の☗5三桂成が先手になるので桂跳ねの威力が違います。この理屈はそんなに難しくはないので、もう少し熟慮すれば発見できていたようにも思います。時間の使い方って難しいですね。

【決勝トーナメント1回戦 (VS高橋氏)】

苦しい将棋を辛抱強く指して逆転できた将棋でしたが、いざ自分が決めに行く立場になると、なかなか難しいものですね。

この局面は☖5四金が有力だと感じており、こうして大駒を狙いながら自玉の安全度を高めるのが負けにくいとは感じていました。実際、 AI もこれが最善と主張します。

ただ、対局中は☗6六角と引かれたときに適切な攻めが分からず、そうした展開は30秒将棋では危険だと判断しました。本譜の☖5六成桂は少し薄い嫌いはあるものの、相手の最強の攻め駒を攻撃していますし、上部を厚くする効果もあるので、そこまで急所は外していないだろうという感触はありました。実際、これでもリードは維持しており、ここはいい意味で妥協できた気はします。

問題は、そこから☗3三角成☖同金☗4五桂☖4七角☗6八飛と進んだところでした。

ここは自玉に詰めろが続かないことは把握できており、2手スキを掛ければ勝てる状況です。ゆえに、本譜は☖6七成桂と踏み込んだのですが、これは負けていたら敗着になっていた悪手でした。あの飛車を攻めるなら☖5七成桂で良かったんですね。とはいえ、あえて敵玉に接近しない迫り方は盲点になりがちなので、これは難しかったです。

そもそも、対局中は☗5四歩とか☗3三桂成から攻防手を放たれ☖6八成桂が詰めろにならない手があるかどうかを心配しており、☖6七成桂が祟る可能性なんて微塵も考えていなかったんですよね。相手の高橋氏も同じような思考だったようです。ただ、そうしたアプローチでは先手に勝つ手段がないようですね。

種明かしをすると、上図では☗3三桂成☖同玉☗3四香☖4二玉☗3三角☖5二玉☗4二金で先手の勝ちでした。

こうして持ち駒をベタ打ちして敵玉を追い回すのは悪い見本なのですが、これで玉を6筋に移動させれば、☗6七飛→☗4七飛で成桂と角を回収できるので先手勝ちです。先程の☖5七成桂といい、こういう手は強い人ほど真っ先に切り捨てる(というか、そもそも思考の範疇に入ってこない)ので発見しにくいですね。

とはいえ、こうしたバイアスから脱却しないと、ワンランク上のレベルに到達できないんだろうなとも感じます。どうすればいいんでしょうねえ笑

【決勝トーナメント2回戦 (VS中脇氏)】

これも終盤の要所で正鵠を射ることが出来ていない将棋でした。

ここは攻め合うか受けに回るかという方針の岐路で、結論から述べると☗8六歩と受けるのが正着でした。対局中はこの手を指しても☖8四歩→☖8五歩がうるさいので効果がないと考えたのですが、☖8四歩には☗7六歩で簡単に攻めが止まっています。平凡に受けに回って勝つという発想が、全くありませんでした。

また、対局中は☗7三歩から切り合って攻め勝てると踏んでいたので、受けに回るプランを深掘りしなかった背景もあります。しかし、ここは判断を誤っており、大局観に問題があることを痛感しました。

【準々決勝 (VS森下氏)】

全体的にはミスが少なかったものの、着地が決まらなかったですね。

ツイートでも言及したように、ここは☖8七銀と打てば詰んでいました。対局中も詰みがある感覚はあったのですが、☖8七銀を指してしまうと後戻りできないので、詰みを読み切れていない状況下で打つのはリスキーではあります。

また、この局面は☖8七銀以外の手段でも勝算が高い変化もあります。そうした葛藤から銀を打ち切れなかったのですが、ちょっとここは覚悟が足りていなかったですね…。

☖8七銀しか勝ち筋がないなら、迷うこともないのですが。とはいえ、詰みを読み切れば迷いは生まれませんからね。結局は、技術が足りていないという一言に尽きます。

先述の☗3二飛成から☖6六桂☗同歩☖2三角☗同竜☖同銀☗4五角と進んだ局面。

また、本譜のように保険を使って勝ちにいくプランを選んだのであれば、無理に勝ちにいかないほうが賢明でした。本譜はここで☖5四香と切り合いを挑んだのですが、平凡に☖3二銀と引いておけば自玉は安泰なので、負けにくい状態を維持できていたと思います。「☖8七銀と踏み込めなった」という後悔の残滓が、無意味に切り合いを挑んでしまった遠因だった気もします。

課題と今後の取り組み

全体的には、自分の良いところも悪いところもたくさん出たなぁという感じで、日々の取り組みの効果を実感すると同時に、まだまだたくさんの課題があることを痛感しました。

中でも、今回は大局観に問題を感じるシーンが多かったです。形勢が良いと思っていた局面がそうではなかったり、優勢な終盤で過剰に踏み込むことで、自ら負け筋に突っ込んで行くミスが多発していました。

また、過剰に踏み込んで自ら負け筋に突っ込んで行くミスは、全て持ち時間が切迫しているときに起こっているミスであり、熟慮できない状況下では、相当に判断力が落ちてしまうことがよく分かりました。これを踏まえると、持ち時間が切迫しているときでも正しい手を選べるようになる学習方法(もしくは思考法)を見つけ出さないといけません。何をどうすれば改善できるのかは分からないのですが、いろいろ試すことで理想の姿に近づいていければと思います。

また、最後になりましたが、今回の大会の主催者である公益社団法人日本将棋連盟様、株式会社読売新聞社、天童市、そして運営に携わってくださった関係者各位に、厚くお礼申し上げます。プレイヤーとして、こうした大会を開いてくださるのは大いに励みになるものです。お陰様で、楽しく将棋を指すことが出来ました。

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

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