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第59回しんぶん赤旗全国将棋大会(赤旗名人戦)の出場記

どうも、あらきっぺです。

令和6年11月9日(土)~11月10日(日)に、東京で開催されました第59回しんぶん赤旗全国将棋大会(赤旗名人戦)に出場いたしました。結果は、 X(旧 Twitter) でもご報告したように、ベスト8で敗戦という形になりました。

今回は、この大会の模様を振り返ってみたいと思います。

大会前日

前日は割と余裕があったので、昼間は水族館に行ったりして、観光がてら少し息抜きの時間を設けました。やっぱり、ただ将棋を指すだけに東京に行くのは何だか惜しいなぁと思っちゃいますからね。

タチウオ。本当に刀みたいでした。

夕方は知人と将棋を指す約束をしていたので、ホテルに戻ってパソコンを開くことに。将棋の内容は悪くなかったので、「まぁ、明日も大丈夫かな」と気楽な気持ちで眠れました。

大会の模様

赤旗名人戦の全国大会に出場するのは、今回が三回目。持ち時間は初日が20分30秒、二日目以降は35分30秒で、決勝戦は45分30秒という形です。

対局の模様については、以下のツイートをご参照くださると幸いです。また、ツイートで言い切れなかった部分も補足しています。

【予選1回戦 (VS湯上氏)】

この将棋に関しては、大きなミスなく勝ち切ることが出来ました。

【予選2回戦 (VS石垣氏)】

この将棋は、終盤の一手バッタリで終わってしまったようなところがありました。

ここが問題の場面で、すでにお互い30秒将棋です。

この局面は、3五の角の利きを1七に届かせておくのが急所で、そうすれば1八の飛が安定するので、上記ツイートに記したような状況を回避することが出来ました。ただ、美濃囲いに対して☖2六歩と突っ掛けるのは頻出の攻め筋なので、秒に追われた結果、思考がまとまらず、筋に頼ってしまったことがミスの原因となりました。

こうした「ちょっとイレギュラーな配置」でも、きちんと対応できる地力を身につけたいものです。

【予選3回戦 (VS永徳氏)】

この将棋は、序盤の優位性を最後まで維持することが出来ました。

【決勝トーナメント1回戦 (VS武田氏)】

この将棋も、序盤の優位性を最後まで維持することが出来ました。午後に入ってから、パフォーマンスが上がっている実感がありました。

【決勝トーナメント2回戦 (VS宮本氏)】

中盤は苦しい局面もありましたが、好転してからはシャープに指せたように思います。スリリングで充実感のあった将棋でした。

ここまでが、初日の対局です。

【決勝トーナメント3回戦 (VS稲葉氏)】

この将棋は、終盤に入ってから上手くプランが組み立てられなかったところがありました。

まず、ミスの遠因となった局面から振り返ります。

こちらは3七の桂の処置を考える必要があり、対局中は☗3八歩と☗4七金が候補手でした。第一感は前者であり、それをノータイムで指すつもりだったのですが、ふと☗4七金から銀を入手する順も魅力的に映り、急遽、時間を使うことに。

4分ほど考え、結局☗4七金は強引なので見送る結論に至りました。その判断は正しかったのですが、この少考で秒読みに入ってしまったことが、後から振り返ると痛恨でした。ここは山場ではなかったので、当初の予定通りノータイムで指し、時間を温存しなければいけなかったです。

こうした持ち時間の使い方はなかなか難しく、日頃から意識的に練習しておかないと、本番でも上手くいかないものだなということを改めて実感しました。

ちなみに、本局の山場はこの局面。正着は☗6四銀でしたが、上記ツイートに記したように、対局中は銀を出た後の効果的な攻めが見つけられませんでした。

代わりに筆者が有力視したのは☗6四歩で、この垂れ歩をどう間に合わすか、ということをメインに画策していました。そして、このプランに頼ってしまったことが、本局の敗因です。もし、あのとき時間を温存しておけば、ここで☗6四歩は上手くいかないことに気付けていたのかもしれません…。

雑感

今回の大会では6局指し、定跡形が3局、力戦形が3局という割合でした。アマ大会だと自分の土俵に持ち込んだり、相手の得意戦法をかわすプレイヤーが多い傾向があるので、力戦形が多かったのは、概ね予想通りでした。

定跡形の将棋は、宮本氏との対局を除いて藤井曲線が作れていました。また、全ての対局において評価値が+1000以上の局面を作れており、全体的には安定感の高い将棋が指せていたように思います。今年のアマ竜王戦ではそうした安定感は乏しかったので、そこに関しては技術が向上しているように感じます。

負けた二局はどちらも力戦形の将棋で、両方とも似たような状況でミスをしていました。具体的には、

・秒読み(30秒将棋)
・+1000程度のリードを得ている
・敵陣を攻める必要がある場面

これらの条件が揃ったとき、今の自分はミスが出てしまうようです。

少し不思議なのは、定跡形の将棋だと、上記の状況に直面しても何故か乗り切っていました。というより、定跡形の将棋だと、そういう状況になってないことが多かったですね。

これはおそらく、定跡形の将棋だと序中盤において持ち時間の消費量が少なく、その結果、終盤に時間が残り、自分のミスが出るパターンになりにくい状況を作れていたからではないかと考えています。加えて、定跡形の将棋は過去に指した経験が活きやすい側面もあり、それもミスが出ていない要因の一つだと思われます。

要するに、自分がきちんと準備を整えている状況になれば高いパフォーマンスを発揮している訳で、それはつまり日頃の取り組みが間違っていないことを示唆していると考えます。逆に、想定外の将棋になってしまったときは、自分が想像している以上に脆さがあるようです。そうした状況に置かれても、しっかり負けパターンから抜け出す地力(もしくは方法論)を身につけないといけないと感じています。

なかなか思うような結果が出せていませんが、先述したように技術の向上は感じているので、あまり悲観はしていません。実際、今回は「秒読み時における力戦形の終盤戦」以外の状況では大きなミスを犯していないので、成長できているように思います。全ての憂いを克服した自分に会える日を楽しみにして、今後も研鑽を重ねていきたいですね。

また、今回の大会では複数の方と久闊を叙することができ、そうした時間は喜ばしいものでした。話したいことはたくさんあったのですが、なかなか言葉が出てこないものですね笑

最後になりましたが、今回の大会の主催者であるしんぶん赤旗様、公益社団法人日本将棋連盟様、そして運営に携わってくださった関係者各位に、厚くお礼申し上げます。大会期間中は、誠にお世話になりました。お陰様で、対局に集中することができ、中身の濃い実感を過ごすことが出来ました。

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました。また頑張ります!

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