第72回全日本アマチュア将棋名人戦の出場記

どうも、あらきっぺです。すっかり涼しくなりましたね。2週間ほど前まであんなに暑かったのがウソのようです。

 

今月の8日~10日に、第72回全日本アマチュア将棋名人戦が開催され、私は滋賀県代表として出場させて頂きました。その模様を記したいと思います。

 


前夜祭

 

大会会場は東京の浜松町。昨年のアマ王将戦や8月の平成最強戦のときと同じ場所なので、もう慣れたものです。

会場に入ると、顔見知りの方と、そうでない方が半々くらい。自分も全国大会は6回目なので、意外と知り合いが少ないなぁと感じたのですが、それもそのはず。今回は、参加者の約4割が初出場だったようです。

あと、6日に震災があったので、北海道の選手の方々(今回は3人参加)はちゃんと来れるのかなぁ…と内心、気をもんでいたのですが、皆さん、無事に到着する情報をキャッチして、少し安心しました。

 

歓談を楽しんでいると、明日の対戦表が張り出されたので見に行くことに。例によって、強豪揃いのブロックに放り込まれていました。いつもの

周囲の方々からは「あらきっぺさん、キツいとこ引いてますねーww」と散々、言われましたが、自分としてはこれがデフォルトなので、最近は他の参加者を巻き込むのがだんだん楽しくなってきました。今後もこの傾向が続くことを切に願っております笑

 


大会初日

 

まずは予選です。4人一組のリーグ戦で、2勝通過・2敗失格というお馴染みのルール。持ち時間は50分30秒。秒に追われる状況にはなりたくないので、50分の間に勝勢を築きたいなと思いながら対局に臨みました。

 

一局目のお相手はM氏。過去に中学生の全国大会で対戦があり、そのとき以来の対戦(15年振りかな)でした。局後にそのことを話題に振ったら、M氏も覚えていたみたいです。感慨深いなぁ。

M氏が矢倉を志向してきたので、右桂を足早に跳ねて行く急戦策を決行。これが、功を奏して、模様の良い将棋になりました。(第1図)

 

(便宜上、後手目線で図面を表示しています)

先手は▲4六銀→▲3五歩という攻めを狙っており、それにどう対応するかが後手の課題です。

手堅く受けるのなら(1)△3一玉▲4六銀△2二玉や、(2)△4二角▲4六銀△3三金▲3五歩△3二玉が候補でしょうか。ただ、あまりに受けを重視すると、6二の銀が立ち遅れる可能性が出てきます。

ということで、本譜は堂々と△6三銀(青字は本譜の指し手)と上がりました。先手は当然▲4六銀ですが、△4五歩▲同銀△4八歩が期待のカウンターです。(第2図)

 

4九にと金を作れば、敵玉に大いなプレッシャーを与えることが期待できますね。本譜はそれを嫌って、▲5八玉と受けましたが、△5四歩が幸便な突き出し。これで6三の銀に活が入ったので、形勢に自信を持ちました。

 

以降も難しいところはありましたが、玉型に差があるので、終始、こちらが勝ちやすい将棋ではありました。気分よく攻め続けて、幸先の良いスタートを切ることができました。

 

二局目はE氏。息長くご活躍されているお方で、将棋界で知らない人はいないと断言しても過言ではないでしょう。アマチュア将棋界のレジェンドですね。

将棋のほうは、E氏が振り飛車穴熊を採用。こちらも穴熊に組んで対抗することにしました。(第3図)

 

(便宜上、後手目線で図面を表示しています)

先手が▲2六歩と突いて、2四の角を追い払いに来たところです。

次に[▲2五歩⇔△3三角]の交換が入ってしまうと、先手に▲3八金寄→▲2七銀とみるみる発展されてしまうので、こちらは何かアクションを起こす必要があります。

まずは、△4五歩と突っ掛けました。(1)▲同銀は△3三桂で銀が取れるので、(2)▲3七銀引は妥当ですが、△5四飛が効果的な揺さぶりとなりました。(第4図)

 

△5六飛を受けるには▲6五歩の一択。これで角の通り道が開いたので、△3三角▲7七桂△2四角▲8五桂△3三角と角をタップダンスさせて仕掛けに成功しました。(第5図)

 

有効な受けがないので、本譜は▲7四歩△同歩▲7七角と指されましたが、△同角成▲同飛△8八角▲7六飛△9九角成で先に香を回収できたので満足です。また、囲いの強度に差がある状態(▲3八金寄が指せていない)でバトルに持ち込めたのも、居飛車のアドバンテージですね。

ここで得たリードをしっかり守り切り、二回戦も制勝。無事、予選通過となりました。

 

本戦の抽選までは、しばらく時間があったので、友人と雑談したり、ぴよ将棋と10秒将棋(意外に強い。たまに負ける笑)で戯れたりしていましたが、なんと会場に棋士の某六段が来訪。何でも、「今回のアマ名人戦では知人が多く参加されていたので、顔を出した」とのことでした。久々にお会いできて嬉しかったですね(#^^#)

 

その後は抽選を引き、出来上がったトーナメント表をぼんやり眺めてたんですが、これまた強者がひしめく山に放り込まれていました。我ながら、日頃の行いの良さが遺憾なく発揮されていると感じており、ただただ感無量でございます。

 


大会二日目

 

いよいよ、本戦です。ここからは負ければ、即敗退。ベスト32からのスタートなので、頂までは5勝です。持ち時間は、昨日と同じく50分30秒。

 

一回戦のお相手はI氏。過去にはプロ棋戦でも優勝されたことのあるトップアマの一人です。

先手番になり、初手から▲2六歩△8四歩というオープニングだったので、相掛かりに誘導することに。実は私、相当にブログに書いてあることを忠実に再現するんですよね。ということで、ここ一年ほどは、もう戦う前から指す作戦がバレている笑(第6図)

 

こちらが▲3五歩とちょっかいを掛けたところです。

これを△同歩なら、▲8四歩と打って、飛車の捕獲に向かうつもりでした。単に▲8四歩では△3三角で上手くいかないのですが、[▲3五歩⇔△同歩]の交換を入れておけば、△3三角に▲3五飛が発生するという組み立てです。

心の中では、そこそこ手応えがあったのですが、△7五歩が軽妙な手で、思わず唸らされました。▲7五同角は△7六飛で、到底、後手の飛車は捕まりません。後手は四段目に飛を引ければ、3筋の歩の取り込みを回収できるので、▲3五歩を無視しても構わないんですね。

 

ここで、こちらの構想がブレてしまい、途中ははっきり苦しい局面に追い込まれました。ただ、I氏もチャンスを逃して局面は混戦模様に。(第7図)

 

勝負の分水嶺はこの局面。ここは遊んでいる桂を使う△7三桂が最強の応手で、それならこちらの旗色が悪そうでした。

対局中の予定は、▲3四歩△同銀▲5三桂成△同玉▲4五桂でしたが、後で見直せば、△4五同桂▲同歩△6四飛であんまり有効打を与えていないですね……。(A図)

 

何とか6四の飛をどかして、8四か3四の銀が取れればよいのですが、残念ながら手段が難しいです。

 

本譜は、第7図から△8五銀と銀の質駒を解除されたのですが、▲3四歩△同銀▲4五桂で両翼の桂が中央に舞い降りたので、今度こそ手応えを感じました。(第8図)

 

先程の変化と同様に△4五同桂▲同歩△6四飛と受けると、▲5四歩△同飛▲4四桂が王手銀取りになり、先手の攻めが繋がります。かといって、他の受けも難しく、ここでは攻めがヒットしてしまったみたいですね。

 

これで二回戦に進出。次なるお相手はS氏。私と同じく元奨励会三段で、アマ王将戦での優勝経験があるお方です。一難去ってまた一難といったところですが、強い相手と戦えて、わーいたーのしー!という心理状態でした。語彙力…

 

S氏の三間飛車に、こちらは変則的な急戦策で対抗。序盤はやや失敗して模様が悪くなりましたが、中盤の折衝でS氏に齟齬があり、有利な状態で終盤戦を迎えました。(第9図)

 

(便宜上、後手目線で図面を表示しています)

先手が▲7三馬と桂を取った局面です。

ここで私は△1五歩と端から手を着けたのですが、この手が急ぎすぎで形勢をもつれさせる原因となりました。以下、▲2六歩△1六歩▲1四歩と受け流され、返って先手玉が広くなってしまった印象です。

 

第9図ではじっと△5六とが冷静だったようですね。これで次の△4六とから着実に攻めるほうが指し手が分かりやすく、ミスが出にくい展開に持ち込むことができたように思います。そういえば、昔の偉い人も「と金は引いて使え」って仰ってたもんなぁ。でも、昔の偉い人、「5三のと金に負けは無し」とも言ってた気がするんだけどなぁ……笑

 

以降は右も左も分からない激戦に突入。ですが、二転三転の末、何とか抜け出したんじゃないかと感じた局面がこちらです。(第10図)

 

相手の玉は、△3七桂成▲同玉△3六銀▲同玉△4七角以下の詰めろ。こちらは右辺が広く、簡単には捕まりません。

ここでS氏は残っていた持ち時間(3分くらい)をすべて投入。そして、▲1四角と攻防手を放ってきました。

これも読み筋には入っていて、△3七桂成▲同玉△4五銀で上部の逃げ道を作れば勝ちと判断していました。実際、これで悪くはなかったのですが、もっと明快な手段がありました。

実は▲1四角は詰めろではなかったんですよね。なので、▲1四角には△3五桂と縛っておけばゲームセットだったのです。(B図)

 

対局中は、▲3二金△同金▲同角成△同玉▲1二飛で詰みと思い込んでいたのですが、△4一玉と逃げれば不詰めです。つい、玉が下段に落ちるのはアウトだと誤認してしまいました。

ちなみに、S氏は▲1四角が詰めろではないことを知っていて決断されたそうです。いやー……そうですか…。自分が逆の立場だったら、とても、それはできないので、ちょっと胆力の差を感じましたね…。

 

本譜に戻ります(途中図)

しかしながら、前述したように、本譜でも勝ち筋は残っています。ここから▲2三香成△4四玉▲3六桂△同銀▲同角と進んだ局面が、最後の山場でした。(第11図)

 

この局面は、3六の角がキーパーソンです。こちらとしては、この駒を抜いてしまえば上部の制空権を掌握でき、勝ちに結び付きます。

よって、△4六銀▲同玉△3五角▲3七玉△4六金▲2七玉△3六金▲同玉△4七角と言った要領で、強引に角を奪い取ってしまえば問題ありませんでした。

 

ところが、対局中の私は3六の角の利きを逸らすことが急所と判断してしまってんですよね。とりあえず△2五桂と打てば、(1)▲同歩は△2六銀から詰みそうだがら(2)▲同角の一手。そこで何か捻り出そうと思っていました。(第12図)

 

しかし、いざこの局面に相対すると、全くもって適切な手が見当たらないので愕然。角が2五へ移動したことにより、先ほどのような王手を掛けながら角を抜くような手が消えてしまったのが痛恨でした。ここはもう、勝機が無いですね。

 

というわけで、今回はベスト16で敗退。なお、S氏はこの後も勝ち進み、見事に優勝を成し遂げました。おめでとうございます!

 


終わりに

 

冒頭にも述べた通り、今回で6回目の全国大会でしたが、実はその内の3回は私に勝った人が優勝されているんですよね。

その人に勝っていれば――――という思いもありますが、これが今、自分が直面している壁なんでしょうね。

正直、「また、届かなかった…」という感情はあります。しかし、あんまり勝ちたい、優勝したい、ということを意識しすぎると、将棋そのものを楽しめなくなるような気もするんですよね。

という訳で、目先の勝敗には囚われず、フラットな状態を維持して今後も将棋(及びブログ)に取り組んで行こうかなと思っています。その方が健康的だもんな笑

 

ではでは、今回はこの辺で。ご愛読、ありがとうございました! また頑張ります٩( •̀ω•́)و

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