どうも、あらきっぺです。このところお昼に卵粥を作ることがマイブームです。お出汁の量と調味料の黄金比を探るのが楽しいですね。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。なお、今回から図面制作や記事執筆の効率化のため、それらの表示内容が今までと少し変わります。詳細は、当記事の注意事項をご覧くださいませ。
前回の内容はこちらからどうぞ。最新戦法の事情 振り飛車編(2020年9月号)
・調査対象の将棋は、先月のプロの公式戦から(男性棋戦のみ)。棋譜はネット上や棋譜中継アプリにて公開されているものから収集。全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。
・記事の内容は、プロの公式戦の棋譜を参考にしておりますが、それを元にして筆者独自の研究内容も含まれております。記事内容の全てが棋譜の引用という訳ではありません。
・戦法や局面に対する評価や判断は、筆者の独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、妄信し過ぎないことを推奨致します。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.9/1~9/30)
調査対象局は76局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
先手中飛車
今は凪模様
6局出現。ただし、初手に▲5六歩を指して相振り飛車に進行したケースも含めると、9局にまで増加します。
出現率はあまり高くないですが、先手中飛車が冴えないと見られている印象は感じません。王座戦第2局(2020.9.9)でも出現していますし、先手振り飛車の主力戦法の一角だと言えるでしょう。
居飛車は後手超速が以前のように突き刺さらなくなってきている(理由は、こちらの記事を参照してください)ので、この作戦の採用率が下がり、今は対策が分散している傾向があります。9月は目立った動きがあまりなく、凪模様といったところでした。
四間飛車
理想形を許さない
13局出現。先手番で4局。後手番で9局指されました。
居飛車は持久戦を選ぶケースが多く、(10局)中でも穴熊が一番人気。特に、居飛車が先手番の場合は端歩突き穴熊が強力です。後手四間飛車は、これを何としても打ち破らなければいけません。
端歩突き穴熊の対抗策としては、四間ミレニアムが最有力ですね。(参考図)
参考図の局面に誘導できれば、振り飛車は互角以上に戦える将棋となります。なお、四間ミレニアムの基礎となる狙いは、以下の記事を参照してください。
参考 最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年2月号 豪華版)
こういった前提があるので、居飛車も参考図に至る前に工夫を凝らしてきます。具体的には、早い段階で▲8六角と上がっておく手が有力視されている対策ですね。(第1図)
図のように早めに▲8六角を上がっておけば、振り飛車は6四の歩を守るために、△6三金と上がらざるを得ません。ただ、こうしておけば参考図のように△6二金寄と囲いを強化されることがないので、居飛車は得しているだろうと見ているのです。
この場合、振り飛車は囲いが少し手薄なので、すぐに動いていっても成果が上がりません。よって、しばらくは待機することになります。
待つとすれば△8四歩が自然ですが、居飛車は▲7八飛と回って、さらに後手陣を揺さぶります。これが手強い一着ですね。(第2図)
居飛車は▲7五歩をチラつかせていますが、△8三銀のように過剰に反応すると、▲5九角△7二金▲3七角と角を右辺に転換されて面白くありません。
原則として、四間飛車はこの角の転換を許してしまうと作戦負けになります。なので、▲5九角と引かれた場合は△6五歩と動くことが絶対条件です。
けれども、ここで△8三銀と上がってしまうと一時的に囲いが弱体化するので、この瞬間は強く戦うことが出来ません。そういった隙が生じるのを居飛車は待っているのですね。これが▲7八飛の本当の狙いなのです。
よって、ここでは△2二飛で囲いの形を乱さずに待機するのが一案です。△2四歩も見せているので、相手を催促する意味もありますね。
しかしながら、これを見て▲3八飛と回るのが狡猾な手順。▲3五歩は許せないので△4四角と受けますが、▲2八飛と定位置に戻します。(第3図)
相変わらず振り飛車は有効な手待ちが無いので、ここは△3三角と引くくらいです。しかし、その局面を第2図と比較してみると、後手の飛車が2二へ移動していますね。ゆえに、居飛車は▲5九角と引く手が指せるようになっているのです。(第4図)
先述したように、振り飛車は角の転換を許してはいけないので、ここで△6五歩と動くのが「ルール」のはず。けれども、第5図は飛車が4筋にいないので、△6五歩と突いても▲同歩△同桂▲6六銀で効果がありません。
△6五歩の仕掛けは、[△4二飛・△3三角型]で飛車が4筋に直射していないと、発動できないのです。
先手は飛車が右往左往しており迷走していたようですが、踊らされていたのは後手のほうだったのですね。すこぶるトリッキーな手順であり、初見では意図が分かりにくい構想ではないかと思います。かくいう筆者も、しばらくはこれで振り飛車が失敗しているとは気付いていませんでした。
【四間ミレニアムの注意点】
相手が▲78飛と指したところ。
ここは△22飛と回り、▲75歩△同歩▲同飛を見てから△83銀と上がるほうが良かったです。
本譜は先に△83銀を指したので、歩を交換しない態度を取られて損をしました。銀冠への組み換えは、歩交換を見てからですね。#今日の将棋クエスト pic.twitter.com/RYyRui0H6v
— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 3, 2020
第4図で振り飛車は△4二飛と戻すくらいですが、▲3七角の転換が間に合ってしまっては、もう△6五歩とは行けませんね。
居飛車は角が3七に配置できれば5七の銀が使いやすくなるので、そのあとは▲6八銀→▲7七銀右という要領で、どんどん囲いを強化することが出来るようになります。この組み替えが成立するのは非常に大きく、振り飛車はこれを実現されると作戦負けになってしまうのです。
このように、飛車をサイドステップさせて角を右辺に転換する構想の実例としては、第68期王座戦五番勝負第1局 ▲永瀬拓矢王座VS△久保利明九段戦(2020.9.3)が挙げられます。(棋譜はこちら)
これは居飛車の作戦がどんぴしゃりで、模範的な成功例と言えますね。
これを鑑みると、振り飛車はこうなる前に何らかの工夫が必要であることが分かりますね。実を言うと、振り飛車はある工夫を行えば、この角の転換を阻止することが出来るので互角以上に戦うことが出来ます。続きを知りたい方は、以下のリンクからご覧ください。
三間飛車
石田流への組み替えは茨の道
25局出現。出現率は脅威の32.9%であり、9月では最も多く指された振り飛車です。
居飛車は持久戦を選ぶケースが多数派(18局)であり、穴熊と左美濃に二分されていますね。ただ、左美濃は相手の態度によっては銀冠穴熊に組み替える指し方も内包しているので、要するに居飛車は「穴熊に組みたい」という意思を持って持久戦を選んでいることが読み取れます。
穴熊は完成するまでに手数が掛かるので、石田流へ組み替えられないように注意を払うことがとても大事です。例えば、参考図の作戦は居飛車にとって有力な作戦の一つですね。
このように▲6六銀型の穴熊に組み、△3六歩に対して▲3八金と対抗するのが面白い作戦です。風変りな指し方ではありますが、こうすることで、居飛車は相手の理想形を封じることが期待できます。
なお、この作戦の詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
個人的に、この作戦は相当に優秀だと感じているのですが、全く憂いが無いというわけでもありません。
まず第一に、金が囲いから離れてしまうことが挙げられます。もちろん、▲3八金と上がることにより、多くのメリットがあるのでこう指している訳ですが、やはり本音としては囲いにくっつけたいところではあるでしょう。
次に、この作戦を採用するには▲4九金型を維持しなければいけないので、駒組みに制約が生じてしまうという点です。(第5図)
例えば、後手に上図のように駒組みをされた場合、先手は参考図の将棋を想定していると▲5八金右とは指せません。ただ、ここで▲5六歩や▲7八玉と指してしまうと、雁木に対して優秀な[左美濃+腰掛け銀]という作戦が使えなくなってしまいます。
【雁木をフルボッコに出来る作戦】
まずは一枚目の形に組みます。仕掛ける前に▲66角と上がっておくのがポイント。
その後は▲45歩△同歩▲同桂と攻めていき、▲71角と打ちましょう。これで雁木は潰れています。
この作戦は先攻できる上に威力も申し分ないので、超優秀です!#今日の将棋クエスト pic.twitter.com/tnPvJy9vC3
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 4, 2020
基本的に、第5図で先手は▲5八金右が最も作戦の幅が広い手待ちなので、この手が三間飛車に対してでも通用するようにしたいのです。
そこで、居飛車は早めに▲5八金右を指しても弊害が出ないようにするため、こういった作戦を選ぶケースが多数派になりました。(第6図)
自ら角道を止めてネガティブなようですが、これが最近のトレンドの一つです。
居飛車はまだ囲いの形を決めていないので、ここから穴熊もあれば左美濃もあります。加えて、▲6五歩と位を取り、相手の進展性を奪う指し方も視野に入れていますね。プランを幅広く選べることがこの作戦の利点なのです。
さて、ここから振り飛車の方針を大きく分けると、
(1)無難に駒組みを進める。
(2)何らかの動きを見せる。
という二つに分かれます。
ただ、(1)の方針では積極性に欠けますし、居飛車に端歩突き穴熊に組まれてしまうと作戦負けになる可能性が極めて高いので、あまり面白みが無いと考えられます。
という訳で、ここでは△3五歩▲6七金△4二角で石田流への組み換えを見せるのが一案です。対する居飛車は▲7八金と上がって囲いを引き締めておきます。この進行は、いつ戦いが起こっても不思議ではないので、▲9八香ではなく浮き駒を無くすことを優先する方が賢明ですね。(第7図)
相変わらず振り飛車は「黙っていると端歩突き穴熊に組まれてしまい作戦負け」という制約を突きつけられているので、△3六歩▲同歩△同飛と動いていくのが自然です。ただ、▲3七歩に対して△3四飛と引くと、▲4六銀→▲6八角のときに当たりが強く、感心しません。
ゆえに、3筋の歩を交換した後には△3二飛と引くことになりますが、居飛車は▲4六銀△5四歩▲9八香で穴熊に組みに行きます。第6図からお互いに自然な手を積み重ねると、こういった局面は出現しやすいですね。(第8図)
さて、この局面をどう評価するかですが、筆者は居飛車のほうが作戦勝ちになりやすい将棋だと見ています。なぜなら、居飛車はここから穴熊に組むことを考えれば良いのですが、振り飛車は今後の構想が難しいからです。
先述したように、無難に組み合うプランでは堅さ負けしてしまうので、振り飛車は囲いの性能では勝ち目がありません。なので、攻撃陣のほうで主張を求める必要があるのですが、その具体案が見えにくいので居飛車のほうが作戦勝ちになりやすいのです。
なお、この作戦の実例としては、第79期順位戦A級3回戦 ▲斎藤慎太郎八段VS△菅井竜也八段戦(2020.9.25)が挙げられます。(棋譜はこちら)
この将棋は難解なところはありましたが、居飛車が形勢を損ねた場面は一度もなく、この作戦の優秀性を示す内容だったと思います。
話を整理しましょう。現環境の三間飛車は、穴熊が一番の強敵です。三間飛車は石田流に組み替えて主導権を握れれば良いのですが、居飛車に参考図や第8図のように組まれてしまうと容易ではありません。攻めの形が上手く作れないと堅さの差がじわじわと出てしまうので、作戦負けになりやすいのです。
石田流への組み替えは魅力的ですが、現環境では居飛車の対策が整備されており、どうも茨の道という感は否めません。三間飛車としては、前回の記事で述べたような石田流以外の指し方に可能性を求める必要があるのではないかと考えています。
角交換振り飛車
△3三桂型に光明あり?
11局出現。その内、8局が後手番での採用でした。
角交換振り飛車は、3三の地点にどの駒を配置するかで戦法の性質がガラリと変わります。具体的には[金・銀・桂]のどれを選ぶかと言う話ですね。
これらは、それぞれ一長一短がありますが、最も駒の効率が良いのが△3三桂型の角交換振り飛車です。今回は、この形で斬新な工夫を見せた将棋が指されていたので、その形を掘り下げたいと思います。(第9図)
△3三桂型の角交換振り飛車において、代表的な定跡形の一つですね。
振り飛車は▲3五歩と突く仕掛けを見せられていますが、3四の地点を補強する術は見当たりません。ゆえに、ここは早くも序盤の勝負所と言えます。
策としては、△7四歩と突いて手待ちするのが最有力。以下、▲3五歩△同歩▲同銀には△6四角と打って反撃します。(第10図)
これには▲4六銀が妥当な応接ですが、振り飛車は△4四歩▲同角△4五歩▲3七銀と進めれば、相手の銀を撤退させることが出来るので、一潰しにされる心配はありません。(第11図)
しかしながら、この局面は振り飛車が一歩損なので、この岐れなら居飛車良しという見解が下されていました。これは今年の5月下旬から、そういった風潮になりましたね。詳しい理由は、以下の記事を参照してください。
最新戦法の事情 振り飛車編(2020年5・6月合併号)
ところが、現環境では新構想が登場したので、振り飛車も戦える情勢になっています。詳しくは、豪華版の記事をご覧ください!
参考 最新戦法の事情【振り飛車編】2020年10月号 豪華版
その他・相振り飛車
金無双がトレンド
21局出現。そのうち、相振り飛車は9局。8月では2局のみだったので、ずいぶんと相振り飛車が増えた印象ですね。そんな訳で、今回はこの戦型をテーマに話を進めます。
相振り飛車という戦型は、囲いの多様性が特徴の一つですね。9月の実戦でもいろいろな囲いが出現しましたが、実を言うと金無双の採用率が高い傾向にあります。(8回出現)
なぜ金無双が支持を得ているのかと言うと、現環境では向飛車がトレンドになっているからです。これに対して適性の高い囲いが金無双なので、この囲いが多く出現するという状況になっています。(第12図)
例えば、初手▲5六歩から相振り飛車になった場合、こういった局面になることが予想されます。
ところで、この局面をご覧になってどういった印象を受けるでしょうか。中飛車なのに5筋から動こうとしていない駒組みは、整合性が取れていないように感じられるかもしれません。
ただ、中飛車の相振り飛車は猪突猛進に5筋を攻めても、なかなか上手くいかないという事情があります。
【相振り飛車の秘密兵器】
相手が中飛車のときの相振り飛車は、△62玉型で△52金右! と上がる手が面白い構想。
こうすることで、銀交換されたときに△43金の受けを用意しています。
見た目は歪ですが、こちらは圧倒的に手得しているので、玉が薄くても勝ちやすい将棋ですね。#今日の将棋クエスト pic.twitter.com/9jSDan0kmF
— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 1, 2020
こういった設定を踏まえると、5筋にこだわらず他の場所へ活路を求める駒組みに腹落ちされるのではないでしょうか。
さて、後手としては、8筋が堅い囲いに組んでおきたいところですね。具体的には、△7二玉▲8八飛△6二金直が最も無難だと言えるでしょう。(第13図)
代えて美濃や穴熊に組みにいく選択もありましたが、先手は7~9筋を主戦場にしようとしていることは明白。であれば、玉が7筋に留まる金無双のほうが安全性が高いという訳ですね。また、矢倉に組み替えやすいことも利点の一つです。
なお、この戦型の実例としては、第79期順位戦C級2組4回戦 ▲谷合廣紀四段VS△井出隼平四段戦(2020.9.10)が挙げられます。(棋譜はこちら)
なお、こういった金無双ファーストの考え方は、他の相振りでも応用されています。(第14図)
後手は三間に構えたものの、先手が美濃囲いを表明したことで2筋の歩を伸ばすプランを選んでいます。第12図と似た雰囲気を感じますね。
同時に、囲いが美濃ではないことにも注目です。従来では[三間+美濃]という組み合わせで足早に動く作戦が優秀と見られていましたが、現環境では先手の対策が整っており、簡単にはリードが奪えなくなっているのです。詳しい解説は、以下の記事を参照してください。
最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年7・8月合併号 豪華版)
基本的に、相振り飛車は速攻ができる状況であれば美濃が最強です。ただ、美濃は8筋や端が脆いので、受けに回るような展開は選べないという弱点があります。要するに、取れる方針が狭い囲いなのですね。
しかしながら、金無双はそういった弱点がないので、受け身になっても存分に戦えるというメリットがあります。もちろん、短手数で囲いが完成するので速攻に適性があることも言わずもがな。そういったバランスの良さが、金無双が流行っている理由だと言えるでしょう。
序盤の知識をもっと高めたい! 常に作戦勝ちの状態で戦いたい! という方は、こちらをご覧ください。
参考 最新戦法の事情【振り飛車編】(2020年10月号 豪華版)
最新の戦術には興味があるけど、どう指して良いのか分からない。どうしてプロがこういった指し方をするのかを知りたい。そういったお気持ちがある方には、うってつけのコンテンツとなっております。
有料(300円)ではありますが、その分、内容は深堀しております。よろしければご覧ください!
今回のまとめと展望
【端歩突き穴熊がキーパーソン】
あらゆる戦型に言えることですが、とにかく振り飛車は端歩突き穴熊を牽制しなくてはいけません。指をくわえてこれに組まれてしまっては、作戦負けの原因となります。
だからこそ、四間はミレニアムに組むという工夫を凝らし、三間はそれが完成する前に足早に動こうと努力をしているのです。
また、角交換振り飛車は、そもそもこれに組まさないという趣意があります。ただし、この戦法は序盤がかなりデリケートなので、端歩突き穴熊に組まれないからといって、安心できるという訳ではありません。角交換振り飛車は、序盤を上手く乗り切れば楽しみ多い戦法という印象ですね。
【居飛車の取るべき戦略】
先手中飛車が手強いこと及び、石田流は与し易しといった環境なので、振り飛車相手には2手目△3四歩のほうが戦いやすいと言えます。
なお、初手に▲5六歩と突かれた場合はどうするのかという話がありますが、4手目に△1四歩と突いて対抗するのは面白い作戦だと考えています。
【初手▲56歩への対策】
初手▲56歩の場合は4手目に△14歩も一つのアイデアです。これは、
▲16歩→相振り
無視→位を取って対抗形という二段構えの作戦ですね。
早めに5筋から動かれた場合は、飛車をぶつけてしまいましょう。あとは端攻めを狙う要領で指せば良いですね。#今日の将棋クエスト pic.twitter.com/SQyU3dyOVx
— あらきっぺ (@burstlinker0828) May 3, 2020
また、先手番の際には四間飛車が最強の相手だと言えるでしょう。端歩突き穴熊で作戦勝ちになるのであれば簡単ですが、本文で述べたように振り飛車に手段を尽くされると容易ではありません。
代案としてはミレニアムで対抗するか、序盤でこのように組んで急戦と持久戦を両天秤に構える指し方が挙げられます。(図)
なお、これはこれで四間飛車にも策はあるのですが、居飛車は一直線に端歩突き穴熊に組む将棋が思わしくないと見れば、こういった作戦を取ることになります。この辺りは、好みの問題ですね。
話をまとめると、先手番では四間飛車が、後手番では先手中飛車が厄介な相手です。これらとどう戦っていくのかが、現環境の居飛車党の課題だと言えそうですね。
それでは、また。ご愛読ありがとうございました!
5七銀型(後手なら5三銀)の向かい飛車金無双は、現在では相振りで優秀とされているのですか?
相振り飛車は、相手の陣形によって囲いや攻め駒の配置を柔軟に変えていく必要があります。なので、[▲5七銀型の向飛車+金無双]が常に優秀とは断言できません。
しかしながら、本文でも述べたように、金無双は速攻の将棋にも受け身に回る将棋にも対応しやすいので、「戦術の幅広さ」という点では、他の囲いにはないメリットがあると言えるでしょう。
いつも分かりやすい解説ありがとうございます。
四間飛車相手にミレニアムに組もうと▲6六角と上がる瞬間に
△4五歩と角交換を迫られる事が考えられますが、
その場合、居飛車側はどの様な作戦があり得るでしょうか?
いつもブログをご覧くださり、ありがとうございます。
さて、ご質問の件ですが、△4五歩で角交換を挑まれた場合は、まず▲5七銀と上がりましょう。
そのあとは、ミレニアムに拘らずに銀冠を目指すことを推奨します。
居飛車としては、以下のように組めれば作戦勝ちが期待できますね。
なるほど、これは分かりやすいです。ありがとうございます。
来月出る新しい棋書も楽しみにしております。