第47回支部名人戦西地区大会の出場記

どうも、あらきっぺです。そろそろコートは必要のない季節になりつつありますね。とはいえ、寒がりなので寝るときはまだ冬布団です笑

今月の20日~22日に第47回支部名人戦西地区大会が開催され、私は滋賀県代表として出場させて頂きました。その模様を記したいと思います。


【前夜祭】

 

今回の会場は神戸市。たまたま勤務地からは近い場所だったので、(途中からではありましたが)何とか前夜祭に出席することができました。

受付を済ませ、会場に向かって歩いていると、師匠である森信雄七段と邂逅。「ご無沙汰しております」と挨拶をすると、え? 君なにしてんの? もしかして大会出てるの? と冷やかされ、(これが森流なので、こちらは慣れっこである)「出るからにはしっかり頑張りなさい」と激励されました。お世辞だとしても、このようなお言葉をいただけると嬉しいですね。

 

会場に入ると、あまりの人の多さにびっくりしました。支部名人戦は、「団体」「個人」「シニア」と三つの部門を同時に開催するので、他の全国大会よりも参加者が多いんですね。

 

とりあえず、誰か知ってる人いねーかなーとキョロキョロしていると、Youtuberとして名を馳せているアゲアゲさんを発見。「奨励会とアマ大会では勝ち抜くための能力が全然違うから適応するのは大変やな」とか、「仕事と将棋をどう両立していくかは悩ましいね」なんて話をしました。あと、なぜかYoutuberやってください! と誘われました笑 うーん。どうしようかな(^_^;)

 

その後も普段ではなかなか会えない人との歓談を楽しみ、最後に明日の対戦相手を確認して自室に戻ることに。例によって初っ端から大変な相手を引きましたが、アマ王将戦での経験もあったので、割と平然としていました。というか、今回は強い相手と指せる期待感の方が大きかったですね。


【大会一日目】

 

大会の試合形式を簡単に記します。44人の参加者は4人1組のリーグに分かれ、そこで予選を行います。2勝通過、2敗失格。決勝トーナメントは準々決勝まで消化して、それ以降は二日目に行います。なお、持ち時間は25分30秒。これは全ての対局で共通です。

予選は1回負けても大丈夫ですが、できれば2連勝で通過したいところ。その方が休める時間を確保できるので地味に大きいんですよね。

一回戦の相手はH氏。この支部名人戦でも3回の優勝経験がある強豪です。(第1図)

 

戦型はH氏の先手中飛車。相手が▲5四歩△同歩と歩を捨ててから▲3八金寄と固めたところです。

5筋の歩を捨てたのは飛車先を軽くした意味ですが、こちらとしては早い突き捨てを咎めることができれば理想的です。

しばし考えると、△4二銀という手を発見。次に△3三角→△4五歩という手順で打開を狙う意味です。これは5筋の突き捨てを逆用できていると思いました。

ただ、実を言うと数手前に4二にいた銀を△3三銀と上がった経緯があるので、かなり抵抗感があったんですよね。そんな訳もあって、ブレーキがかかってしまいました。

しかし、後日、やねうら王先生にお尋ねすると△4二銀を推奨してきたんですよねぇ……。もっと自分を信用するんでした。

本譜は△4五歩▲同歩△7九角成▲4四歩△8九馬(青字は本譜の指し手)とシンプルに馬を作って駒得を目指したのですが、▲7五角が軽快な一着でした。(第2図)

 

(1)△6七飛成は▲5四飛と走られて馬がダサいですし、(2)△6七馬も▲6四角△同歩▲5四飛で苦しそうです。4四に垂れ歩が残っている状況で捌き合いになっているので、どうもこちらの旗色が悪いみたいですね。

本譜は△9九馬と指しました。もし▲6四角△同歩▲5四飛と進めば、(2)の変化よりも得しているので、それは自信があります。しかし、この手を指した瞬間に、いやーな感覚が私を襲いました。そうです。うっかりしていたのです。▲6四角△同歩▲4三歩成△同金▲4九飛と見事な両取りを食らいました。(第3図)

 

この両取りは△9九馬と指した瞬間に気づいたのですが、もはや回避する術がありませんでした。それにしても、局面を一手進めた途端にうっかりに気づくこの現象は何なんでしょうか笑 これの対処法が分かれば、もう一皮むけるんだけどなぁ。

ここでリードを奪われ、その後、さらにこちらのミスもあったことから一気に敗勢へまっしぐら。しかし、最後の最後でH氏に錯覚があり、こちらに勝利が転がり込んできました。まさに僥倖でした……。

二回戦の相手はA氏。アマ名人経験者でトップアマプレイヤーの一人です。

序盤から力戦型になり、初めはこちらが攻めてA氏が受けるという展開。その後、A氏のカウンターをこちらがどれだけ受け止められるかという勝負になりました。(第4図)

 

後手が△4七歩成と成ったところです。

ここで▲4七同銀△同角成に▲6八香と応対すれば、将来、▲6三香成から反撃する手があったので先手が良かったのですが、対局中は△4七同角成を手抜きする発想がなく、4七のと金を取ることができないと判断してしまいました。

本譜は▲7六香で攻め合ったのですが、これは罪の重い手で、△5八と▲7二香成△同玉と指されると明快にダメでした。(A図)

 

A図で▲6六銀と取れば詰めろ逃れの詰めろになりますが、△7三香が絶好の攻防手。ここに香を設置されると後手玉がゼットになることがめちゃめちゃデカいですね。以下、▲6七玉△6九とで後手勝ちでしょう。

▲7六香と打った局面に戻ります。(途中図)

 

実戦は▲7六香に△7七銀成と指されましたが、これは秒に追われて指してしまったように感じました。当然、▲7七同銀と応じます。0手で壁銀が解消されたので、これは虎口を脱したのではないかと感じました。以下、△7五歩▲同香△同飛▲4七銀△同角成▲同金と進み、先手玉周辺はスッキリした形となりました。(第5図)

 

勝ちを確信したとかそういうレベルではないですが、すぐには自玉が寄らなくなったので、これは凌いだかなという感触はありました。以降は物量にものを言わせて、しっかり勝ち切ることができました。

という訳で、何とか二連勝で予選通過。実は全国大会の予選で連勝通過は初めてだったので、少しだけ嬉しかったです(^^)

決勝トーナメントは、ラッキーなことに一回戦はシード。しばらく時間に余裕が生まれたので、友人と雑談したり、次の対戦相手の将棋を偵察したり、もう使わない盤駒を片づけてささやかながら運営に協力したりするなどして、のんびり過ごしました。

そして迎えた決勝トーナメント二回戦。お相手はI氏。先ほど、偵察した感じでは、振り飛車党で攻め将棋という印象を受けました。

I氏の角交換振り飛車を受けて立つ展開に。相手の無理攻めを上手く咎めることができて、中盤で大きく優位を築くことができました。(第6図)

 

ここで竜を逃げても悪くはありませんが、悠長なことをしていると立ち直られかねません。

ここでは▲5三歩と歩を竜につなげた手が厳しい一手で、手応えを感じました。後手は受けに適した手駒が無いので、△5二銀と竜を取ることができません。

本譜は△4二金で飛車を取れと催促しましたが、▲4三竜△同金▲5二歩成で技が掛かっています。(第7図)

 

△5二同銀と取る一手ですが、▲5一飛が銀の両取りで後手陣は収拾困難です。この将棋は上手く指すことができましたね。

3回戦の相手はT氏。奨励会時代の先輩にあたり、トークが面白く飄々とした好人物です。お昼休みのときにご一緒したのですが、約10年ぶりの再会ということもあり、昔話に花が咲きました。

将棋の方は、T氏の先手中飛車から相穴熊に。二転三転の激戦の末、優劣不明のまま終盤戦へと突入しました。(第8図)

 

すでにお互い30秒将棋になっています。

ここで△4九金攻めを選択したのが、正確な速度計算に基づかない悪手で、均衡が崩れました。代えて、△4一香と打っておく手が勝ったようです。△4一香は、一見、何を受けているのか分かりにくいですが、4三の地点をケアするのが急所だったのです。

△4九金に対しては、▲3二飛成△同金▲4三銀と踏み込まれれば私の玉は寄っていました。例によって、△4九金を指した直後に、この筋に気がつくんですよね…..(-_-;)(B図)

 

▲2二金以下の詰めろと金取りを同時に受けるには△3一飛しかありませんが、▲3二銀成△同飛▲4三金で処置無しです。この▲4三銀の筋が強烈なので、△4一香を打つ必要があったのです。

△4九金の局面に戻ります。(途中図)

 

T氏は▲5二飛に対して、きっと何かしら受けてくるだろうと想定していたようです。そんな中、相手は△4九金で攻めてきたので、ビックリして思わず自陣に目が行ってしまったと感想戦で仰っていました。本譜は▲3八金と受けましたが、ここでブラフが通ってしまったので後手は息を吹き返しました。

▲3八金以下、△2四角成▲3二飛成△同金▲4三金△3一飛と進みましたが、これは分のある将棋になったのではないかと思いました。(第9図)

 

[△4九金⇔▲3八金]の交換が入ったことにより、先手の戦力を削いでいることが大きいですね。金が一枚少ないので、後手玉を寄せ切るのは大変です。

以降は先手の攻めが一息ついた瞬間を捉えて、反撃に転じ、勝利することができました。これで準決勝に進出。今日の試合はここまで。続きはまた明日です。

しかし、まぁ振り返ってみると、4局中、3つは死の淵に瀕していたわけで、ツイてるとしか言いようがない感じでした。つくづく、将棋って他力なんだなぁと思います。


【大会二日目】

 

翌日は7時頃に気分よく起床。朝食会場が17階だったのですが、海が見えて思わず心を奪われました。自室では場所が低く、高層マンションの陰に隠れて見えなかったんですよね。ぼんやりと風景を眺めながらコーヒーを飲み、今日はどんな将棋を指そうかな……と、ほんの少しだけ作戦を考えました。

準決勝の相手はN氏。将棋を指すのはこれが初めてで、どんな棋風なのかはわかっていませんでした。

戦型は、N氏の中飛車から相穴熊に。こちらがどのように手を作るかという将棋になりました。(第10図)

 

次に△3三桂と跳ねられる前に、動いていきたいところです。

ここで本当は▲6五歩△同銀▲7七桂と指したかったのですが、△5六歩▲6五桂△5七歩成▲7七銀△5六とのときに指す手が分からず、断念しました。(C図)

 

とはいえ、今振り返ってみれば▲4三銀△5五飛▲2四飛という攻めがあったので、これを選ぶべきでした。N氏も「4一の金が離れているから、これはできない」との見解でしたし。慎重になりすぎてしまいました。

本譜は第10図から▲4六歩と動いたのですが、△3三桂▲4五歩△5二金▲6五歩△5三銀▲4六飛△8四角と進むと、こちらは動いた割には大きな戦果を上げることができず、もどかしい展開です。(第11図)

 

 

とはいえ、まだこちらが優位に立つチャンスはありました。ここでは▲2三歩と垂らす手が有力で、それなら先手が良かったように思います。

後手はと金作りを受けることができないので、▲2三歩には△5六歩▲同歩△5七歩と反撃する手が一例ですが、▲6七銀と辛抱すれば、後手は忙しい局面です。(D図)

 

▲5五香を打つ楽しみがあるので、▲2二歩成→▲1一との期待値が高いことが主張ですね。

本譜は第11図から▲4四歩と突いてしまったので、△4五歩▲4三歩成△同金▲1六飛△2五歩で押さえ込まれてしまいました。(第12図)

 

自分の大まかなプランとしては、▲4三歩成と成り捨てることで金をそっぽに追いやり、ここから上手く手を作れば陣形の差があるので勝てるというものだったのですが、いざこの局面を迎えると、全くもって手段がないので困り果てました。もうちょっと、攻め筋があるイメージで指していたのですが、とんだ見当違いでしたね。

結局、このあとは強引に暴れたのですが、丁寧に受け止められ、最後は攻めが切れて完敗。ベスト4で敗退となり、3位入賞という結果に終わりました。


【大会終了後】

 

将棋って負けると悔しいものですが、なぜか今回は特にそういった感情はなく、割とスッキリとした気分でした。奨励会時代とは違い、今は持ち時間の長い環境で将棋を指す機会が大会のときしかないので、勝ち負けよりも、しっかり考えて将棋が指せるワクワク感の方が上回っているみたいですね。

まぁ、勝負師としてはどうかなとは思いますが、負けたことを特に引きずらなくなったことは、自分でも成長したかなと感じます。

 

表彰式が終わり、さぁ帰ろうかと思った矢先、後ろから私の名前を呼ぶ若い声が。

誰だろうと振り返ると、なんと昔の教え子(奨励会時代に、とある将棋教室を手伝っていた)がそこに立っていました。

聞けば、「団体戦」の代表で大会に参加していたそうです。「昔はあんなに背が低かったのになぁ」とか、「将棋を趣味として続けてくれているんだ」とか、色々と感慨深くなりました。ただただ、嬉しかったですね。

 

思わぬ出会いがあったり、熱のこもった将棋が指せたり、優勝はできなかったのですが、大会を謳歌することができました。来年も、またこの場所に戻ってきたいですね。

それでは、また。ご愛読ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA