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今週の妙手! ベスト3(2019年12月第2週)

妙手

どうも、あらきっぺです。

当記事は、直近一週間の間に指された将棋の中から思わず唸らされる妙手を紹介するコーナーです。それでは、さっそく見ていきましょう。

なお、先週の内容は、こちらからどうぞ。
今週の妙手今週の妙手! ベスト3(2019年12月第1週)

 

注意事項

 

・直近一週間に行われた対局の中からセレクトしています。ただし、全ての対局の棋譜に目を通している訳ではありません。ご了承ください。

 

・文中に登場するプレイヤーの肩書は、全て対局当時のものです。

 

・妙手の基準及び選考の基準は、あくまで筆者の独断と偏見に過ぎません。また、ここで取り上げなかった手を評価していないという訳でもありません。それらを踏まえた上で、記事をお楽しみくださいませ。

 

今週の妙手! ベスト3
(2019.12/8~12/14)

 

第3位

 

初めに紹介するのは、こちらの将棋です。[ゴキゲン中飛車VS超速]というポピュラーな戦型になり、このような局面を迎えました。(第1図)

 

妙手

2019.12.13 第33期竜王戦6組ランキング戦 ▲藤原直哉七段VS△里見香奈女流四冠戦から抜粋。(便宜上先後逆で表示)

駒得で、かつ[竜角角香]という充実した戦力で攻めていることから、後手優勢と判断できる局面です。しかしながら、次に▲7四桂打が入ってしまうと嫌な格好になってしまいますね。

 

後手としては、いかにしてそれをクリアするかが課題ですが、里見女流四冠は明瞭な答えを用意していました。

里見女流四冠が指した手は、△7九角です!

 

妙手

決断良く角を打ち込んだのが妙手でした!

 


妙手

▲7四桂打をただ受けるだけの手を指すようでは面白くありません。これが鋭い一撃でした。

先手は▲同金と応じるよりないですが、△7七香成▲同玉△7九竜▲7八金△8八角▲7六玉で上部へ追い立てて、△6四金と押さえるのが狙いの一着になります。(第2図)

 

妙手

これが後手の指したかった手です。▲7四桂打からのトン死筋を消しながら敵玉を挟み撃ちにする一石二鳥の金打ちですね。こうなると先手は▲8六桂と打った手が無効化されており、手段に窮していると言えます。

 

後手は△7九角と踏み込むことで、敵玉を寄せながら自分の玉を守るという非の打ち所がない手順を展開することが出来ました。まさに、「攻撃は最大の防御」といったところですね。

 


第2位

 

次にご覧いただきたいのは、こちらの将棋です。[三間飛車VS居飛車穴熊]という構図になり、端を巡る攻防になりました。(第3図)

 

妙手
2019.12.12 第78期順位戦C級2組7回戦 ▲佐々木大地五段VS△西川和宏六段戦から抜粋。

盤面の左側に戦力が集まっており、対抗形らしい終盤戦ですね。お互いに玉型が堅いので、まだまだ先が見えない局面に映ります。

 

ところが、次の一手で先手は一気に方針が分かりやすくなり、視界が開けました。

佐々木五段が指した手は、▲9九玉です!

 

妙手

じっと玉を引いたのが妙手でした!

 


妙手

ぱっと見では意図が見えにくい一着ですが、これを指すことにより、先手は最強の布陣を作れることが約束されました。どういう事なのか、具体的に説明します。

 

後手としては9筋の香を削っていくのが最速の攻めなので、△7四歩と突いて、次の△9五歩を狙うのが自然です。けれども、それには▲9八香打が絶好手になるので、上手くいきません。(A図)

 

そこで、本譜は△7四銀▲7七桂△6五歩と捻った対応を見せましたが、やはり▲9八香打と設置する手が絶品。この手の価値が高いので、▲9九玉と引く手が素晴らしいのです。(第4図)

 

妙手

一般的に穴熊の弱点は端と言われますが、これだけ香を重ねれば全く怖くありません。自陣の憂いが完全に消え去り、先手玉は無敵状態です。以降は、堅さにモノを言わせた先手が大勝を収めました。

 

第3図の局面は、9筋の覇権争いが全てです。先手は▲9九玉と引くことで持ち駒の香の有効な使い道が生まれ、その結果、端を制圧することに成功したというストーリーでした。見事な筋書きでしたね。

 




第1位

 

最後に紹介するのは、こちらの将棋です。棋譜を並べていたとき、この手は全く浮かびもしない着想だったので、感銘を受けました。(第5図)

 

藤井聡太の妙手

2019.12.10 第91期ヒューリック杯棋聖戦二次予選 ▲北浜健介八段VS△藤井聡太七段戦から抜粋。(便宜上先後逆で表示)

現局面は後手が駒得しているものの、先手も囲いが頑丈なので、「玉型」という主張があります。駒を剥がすなら△4五香が浮かびますが、そういった単純な攻め合いでは先手の主張を活かしてしまいかねません。

 

藤井七段は、囲いの差で劣っている問題点を改善する手を捻り出します。稀代の天才は目の付け所が違いますね。

藤井七段が指した手は、△1三桂です!

 

藤井聡太の妙手

囲いの桂を端に跳ねたのが妙手でした!

 


藤井聡太の妙手

2五の位をターゲットにしたのが、正鵠を射る一着でした。

本来、桂を端に跳ねる手は率が悪いですし、それが囲いの駒なら尚更です。しかし、そういったデメリット以上に2五の歩を取りに行くことが、この局面では意義のあることなのです。

 

先手がこの桂跳ねを真っ向から咎めに行くのであれば、▲1五歩になるでしょう。ですが、それには△2五桂▲1四歩△1八歩▲同香△2四香というカウンターが痛烈なので、先手は指し切れません。(B図)

 

藤井聡太の妙手

2五の桂がいなくなれば、自動的に田楽刺しが発動します。ということは、次の△1七歩が凄まじい威力になっていますね。

ここで▲1三歩成と指しても手抜きで△1七歩と打たれてしまうので、先手は攻め合い負けを喫してしまいます。

 

改めて、△1三桂の局面に戻ります。

藤井聡太の妙手

つまり、先手は2五の歩を失ってしまうと、囲いの安全性が担保されないのです。

よって、本譜は▲3七桂と受けたのですが、△5一香▲6二竜△8九竜▲6八金△5九竜という攻めが生じました。(第6図)

 

藤井聡太の妙手

角の利きが止まったので、ここに竜を回れるようになっています。5筋に竜を配置したことで、後手は囲いの強度が向上しました。

先手は金を失う訳にはいかないので、▲7八金△5八竜▲8七金と辛抱しましたが、△5四桂が痛打ですね。(第7図)

 

藤井聡太の妙手

先手は分かっていても、△4六桂▲同歩△4七銀という攻めを防ぐことが出来ません。後手は相手よりも先に囲いの駒を削る状況に持ち込めたので、「玉型の差」という問題点をクリアすることが出来ました。以降は、危なげなく藤井七段が勝ち切っています。

△1三桂と跳ねた手をきっかけにして、玉の堅さを逆転した一連の組み立ては美しい手順でしたね。こういった指し回しが出来るようになりたいものです。

 

今回の妙手は、攻防の要となっている部分を押さえに行くという共通点がありました。そういったことを意識すれば、妙手の発見となる道標になるのかもしれません。

 

それでは、また。ご愛読、ありがとうございました!

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