最新戦法の事情【居飛車編 春季号】を公開しました。詳細は、ここをタップ!

最新戦法の事情 振り飛車編(2020年12月号)

最新 振り飛車

どうも、あらきっぺです。このところ非常に冷え込んでいるので、お布団から出ると一瞬で目が覚めますね。まぁ、布団から出るまでが勝負なんですが笑

 

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。なお、前回の内容はこちらからどうぞ。最新 振り飛車最新戦法の事情 振り飛車編(2020年11月号)

 

注意事項

 

・調査対象の将棋は、先月のプロの公式戦から(男性棋戦のみ)。棋譜はネット上や棋譜中継アプリにて公開されているものから収集。全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。

 

・記事の内容は、プロの公式戦の棋譜を参考にしておりますが、それを元にして筆者独自の研究内容も含まれております。記事内容の全てが棋譜の引用という訳ではありません。

 

・戦法や局面に対する評価や判断は、筆者の独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、妄信し過ぎないことを推奨致します。

 

最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.11/1~11/30)

 

調査対象局は72局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。

 

先手中飛車

抜群の柔軟性


7局出現。出現率は9.7%でした。10月では19.7%だったので激減しています。このところ採用数の波が激しく、振り飛車が見送っているのか居飛車が避けているのか、よく分からないところはありますね。

 

居飛車の傾向としては、11月上旬では左美濃系統の作戦が散見されました。これは、後手超速を選ぶと以下の局面に誘導されたときに課題があることが理由だと推察されます。(第1図)

先手中飛車 最新

こういった局面になったとき、居飛車は△3三銀→△4四銀と繰り出すのがお馴染みの指し方ですね。しかし、それでは上手くいきません。詳しい理由は、以下の記事をご参照ください。

最新戦法の事情 8月最新戦法の事情 振り飛車編(2020年7・8月合併号)

 

先手中飛車 最新

そんな経緯があったので居飛車は左美濃系統の作戦に鞍替えしていたのですが、11月下旬に新たな作戦が登場しました。今回は、それを解説しましょう。

先手中飛車 最新

まず、第1図から△5二金右▲2八玉△4四歩▲4六歩△4三銀と穏やかに駒組みを進めます。ここまでは昔から見かける指し方でしょう。(第2図)

先手中飛車 最新

ただ、この組み方だと居飛車は囲いを発展するとき、スムーズに左美濃や銀冠に組むことが出来ません。ゆえに、△4四歩から持久戦を選ぶ指し方は面白くないように感じるところです。

ところが、ここから居飛車は今までにない組み方をして、囲いを強化していきます。それが、第3図の局面ですね。

先手中飛車 対策

△3三角→△4二金寄→△2二玉…という要領で守備駒を右側へスライドさせ、そこから穴熊を目指すのが斬新な手法でした。

木村美濃系の囲いから穴熊に組むとは意表を突かれますが、確かにこうすれば囲いを強化できますね。穴熊に潜ってしまえば、先手の囲いに当たり負けしなくなります。

先手中飛車 対策

このあと居飛車は△1一玉→△2二金上で囲いを引き締めて、△5四歩から動くのが楽しみになります。4三の駒が銀なので、中央から動きやすいことも嬉しいところですね。

 

ちなみに、この作戦の実例としては、第14回朝日杯将棋オープン戦二次予選 ▲菅井竜也八段VS△澤田真吾七段戦が挙げられます。(棋譜はこちら

この将棋は居飛車が作戦勝ちから着実に押し切っており、構想力の勝利という内容でした。

 

先手中飛車 最新

こういった持久戦の姿勢で良いのであれば、居飛車としてはかなり作戦の幅が広がります。△4三銀と上がってからでも穴熊に組めるということは、すこぶる大きな発見ですね。

先手中飛車 対策

先手中飛車にとって、この穴熊組み替え作戦はかなりの強敵という印象です。今までは第1図の局面を目指せば仕掛けを封じられるので不満無しという環境でしたが、駒組み合戦で不都合があるのでは話が変わってきます。先手中飛車としては課題を突き付けられた格好であり、対策は必須だと言えるでしょう。

 



四間飛車

ミレニアムの新対策登場!


18局出現。11月の中では最も多く指された振り飛車であり、主力の座に君臨していることが分かります。

居飛車の作戦は持久戦が多数派(13局)です。しかしながら、端歩突き穴熊を志向した将棋は僅か2局のみで、これは注目すべき数字と言えるでしょう。

 

背景には四間ミレニアムや耀龍四間飛車が優秀であり、居飛車側は簡単にリードを奪えなくなっていることが理由だと推測されます。なお、これらの戦法の解説は、以下の記事をご覧くださいますと幸いです。

四間ミレニアム(2020年10月号 豪華版)

耀龍四間飛車 (2020年11月号 豪華版)

 

なので、現環境において居飛車は、普通の穴熊に組んだりミレニアムに組む動きが顕著になりつつあります。今回は、ミレニアムを題材に話を進めましょう。(第4図)

四間飛車 ミレニアム対策

さて、ミレニアムに対して振り飛車は様々なプランがありますが、基本的には6六の角や7七の桂を狙うことを念頭に置いて駒組みを進めたいですね。

ミレニアムは囲いの構造上、[▲6六角・▲7七桂型]という配置を作ることが必須なので、これらを一網打尽にすれば優位を掴むことが期待できます。

四間飛車 ミレニアム対策

第4図で振り飛車は美濃囲いの骨格を作っていますが、△7四歩を妙に早く突いていることが目を引きますね。もちろんこれには理路整然とした理由があり、ここからの手順でその意味が明らかになります。

具体的には、ここから△7三銀→△6四銀と繰り出し、先手の角や桂にプレッシャーを掛けるのが振り飛車の用意していた構想でした。(第5図)

四間飛車 ミレニアム対策

囲いの銀を攻めに使うのは非常識なようですが、6四の地点に金駒を配置すれば、6六の角や7七の桂を狙う形が見えて来ます。

四間飛車は△3二銀→△4三銀というルートで銀を運用することになるので、6四の地点に左銀はなかなか配置できません。なので、右側の銀を使うという理屈なのですね。

四間飛車 ミレニアム対策

なお、この振り飛車の作戦の趣旨としては、こちらで紹介した駒組みと同一の狙いです。

四間飛車 ミレニアム対策

しかし、こちらのほうが金を繰り出していない分、自玉が堅いですね。何より、この配置のほうが自然な印象を受けます。△6四金型の上位互換という感がありますね。

四間飛車 ミレニアム対策

さあ、居飛車はボヤボヤしていると、△5二飛→△5五歩で中央から動かれてしまいます。それに備えるべく▲4六歩と突くのは一案ですが、構わず△5五歩と突っ掛けるのが機敏ですね。▲4七銀と応援を送っても、△5二飛と回れば問題ありません。(第6図)

四間飛車 ミレニアム対策

振り飛車は無理のない形で先攻していますし、歩を入手することが確定したので△7五歩から桂頭を攻めることも出来るようになりました。この局面は、「6六の角や7七の桂を狙う」という理想が実現しているので、振り飛車がリードを奪っていると言えるでしょう。

 

ちなみに、この作戦の実例としては、第14回朝日杯将棋オープン戦二次予選 ▲船江恒平六段VS△久保利明九段が挙げられます。(棋譜はこちら

この作戦は、ミレニアムの弱点を構造的に咎められるので、大いに有力という印象を受けますね。

 

四間飛車 ミレニアム対策

このように、居飛車は▲4七銀型に組むという方法では、5筋からの攻めに対処できないことが分かります。では、その前段階でどのような駒組みを行えば良いのか、改めて考えてみましょう。(第5図)

四間飛車 ミレニアム対策

先程の変化の問題点は、△5五歩という仕掛けの導火線を残してしまったことです。よって、ここでは▲5七銀△5二飛▲4六銀と組むほうが手堅い組み方と言えます。相手の争点を消す耐久性理論に則るという訳ですね。(第7図)

四間飛車 ミレニアム

こう指されると、振り飛車は5筋から動くことが出来ません。そうなると困ったようですが、実をいうとこの局面からでも、振り飛車は先攻することが可能なのです。続きは、豪華版のほうで解説しておりますので、ご興味がありましたら参照してくださいませ。

 

三間飛車

石田流に固執しない


18局出現。その内、13局が先手番で採用されています。三間飛車は攻めに重きを置く戦法なので、先手番に多く偏っているこの数字には頷けるものがありますね。

 

対する居飛車は持久戦で対抗するケースが殆どで、急戦は僅か1局のみでした。これは急戦が冴えないというよりも、現環境の居飛車は、持久戦で特に不都合が無いという意味合いのほうが強いからです。具体的には、参考図の作戦が有力な駒組みの一つです。

三間飛車 対策

居飛車は囲いの種類をなるべく保留しながら駒組みを進めていますね。これが三間にとって手強い駒組みで、現環境は振り飛車は苦労している印象を受けます。

淡々と組み合うと端歩突き穴熊に組まれてしまいますし、石田流への組み替えを目指して早い動きを見せると、[△6四銀・△4二角型]を作って迎撃されてしまいます。居飛車は和戦両様の構えなので、相手の作戦に対する適応力が高いことがセールスポイントですね。

三間飛車 対策

なお、この作戦のより詳しい解説を知りたい方は、以下の記事をご覧いただけますと幸いです。

最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年10月号 豪華版)

 

そういった事情があるので、三間飛車は今までとは違うアイデアが必要になっています。多くのプレイヤーがいろいろと試行錯誤していますが、筆者が最も面白いと感じたのはこの指し方ですね。(第8図)

最新 三間飛車

ご覧のように、囲いの構築よりも右桂を早い段階で跳ねていることが、通常形とは異なる部分です。何だか藤井システムを彷彿とさせる駒組みですね。

さて、ひとまず居飛車は▲4五桂の両取りを防ぐ必要があります。ゆえに△4四歩は至って自然ですが、振り飛車は▲5六銀と上がって攻撃力を高めましょう。まずはこの形を作ることが、この作戦の基盤ですね。(第9図)

最新 三間飛車

次に振り飛車は▲6五歩と突き、▲2五桂→▲4五歩でコビン攻めを狙う要領で指します。また、場合によっては直ちに▲4五歩と突っ掛ける手もあるでしょう。

居飛車は理想を言えば穴熊に組みたいところですが、それが完成する前に本格的な戦いになることは明らかなので、現実的ではないように感じます。振り飛車が▲3九玉と引く手を省略している工夫が光りますね。

 

三間飛車 対策

この居飛車の作戦は、端歩突き穴熊と左美濃を両天秤に構えているので、駒組みの過程の中で△2二玉型を長く維持する必要があります。それはつまり、(間接的ではあるものの)角のラインに玉が睨まれ続けていることを意味します。振り飛車は石田流に組み替えるよりも、その弊害を咎めに行くほうが主導権を握りやすいと言えるでしょう。

 

最新 三間飛車

コビンを攻めるためには桂を活用することが必須ですし、そうなると美濃囲いに組む優先度は低くなります。ゆえに、振り飛車は▲4八玉型のまま▲3七桂や▲5六銀を優先するのが良いというロジックなのですね。

最新 三間飛車

このように、▲4八玉型を維持して右桂を早く使う作戦は、面白いアイデアのように感じます。プロ棋戦の類例としては、第79期順位戦C級2組6回戦 ▲西川和宏六段VS△長沼洋八段戦(2020.11.19)でこのような組み方をしている事例がありました。(棋譜はこちら

 

まだ実戦例が多くない指し方ですが、石田流への組み替えを牽制する居飛車の作戦に対して相性が良い印象を受けます。現状は主流ではありませんが、要注目と言える作戦ではないでしょうか。

 

角交換振り飛車

6筋の位を取れ!


11局出現。出現率は15.3%であり、これは10月からあまり変わりがありません。ただ、後手が選ぶ作戦には、少し変化が起こっている印象を受けますね。

具体的には、[△2二飛・△3三桂型]を作る駒組みが、ぽつぽつと増えています。

ただ、この配置は居飛車からの速攻を食らいやすいというデメリットも抱えているので、ややリスクの高い指し方であることは確かです。例えば、以下のような布陣で攻めてくる作戦は強敵ですね。(参考図)

角交換振り飛車 対策

[△2二飛・△3三桂型]の作戦は、長きに亘ってこの指し方に苦しめられており、どうも振り飛車は旗色が悪いのではないかという見解が定着していました。

ところが、今年の9月頃に振り飛車は意欲的な迎撃策を編み出し、風向きが変わりつつあります。詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

 

そういった経緯があるので、現環境の居飛車は参考図の作戦ではなく、持久戦を選ぶ傾向が強くなりました。(第10図)

最新 角交換振り飛車

なお、この戦型で持久戦になると、居飛車は常に△2五桂の仕掛けを警戒しておく必要があります。第10図の▲3六歩は、それを封じた意味がありますね。この歩を突いておけば、△2五桂と跳ばれても▲同飛△2四歩▲8五飛△2五歩▲3七桂で問題ありません。

最新 角交換振り飛車

さて、振り飛車は仕掛けが無いとなると、陣形整備に勤しむことになりますね。そうなると△5四歩が自然ですが、居飛車は▲6六歩△5三銀▲6五歩で素早く位を取ります。これが面白い構想ですね。(第11図)

角交換振り飛車 対策

振り飛車としては、ひとまず銀冠へ発展するのが妥当なところでしょう。角交換振り飛車という戦型において、銀冠は最強と言える囲いですから。

対する居飛車は▲6七銀→▲7八金で木村美濃に組み、そのあと4八の銀を▲5六歩→▲5七銀→▲6六銀右と活用していきます。このように、銀を6筋に並べるのが優秀な駒組みですね。(第12図)

角交換振り飛車 対策

次に居飛車は▲4八角と打ち、▲7五歩△同歩▲同銀△7四歩▲8四銀という進軍を狙うのが楽しみです。振り飛車は分かっていてもそれが防げませんし、それが来る前に仕掛けることも難しい情勢です。すなわち、この局面は居飛車がはっきり作戦勝ちだと言えるでしょう。

 

角交換振り飛車 対策

居飛車はこういったビジョンを描いていたので、素早く6筋の位を取りに行ったのです。振り飛車は歩を渡すと▲3五歩△同歩▲3四歩という仕掛けを与えるので、6筋の位を反発する手段が取れないことが痛いですね。しかし、穏便に駒組みを進めていると、例の形に組まれて作戦負けに陥るのは先述した通りです。

角交換振り飛車 対策

また、振り飛車は早めに△6四歩を突けば位取りを阻止することは可能です。けれども、それはそれで違う弊害が生じるので、問題解決とはなりません。詳しい理由は、以下の記事をご覧ください。

最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年12月号 豪華版)

 

 

話をまとめます。[△2二飛・△3三桂型]の角交換振り飛車は、[自陣角+早繰り銀]の急戦策に対しては対抗可能ではあります。

しかし、現環境では持久戦から6筋の位を取りに来られると、どうも思わしくない展開になりがちという感がありますね。振り飛車としては、第10図前後の駒組みで、もっと工夫が必要だと言えるでしょう。

 

その他・相振り飛車

居玉を厭わない


18局出現。今回は、ゴキゲン中飛車の将棋を解説したいと思います。

 

ゴキゲン中飛車は超速が最大の敵であり、これの対策無しには指すことが出来ません。振り飛車としては、△4四銀型で受けるのが最もポピュラーではありますね。

一口に△4四銀型と言っても様々な指し方がありますが、11月では非常に意欲的な作戦が登場しました。それを紹介しましょう。(第13図)

最新 ゴキゲン中飛車

振り飛車は、やけに早く△7二銀を指していますね。鋭い方は、すでにこの手の意図がぴんときたのではないでしょうか。

ちなみに、プロの実例としては、第79期順位戦A級5回戦 ▲稲葉陽八段VS△菅井竜也八段戦(2020.11.18)が挙げられます。(棋譜はこちら

 

最新 ゴキゲン中飛車

さて、居飛車は▲7七銀で二枚目の銀を出動するのが自然ですね。対して、振り飛車も△6四歩▲6六銀△6三銀で銀を中央へ運んでいきます。居玉のまま銀ばかり動かすのは風変りですが、これが先手の仕掛けを警戒した駒組みなのです。(第14図)

最新 ゴキゲン中飛車

ここで居飛車は▲3七桂と跳ねるのがお馴染みの駒組みですが、それには△5四銀と上がる手がピッタリですね。▲4五桂を許さなければ、そう簡単には打開されません。

この△5四銀を間に合わすために、振り飛車は居玉のまま駒組みを進めていたのです。

 

最新 ゴキゲン中飛車

ここから居飛車が仕掛けるのであれば、▲3五歩△同歩▲2四歩から強引に暴れる手はあります。ただ、居飛車も自玉がそこまで安定している訳ではないので、この段階で戦闘態勢に入るのはリスキーという感は否めません。確信を持って動ける局面ではないのです。

最新 ゴキゲン中飛車

このように、早めの△7二銀は二枚銀急戦を牽制する意味があり、ゴキゲン中飛車にとって面白い手法のように思います。場合によっては居玉のまま戦うことになるので相居飛車のような感覚が求められますが、そういった乱戦を厭わないのであれば、採用してみる価値は大いにあるでしょう。

 


お知らせ

序盤の知識をもっと高めたい! 常に作戦勝ちの状態で戦いたい! という方は、こちらをご覧ください。

参考 最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年12月号 豪華版)

 

最新の戦術には興味があるけど、どう指して良いのか分からない。どうしてプロがこういった指し方をするのかを知りたい。そういったお気持ちがある方には、うってつけのコンテンツとなっております。

 

有料(300円)ではありますが、その分、内容は深堀しております。よろしければご覧ください!

 

今回のまとめと展望

 

【美濃囲いの支持率は落ちている】

全般的な傾向として、振り飛車は美濃囲いに拘らなくなっています。

あえて美濃囲いに組まない戦い方は、四間飛車が端歩突き穴熊に対抗するため、ミレニアムや金無双という囲いに組み始めたのが走りだと考えられますが、それが他の戦型にも波及していった印象ですね。今回の記事でいうと、第5図の構想は特にそれを象徴しています。

四間飛車 ミレニアム対策

一昔前なら[振り飛車=美濃囲い]という考え方が鉄板でした。しかし、現代振り飛車において美濃囲いは、数ある選択肢の一つに過ぎません。相手の作戦を見て自分の囲いを柔軟に変える姿勢を持つことが、現代振り飛車の必修スキルと言えるでしょう。

 

【居飛車の取るべき戦略】

現環境は、四間と三間が振り飛車の二大エースであり、これらの対策を用意することは必須と言えます。

プロ棋界では、どちらの戦法に対しても持久戦が主流ではあります。拙著にも記しましたが、対抗形の将棋は玉の堅さを重視する方が得策なので、やはり持久戦は根強い人気がありますね。

 

また、ゴキゲンVS超速の△4四銀型の将棋についてですが、居飛車は二枚銀急戦以外の指し方だと、こういった作戦も有力だと考えています。

この作戦は、右桂の活用が行いやすいことと、それを端角と連動できることが自慢です。居飛車としては、二枚銀よりもこちらの方が良さを求めやすいかもしれません。

 

それでは、また。ご愛読ありがとうございました!

4 COMMENTS

あらきっぺ

初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩というオープニングは、右四間飛車がすこぶる強敵であり、現環境では居飛車優位という見解が定着しているように感じます。詳しい解説は、こちらの記事をご覧くださいませ。

プロ棋界でもゼロという訳ではありませんが、ほぼ指されなくなってしまいましたね。

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74

返信ありがとうございます。
相手が飛車先をつかないうちから態度をきめすぎているのを逆手にとられてるんですね・・・

逆に右四間飛車は、早石田以外には有効ではないとされているんでしょうか?
その記事で書かれているエルモ囲いと右四間の組み合わせは優秀に見えます。

返信する
あらきっぺ

そうですね。早石田は態度を決めるのが早すぎて、現代的には先述の幅が狭いと見られています。そのような態度を早く決める指し方は、昨今では評価されないですね。

また、右四間飛車は他の振り飛車にも採用は可能ですが、△8四歩(先手なら▲2六歩)を突かずに駒組みを進める必要があるので、オープニングによっては使いにくいところはあります。加えて、通常の三間や四間の場合、振り飛車は▲7五歩の一手を他の手に分配できるので、右四間飛車側はやや条件が悪いという背景はありますね。

最後になりますが、ご指摘のように、elmo囲いと右四間飛車は非常にマッチングが良いです。elmo囲いは舟囲いに比べて6筋が薄いという弊害がありますが、右四間飛車の場合、そういった弱点は顔を出しません。攻めの形が囲いの弱点を保全しているので、理にかなっている作戦ですね。

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