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今週の妙手! ベスト3(2021年1月第3週)

今週の妙手

どうも、あらきっぺです。

当記事は、直近一週間の間に指された将棋の中から、思わず唸らされる妙手を紹介するコーナーです。それでは、さっそく見ていきましょう。

なお、前回の内容は、以下の記事をどうぞ。
今週の妙手今週の妙手! ベスト3(2021年1月第2週)

注意事項

・直近一週間に行われた対局の中からセレクトしています。ただし、全ての対局の棋譜に目を通している訳ではありません。ご了承ください。

 

・文中に登場するプレイヤーの肩書は、全て対局当時のものです。また、プレイヤーの名称が長い場合は、適宜省略・変更させて頂きます。ご理解頂けると幸いです。

 

・妙手の基準及び選考の基準は、あくまで筆者の独断と偏見に過ぎません。また、ここで取り上げなかった手を評価していないという訳でもありません。それらを踏まえた上で、記事をお楽しみくださいませ。

今週の妙手! ベスト3
(2021.1/10~1/16)

 

第3位

 

初めに紹介するのは、こちらの将棋です。後手の一手損角換わりに先手が早繰り銀で対抗する将棋になり、このような局面を迎えました。(第1図)

妙手 攻め

2021.1.10 ▲ABC-XYZ VS △Krist_483_473stb_16t_100m戦から抜粋。(棋譜はこちら

先手は自玉がしっかりとした構えなので、攻めに専念できる局面ですね。ただ、後手陣も目立った隙が無く、攻略するのは簡単ではないように見えます。

ところが、思わぬところに弱点があったのです。本譜はそれを的確に撃ち抜きました。これは目敏い一着でしたね。

ABC-XYZが指した手は、▲2二銀です!

今週の妙手
2三の金に「動け」と働き掛けたのが妙手でした!


 

 

今週の妙手

これが快心の一撃でした。この場所に銀が打てるとは、なかなか気付かないですね。

△同金は、▲3四角成で万々歳です。また、放置していても▲1三銀成△同金▲3四角成で、やはり駒得することが出来ます。2三の金を移動させて角を素抜くという攻め筋が、急所を捉えているのですね。

今週の妙手

後手は3四の角に紐を付けるとすれば、△4三玉と立つしかありません。けれども、▲2一角成△5二玉▲1二馬と進められると、どうも受けが利かないですね。(A図)

後手はどう頑張っても、▲1三銀成を防ぐことが出来ないのです。

 

今週の妙手

仕方がないので、本譜は△4六歩▲1三銀成△6七角成という非常手段に訴えました。これは▲6七同金なら△1三金で手を戻そうという意図です。

しかし、△6七角成には強く▲2三成銀△5七馬▲2四成銀と踏み込むのが好判断。やはり先手の優位は揺るがないですね。(第2図)

妙手 攻め

囲いの金銀を取らせるので大胆な手順ですが、先手は飛と角が自玉を守る役目も兼ねているので、相当に耐久力があります。ゆえに、ズバズバと斬り合ってしまえば勝算が高いのですね。

妙手 攻め

次は▲3三成銀△同玉▲2三飛成が痛烈です。後手は△2六歩と遮断すればそれは阻止できますが、▲3四角成が詰めろ銀取りなので、焼け石に水ですね。この二つの狙いを対処することが出来ないので、この局面は先手が優勢なのです。▲2二銀の破壊力がよく分かる進行ですね。

 

今週の妙手

始めの局面では▲4五歩で歩切れを解消する手も自然だっただけに、この手は相当に見えません。確かに、3四の角を攻撃する形に持ち込めば、後手の防衛ラインは決壊します。▲2二銀は鋭敏な攻めの妙手でしたね。

 

第2位

 

次にご覧いただきたいのは、この将棋です。先手が角交換振り飛車を採用し、6筋から小競り合いが起こりました。それが一段落したのが、この局面です。(第3図)

コンピューター将棋

2021.1.13 ▲Sagittarius VS △mytest0426戦から抜粋。(棋譜はこちら

まだまだこれからの将棋ではありますが、何だか振り飛車のほうが苦心しそうな印象を受けるのではないでしょうか。先手は7筋の金銀が使いにくそうですし、目指すべき理想形も見えて来ません。

しかしながら、ここから十数手ほど進むと、盤面の景色は一変します。これは捌きのアーティストと呼ぶに相応しい手順でしたね。

Sagittariusが指した手は、▲7五歩です!

今週の妙手

7筋の歩を突っ掛けて、攻め駒を捌く準備を進めたのが妙手でした!


 

 

今週の妙手

これは7筋の歩を交換する……という意味ではありません。先手はこれを指すことにより、自分の攻め駒を潤滑に進める効果があるのです。

とは言っても、この段階では全くピンと来ないですよね。百聞は一見に如かず。何はさておき、ここから始まる流麗な捌きをご覧ください。

今週の妙手

後手は△7五同歩が自然ですが、まず▲6八飛で飛車に活を入れます。△7四銀だと▲7六歩と合わせれば、調子が良いですね。

ゆえに本譜は△6四銀を選びましたが、これには▲6六歩と合わせます。歩を取り込んだ時に銀に当たる場所で歩を合わすことがポイントです。そうすることで、攻めに弾みをつけていることが分かりますね。(第4図)

妙手 捌き

△同歩▲同銀は、スムーズに銀が中央へ向かうので振り飛車満足。したがって、ここは△6二飛で増援を送るのが妥当な対応です。先手は後続が難しいようですが、▲8六歩と戦線を広げたのが素晴らしい着眼点でした。(途中図)

妙手 捌き

振り飛車の方から8筋の歩を突っ掛けるのは珍しいですが、これが臨機応変な判断です。どんな形であろうと、先手は7七の銀を前進できれば良いのですね。

妙手 捌き

後手は戦いを収めたいので△8六同歩▲同銀△6六歩とぶつかっている歩を払っていきますが、先手は▲7七金で援軍を送ります。懸案の金銀が、少しづつ使えてきました。(第5図)

妙手 捌き

次に▲6六金が指せれば、振り飛車は非常に伸び伸びとした格好です。他には▲7四歩と打つ手も楽しみですね。後手はそれらを防ぐべく△6五銀と指しましたが、▲7五銀△7四歩▲8八飛が流麗な捌き。これで先手は優位を掴むことに成功しました。(第6図)

妙手 捌き

銀が7五へ進出できたので、この飛車回りが絶好の活用になっています。▲7七金は、こういった狙いも含みにしていたのですね。ここまで進んでみると、先手の駒が生き生きと躍動している様を感じられるのではないでしょうか。

妙手 捌き

後手は飛車を成らせる訳にはいきません。ですが、ここで△8二歩と受けても▲6三歩△同飛▲6四歩△6一飛▲6六金という攻めがあり、局面を鎮静化することが出来ないですね。(B図)

第6図の局面は、先手の駒がスカッと捌けています。この局面は飛の働きと玉型に差が着いているので、振り飛車良しと言えるでしょう。

 

今週の妙手

こうして振り返ってみると、先手は[▲7五歩△同歩]の突き捨てを入れることで、敵陣を攻める条件を良くしていることが分かります。具体的には、

第4図で△8四角を防止
・▲7四歩と打つ手を作る
・左銀が進むルートを作る

こういったベネフィットがありましたね。

 

妙手 振り飛車

また、相手の飛車を6筋に移動させて▲8六歩と突っ掛ける組み立ては、非常にクレバーと言えます。それが最終的には▲8八飛という転換に繋がっており、飛車の効率に差を生み出す要因となったのですね。▲7五歩からの一連の手順は、まさに振り飛車の模範とも言える駒捌きでした。

 



 


第1位

 

最後に紹介するのは、この将棋です。これは相当、お目にかかれない受けの妙技だと思います。見た瞬間、思わず驚嘆の声を上げてしまいました。(第7図)

妙手 受け

2021.1.12 ▲Nao. VS △Cendrillon戦から抜粋。(棋譜はこちら

ご覧のように両側の端や2筋が戦場になっています。ただ、先手は玉が戦場に近い場所にいるので、状況は芳しくないように思えるところですね。現に、この2筋のプレッシャーはかなりのものがあります。

けれども、次の一手を境にして、流れが一気に変わります。将棋には、こんな受け方があるんですね。

Nao.が指した手は、▲2七香です!

今週の妙手

合わせの歩ならぬ「合わせの香」で、拠点を消しに行ったのが妙手でした!


 

 

今週の妙手

「どうぞ、香を召し上がってください」と言わんばかりの一着ですね。全くもって常軌を逸していますが、これがこの局面における最適解なのです。

妙手 受け

なお、先手は2筋を受けるのであれば、▲3七桂と跳ねるほうが普通ですね。以下、△1三桂▲2九香が進行の一例でしょう。(第8図)

妙手 受け

こういった手順のほうが常識的な対応ではあります。が、この方法では2六の歩を除去できないので、不本意な進行なのです。実際問題、△2五桂からの攻めが気になるところでしょう。

 

妙手 受け

要するに、先手は2六の拠点を取り払わないことには自玉が安定しません。ただ、ここで▲2六同角は△2五香で被害が大き過ぎます。ゆえに、香を犠牲にあの歩を打ち消しに行ったのですね。

今週の妙手

ここで△2五香は、▲2六香△同香▲2七歩と進めれば差し支えないでしょう。これは2筋の嫌味がスッキリ消えるので、後手は選べないですね。(C図)

よって、▲2七香には△同歩成▲同銀が必然の進行です。ひとまず、これで先手は当面の危機を回避できました。(途中図)

妙手 受け

さて、後手は△2五香が走れないので、どうも有効な攻めが見当たらないですね。そうなると、▲9三歩成を受けなければいけません。なので本譜は△8四銀と指したのですが、先手は▲1六歩△同香▲同銀で香を取り返します。

こうなると、先手はノーリスクで爆弾を処理できた形になりました。上手く立ち回ったことが読み取れますね。(第9図)

妙手 受け

さて、後手は△2五香でロケットを発射したいのですが、現状では▲同銀△同飛▲2八香で迎撃されるので、頓挫してしまいます。

妙手 受け

ゆえに、実戦は△3五歩と突きました。もし▲同歩なら、今度こそ△2五香▲同銀△同飛が実行できるという寸法ですね。しかし、そうは問屋が卸しません。△3五歩には▲9三歩成△同桂▲2四香が堅実な押さえ込み。これで後手は攻撃の手立てを失いました。(第10図)

妙手 受け

素直な対応は△同香▲同歩ですが、そうなると後手は2四の歩が取れませんね。なぜなら、△2四同飛には▲2七香△1四飛▲1五歩△1三飛▲2四歩で2筋を制圧されてしまうからです。

妙手 受け

しかし、これが取れないようでは後手は大駒が起動しないので、攻めが尻すぼみになってしまいました。後手は2筋のロケットが発射できなかったばかりか、逆に先手からの攻撃を受ける格好になってしまいました。▲2七香という予想だにしない強防が、後手のプランを狂わせたのです。

 

今週の妙手

この香打ちは、前述したように2六の拠点を除去することが目的です。ただ、それ以外にも2八の銀を前線に出す意味も持っていたことに注目して頂きたいですね。この銀が繰り出せたことで1五の香を召し取ることができましたし、ひいてはそれが後手の二段ロケットを壊すことにも結び付いています。

妙手 受け

あのロケットがいつまでも残っていると、いずれ2筋が支えきれなくなることは想像に難くありません。▲2七香はそういった最悪の未来を回避する力を持つ、強靭な受けの妙手でしたね。

 

それでは、また。ご愛読、ありがとうございました!

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