どうも、あらきっぺです。今日も次の一手に取り組んでいきましょう。
今月は、「悪手探し」をテーマに問題を出題します。
・問題は、主にあらきっぺが指した将棋を基に制作しております。問題に齟齬がないように注意しておりますが、人間なのでミスがあることもございます。大らかな目でご覧いただけると幸いです。
・問題の難易度としては、主に有段者を対象に想定しております。したがって、級位者の方々には、些か荷が重いかもしれません。ただし、解答及び解説は丁寧に記しておりますので、難しければ解答だけでもご覧ください。
・「ご挨拶」の記事でも記している通り、問題の無断転載は、ご遠慮お願い致します。
目次
昨日の解答
それでは、答え合わせです。形勢の悪化を防ぐことが目的でしたね。
(A)▲2一角
(B)▲4五桂
(C)▲4五同歩
(D)▲8四歩
▲2一角と▲4五歩が悪手でした。
解説
まずは、何故これらの手が悪手なのかを説明します。
(A)の▲2一角は、部分的には頻出する攻め筋の一つですね。確かにここに角を使えば飛車を成ることは実現します。
ですが、△3一金▲5四角成△同歩▲2三飛成△4六歩と進められると、先手のほうに危険が迫っているような印象を受けませんか?(第1図)
ここで▲3三竜と桂を取りたいのは山々ですが、△5五歩が厳しい突き出しです。▲4五銀と逃げても△6五角が厄介ですね。(A図)
このように、先手は4筋に傷を負うとそのまま玉の危機に直結するので、このような攻め合いは芳しくないのです。
次に、問題図から(C)の▲4五同歩を見ていきましょう。これは自然な応手ではありますが、△3五歩で桂頭に着手されるのが強敵なのです。(第2図)
3六の地点を補強するには▲4七金と上がるくらいですが、それを見て△2三歩と受けるのが賢い手順。先手は桂頭をケアするために▲2六飛と引きますが、△4五桂▲同桂△同銀▲同銀△同飛で後手は調子よく攻め駒を捌くことを実現しました。(第3図)
これには▲4六歩と打つのが自然ですが、△8五飛が成立することが後手の自慢です。▲8六歩と受けるよりないですが、△5五飛と逃げられると先手の持ち歩が少なく、不満を抱えています。(B図)
話を整理すると、▲2一角は乱暴な攻めになり、▲4五同歩では桂頭を攻められたときに都合が悪い。ゆえに、これらの手は悪手なのです。
他の手について
上記の失敗例を踏まえると、先手は玉型に差を着けられて形勢を損ねていることが分かります。第1図やB図は後手の美濃囲いの堅さが際立っていますね。
したがって、先手は極力、それに差を着けられないような手段が求められています。(B)の▲4五桂が、その方針に合致する一手になります。(第4図)
こうなると△同桂▲同歩△同銀▲同銀△同飛と互いに銀桂を総交換することになりますね。その局面は△4九飛成が残っているので、▲4七歩と受けておきましょう。
後手も同じく飛車成りが残っているので、△2三歩と受けることになります。そのとき、▲2九飛と引けることが先手にとって大きな価値を持つのです。(第5図)
今度は先手が▲3八金・▲2九飛型を作っているので、陣形が引き締まっていることが分かります。ここで△8五飛には▲4一角があるので、後手は歩を取ることができません。第3図とは雲泥の差がありますね。
先手は常に▲8四歩△同歩▲7五桂という要領で後手の玉頭から攻める手段を確保しているので、これなら後手に玉型の優位性を主張される展開にはなりません。むしろ、先手陣のほうが安定感のある将棋と言えそうです。
ちなみに、問題図から(D)の▲8四歩には△同歩と応じることになるのですが、それからこの変化に合流すれば同じような局面に誘導できるので、先手としては不満が無いですね。(C図)
問題図では▲2九飛と引く形を作りやすくすることで、自陣の安定感を保つことが急所でした。▲2一角や▲4五同歩はその条件を満たしていないので、悪手になってしまうという訳ですね。
毎日次の一手 (2019.4.28)
冒頭に記したように、今月のテーマは「悪手探し」です。ルールは、以下の通りです。
4つの選択肢の中に、悪手が少なくとも一つ含まれております。それを見つけ出してください。(悪手の数が一つとは限りません)
ちなみに、選択肢の全てが悪手ということはありません。つまり、悪手の数は1~3ということになりますね。悪手を見抜いて、局面を有利な方向へ導いてください。
それでは、今日の問題です。Let’s challenge!!
(A)▲3三角成
(B)▲5八金
(C)▲3七桂
(D)▲5五桂
目的: 優位を維持する。
解答は明日に発表いたします。お楽しみに!