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平成最強戦=東京(2018年度)の出場記

どうも、あらきっぺです。夏、真っ盛りですね。どこか旅行へお出かけになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

かくいう私も、先日、東京へ遊びに行ってきました。正確に言うと、平成最強戦=東京という大会に出るために上京したので、旅行とはちょっと違うかもしれませんが(^^;)

 

平成最強戦=東京とは、日本アマチュア将棋連盟が主催されている大会で、現在、アマチュア将棋界では夏の祭典として定着しているイベントです。(毎年、開催されていて、運営の方々には本当に頭が下がります)

位置づけとしては、これも全国大会の一つなのですが、私が過去に出場した赤旗名人戦アマ王将戦とは少し違うところがあります。それは、いきなり全国大会へのステージに足を踏み入れられることです。

 

多くの全国大会は、まずそれぞれの都道府県で代表戦を行い、それの優勝者が全国大会に進出という形式が取られています。したがって、強豪が密集する地域は、代表権を獲得するに値するプレイヤーがあぶれている傾向があります。

しかし、平成最強戦=東京に関してはそういった要素が一切無いので、猛者達がわんさか集ってくるんですね。

 

そんな訳で、今回も多くの参加者がいらっしゃいました。確か開会式のときに具体的な数字を仰られていましたね。200….えーと、にひゃく何人だったかな。とにかく、いっぱいいました!笑 覚えてねーのかよ

 

強豪とたくさん将棋を指せたので、振り返ってみたいと思います。


大会初日

 

まずは予選を勝ち抜かないといけません。4人一組のリーグ戦を3局行います。2勝通過・2敗失格というアマ大会ではお馴染みのルールですね。上位二名が本戦に進めます。なお、持ち時間は20分30秒。

 

これだけ参加者が多いと、さすがに見知らぬ御方と当たるんだろうなと思っていました。ところがどっこい、私の眼前にはS氏が座っているじゃありませんか。

このS氏は今年度の朝日杯でプロ棋戦に参戦しており、要するに誰もが知っている高名プレーヤーです。

初っ端からこういったjoker級の相手と当たるのは、正に平成最強戦=東京を象徴していますね。某サイヤ人風に言えば、「オラ、わくわくすっぞ!!!」と言ったところでしょうか笑

 

先手番を引いたので、角換わり腰掛け銀を選ぶことに。(第1図)

 

こちらの記事でも紹介している通り、(ちょっとだけ形は違いますが)この局面に誘導できれば先手は満足です。角換わり【定跡講座】角換わりを指しこなそう! ~第1章~ ▲4八金・▲2九飛型の基礎(2)

 

さぁて。早くも上手く立ち回ったんだから、あとは自然な手を積み重ねて行けば優位を拡大できるっしょと判断して、第一感に赴くままに指し手を選んでいったら….(第2図)

 

あれま。受けないやん ズガビ━━Σ(ll゚艸゚ll)━━━ン!!

 

いやー、なんか普通に終盤で競り負けちゃいましたねぇ。ここに桂を打たれる手をうっかりしてました。あはは….

ちなみに、第2図に至る前(A図)に私は▲3二桂成△同金▲4四桂という手順で桂を渡しているんですよね。まさに自業自得((+_+))

 

対局中は、危ないけど耐えてるんとちゃうんかなぁ~と呑気に考えていたのですが、後から見直すと第2図(及びA図)では△3七角という手もありましたし、むしろ危険しかなかったです笑

A図では▲4七馬と引いて、自玉の安全度を高めておくべきでした。こんな状態で攻め合いを挑むなんてエレン・イェーガー顔負けの死に急ぎ野郎でしたよ、ホントに。

 

気を取り直して2局目。お相手はI氏。どこかでお見かけしたはずなんだけど、すぐには思い出せない……とモヤモヤしていたのですが、Twitterのフォロワーさんでした(^^;) 覚えてねーのかよ

 

将棋のほうは、四間飛車VS銀冠穴熊に。しかしながら、よく見かける形の銀冠ではなく、▲6六歩・▲6七金右と上部を盛り上げるタイプの銀冠です。(第3図)

 

(便宜上先後を逆にしております)

一度やってみたかった作戦でしたが、こっちの穴熊はスカスカしてるわ、攻め味は乏しいわ、相手は好形だわと言った有様で、なんか、思てたんと違う……と死んだ魚のような目で盤面を眺めていました。

 

まぁ、でも『やってるうちに勝負形になるでしょー』とテキトーに駒をぶつけていったら、案の定、そうなってしまうのが穴熊の恐ろしいところ。気が付いたら、こちらがリードを奪っていました。(第4図)

 

相手が△6二歩と打って、▲7一銀を防いだところです。

ここは▲8八銀などで受けに転じる方針もありますが、自玉が深い特性を活かすほうが得策と見ました。

▲7四歩△同金▲6六桂(青字は本譜の指し手)がそれを体現した手順で、形勢を突き放すことができたと思います。後手は6五の角が敵玉方面から逸れると攻めに迫力が無くなるので、▲6六桂を無視することができないのですが、金を逃げても▲7四歩を何発でも打てる格好なので、処置のしようがありません。

駒がぶつかってからは、上手く指すことができました。

 

予選3局目はF氏と対戦。相手の無理攻めを丁寧に受け止めて快勝。そして、本戦1回戦はシードを引くという味の良い展開で2回戦に挑みました。お相手はK氏。過去にアマ名人を獲得されています。ちなみに、本戦の持ち時間は30分30秒。

K氏が横歩取りを志向されたので、青野流で対抗することにしました。(第5図)

 

横歩取りらしい、飛・角・桂が派手にとびかう中盤戦ですね。

ひとまず、この竜と銀の両取りにどのような対処を行うか。様々な候補手が目に映って迷いましたが、▲7二竜△6二金▲7一竜敢えて3七の銀を取らす順を選べたのは、我ながら冷静だったと思います。

△3七角成で瞬間的には銀損ですが、▲4六桂が期待の反撃です。(第6図)

 

後手は銀得ですが、▲3四桂・▲2一竜・▲4一飛という複数の攻めを同時に防ぐ術が無く、収拾困難に陥っています。瞬間的な駒の損得よりも、手番を握って攻めるターンを得るほうが価値が高い局面だったので、銀を取らせても大丈夫なんですね。

以降は着実に寄せ切ることができました。何だかエンジンがかかってきたぞ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 

これでベスト32に進出。なお、初日はベスト16までなので、次戦が明日への勝ち残りを懸けた一番になります。お相手は、えーっとですね……なんか強そうな感じのお名前でした! 覚えてねーのかよ

 

将棋のほうは、相手が矢倉に組んできたので、左美濃急戦を採用。上手くこちらの攻めが刺さって綺麗に勝つことができました。やっぱり、この戦法は優秀ですね。

 

という訳で、初戦で転倒したものの、何とか二日目に残りました。今日はここまで。

あとは棋友と少し雑談したあと(こういうときにしか会えないし、喋れない)宿に戻りました。

ちなみに、夕食は『Hot Spoon』というカレー屋さんで採ったのですが、コスパが高くて良かったです(#^^#)

 

ぐつぐつ煮詰まっていて、美味しかった(#^^#)

 

近所にこういうお店があったら通い詰めちゃうんだろうなぁ…笑


大会二日目

 

少し昨日の疲れが残っていましたが、頂きが近づいている分、精神的には気楽に臨むことができました。

ベスト16のお相手はH氏。初めてお見かけするお名前でしたが、ここまで勝ち進んできている以上、強敵なのは間違いありません。

 

振り駒で後手番になり、相掛かりを受けて立つことになりました。相手の不用意な動きを的確に咎めて、優位を掴むことができたのですが……。(第7図)

 

 

(便宜上先後を逆にしております)

香得の上、竜と馬を作っているので、こちらの旗色が良いことは疑いの余地がありませんが、△6五歩を見せられているので忙しい局面でもあります。

ここでは▲8四桂と敵玉に近い守り駒を攻めるべきでした。これは銀取りなのですが、真の狙いは△6五歩を牽制していることにあります。

つまり、▲8四桂に△6五歩を突くと、▲6五同香△同角▲3三馬で桂を取ることができるのです。この▲3三馬を実現するために、▲8四桂と打っているんですね。(B図)

 

再度、▲8四桂と打つ攻め筋を作っているので、桂の入手はすこぶる大きいことが自慢です。加えて、▲6六馬と引きつける手も楽しみですね。

 

本譜に戻ります。(第7図)

本譜は▲4三歩△同金▲同馬△同角▲6三桂と畳み掛けました。これを△6三同銀は▲8二金△6一玉▲6四香で決まるのですが、△8二玉▲5一桂成△3二歩が上手い粘りで、後手玉が遠くなってしまいました。金をボロッと取れるので、ちょっと軽視していましたね(><)

 

その後は二転三転の泥仕合に。(第8図)

紆余曲折あったものの、竜を捕獲して何とか余しているかなと対局中はそう判断していました。

しかし、実際はなんとこちらの玉に詰みが発生していたんですよね。実に華麗に詰むんですよ、これが。△6九角成▲7八歩△9六竜▲同玉△9五歩▲8七玉△9六銀▲9八玉△9七香という手順でご臨終です。(C図)

 

ただ、非常に長手数な詰みだったことと、H氏は第8図から△4二香と打って受けるプランで進めていたという二つの要因があったことから、本譜はこの詰みをスルー。結果的にはこちらに勝ちが転がり込んできました。

 

それにしても、自分が勝ちと判断していた局面が明快に負けだったのは、お粗末にも程があるというか…。予選1局目のS氏戦といい、危機管理能力がぶっ壊れてますね(。✖д✖。) これ、どこ行ったら治してもらえるんでしょうか。そういや、今年はめんどくさがって健康診断行ってねぇからなぁ。

 

次のお相手はH氏。公式戦でプロに勝利したこともある強豪です。

後手番になったので、雁木を採用。ただ、この戦法を長い持ち時間での将棋で登板させたのは初めてでした。(第9図)

 

(便宜上先後を逆にしております)

桂を入手すると▲9六桂があるので▲3三歩△2二金の利かしを入れることはできるのですが、残念ながら二の矢がありません。

結局、すぐに攻め掛かるのは無理と判断して、本譜は▲3四歩と拠点だけ設置し、後はひたすら待機するというプランを選んだのですが、指していてあまりしっくりは来ませんでした。でも、後手だからそういう展開は仕方ないのかなぁ。こういうところに経験不足が響いているんですよね。

 

まぁ、後でソフトに解析させたらずっといい勝負だったので、悪くはない選択はしていたみたいですが。(第10図)

 

均衡が崩れたのはこの局面。対局中はやや苦戦を意識していたので、▲7五銀△同歩▲5五角と強引に角を捌いて勝負したのですが、これが暴発ではっきりダメになりました。銀を捨てた代償がデカ過ぎて、話になっていなかったです。

ここは▲5五銀△6五桂▲8八角で辛抱すれば、難解な形勢を保っていました。△6五桂に▲8八角と引くようでは勝てないと切り捨ててしまったのですが、間接的に8八の角が敵玉を睨んでいるので、こちらは簡単には倒れません。以下、△5七桂成には▲4六銀(この手が見えていなかった)で切り返せるのが大きいですね。

 

以降はH氏に手厚く指され、逆転の芽が見出せず完敗。ベスト8で敗退となりました。もう少し、高いところへ行きたかったですが、これが今の実力です。楽しめたので充実感はありましたね。

 


雑感

 

自分がアマチュア将棋界に復帰してから、約一年が経ちました。この一年間に出場した大会の成績がちょっと気になったので調べてみたところ、50勝10敗=0.833という数字でした。

 

これだけ見ればたくさん勝っているように映ります……が、一つの大会で優勝するとなると、予選で2勝、本戦で4~6勝しないといけません。つまり、およそ7勝しないと優勝に手が届かない訳です。

一応、予選で一回の負けは許されるので、7勝1敗=0.875が優勝に必要なアベレージと考えられます。それを踏まえると、今の私には何かが足りないことが分かりますね。

 

ひとまず、今回の大会で得た教訓としては、

(1) 自玉の危険度の認知能力の低さ

(2) 実戦不足による経験値の乏しさ

これらをどう克服するかが当面の課題と言えそうです。とりあえず、ネット将棋の対局数を増やしますか笑

 

9月にはアマ名人戦が控えているので、それまでに少しでも成長したいところですね!

それでは、また。ご愛読ありがとうございました!

 

P.S.

今回、大会会場で多くの方々から「ブログ見てます!」とお声を掛けて頂けました。本当にありがたいですし、嬉しい限りです。今後もマイペースで続けて行くので、宜しくお願い致します。m(__)m

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