どうも、あらきっぺです。
どんなことを書こうか、いろいろ考えましたが、まずはNHK杯の解説を行いたいと思います。
解説って… 「既にもうテレビでやってるじゃん」 と思う方もいるかと思います。
ただ、テレビでの解説はどうしても口頭での説明が多くなりますし、大盤を使った解説も図面を複数同時展開できるわけではないので、視聴者に対して意図が伝わりにくいところもあるように感じます。
そういった部分を、このブログでフォローしていければ、と考えています。
それでは、さっそく解説に移りましょう!
本局の棋譜は、こちらのサイトからご覧いただけます。
参考
本局の棋譜NHK杯将棋トーナメント
戦型は相掛かりになりました。第1図をご覧ください。
ここは作戦の分岐点で、3八の銀をどのように使うかでこの後の展開が大きく変わります。
畠山八段は▲2七銀と上がり、棒銀を選択しました。(青い字は実戦の指し手)以下、△3三角▲3六銀△2二銀と進みます。(第2図)
さて、ここでは▲2五銀と進軍する手が考えられます。敵陣目がけてガンガン攻めたいところですよね。次の▲3四銀と▲2四歩が受けにくく、調子が良いように見えます。しかし、これは後手の待ち受けるところなのです。
▲2五銀には、△8六歩▲同歩△同飛(A図)とします。
A図では次に△8七歩と打たれる手があるので、先手は▲8七歩と受けるくらいですが、△8四飛▲2四歩に△3五歩が受けの好手です。(B図)
この手が銘記すべき受けの手筋で、先手の攻めを封じることができます。
B図から▲2三歩成△同銀▲2四歩と攻められても、△同銀▲同銀△同飛で問題ありません。
というわけで畠山八段は第2図から▲9六歩と突きました。これはA図で△8七歩と打たれたときに▲9七角と逃げる余地を作った意味です。つまり、攻めるための準備ですね。
対して増田四段は△5二玉。これは「あなたの攻めは怖くないですよ」と主張しており、強気な対応です。(第3図)
ここで畠山八段は時間を使いました。おそらく、(1)▲2五銀か(2)▲4五銀とどちらかに銀を繰り出す手を読んだのだと思います。
ただ、(1)▲2五銀は△8四飛▲2四歩△3五歩でB図とほぼ同じ局面なので上手くいきません。
また、▲4五銀は△8六歩▲同歩△同飛▲3四銀に、△2四角で困ってしまいます。(C図)
C図では△5七角成を受けないといけないので▲5八玉が一例ですが、△3三桂と跳ねられると▲3四銀が立ち往生しています。次に△8四飛と引かれると銀が取られてしまいますが、それを受ける術がありません。
すぐに攻める手が上手くいかないので、畠山八段は▲1六歩△9四歩▲1五歩と進めました。1筋を伸ばし将来の端攻めを視野に入れ、力を溜めた意味です。
以下、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲7六歩△7四歩と互いに陣形を整えた局面が第4図です。
△7四歩を突くと飛車の横利きが止まるので▲4五銀を誘発しますが、後手は△7三銀や△7三桂で駒を前に出さないと攻撃態勢を作れないので、ここは恐れずに突くのが大事です。
こうして振り返ってみると、第1図から第4図まで何気なく進んだように見えても水面下では様々な駆け引きがあったことが分かります。少し難しかったかもしれませんが、こういった部分を理解できるようになると、より将棋を楽しむことができますね!
第4図では手が広く、候補手が多い局面です。ここから畠山八段は攻めの手を選び、いよいよ戦いの火ぶたが切って落とされます。
では続きは中盤編で!ご愛読ありがとうございました。