最新戦法の事情【振り飛車編 6・7月合併号】を公開しました。詳細は、ここをタップ!

最新戦法の事情 振り飛車編(2022年2・3月合併号)

最新戦法 あらきっぺ

どうも、あらきっぺです。このところ暖かくなってきたので、いつものジョギングコースに花がチラホラ咲くようになりました。真冬は殺風景なので、ちょっと嬉しくなりますね。

 

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。なお、前回の内容はこちらからどうぞ。最新戦法 あらきっぺ最新戦法の事情 振り飛車編(2022年1月号)

 

注意事項

 

・調査対象の将棋は、先月のプロの公式戦から(男性棋戦のみ)。
棋譜はネット上や棋譜中継アプリにて公開されているものから収集。
全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。

 

・記事の内容は、プロの公式戦の棋譜を参考にしておりますが、それを元にして筆者独自の研究内容も含まれております。記事内容の全てが棋譜の引用という訳ではありません。

 

・記事中に記載している出現率は、小数点第二位を四捨五入した数字になります。

 

・戦法や局面に対する評価や判断は、筆者の独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、妄信し過ぎないことを推奨致します。

 

最新戦法の事情 振り飛車編
(2022.1/1~2/28)

 

調査対象局は146局。それでは、戦型ごとに解説していきましょう。

 

先手中飛車

捌きを重視して戦う


15局出現。前回の期間から出現率は15.2%→10.3%と下落しています。多くのプレイヤーが「中飛車離れ」をしている様子が見て取れる数字ですね。

居飛車の対策は、後手超速と一直線穴熊の二つが人気。そして、主流は後手超速です。特に、△6一金形のまま銀桂の活用を優先する指し方が優秀ですね。

 

後手超速

この組み方は、一手でも早く△6五桂から仕掛ける手を見せることで、振り飛車の駒組みに制約を掛けられることが最大のセールスポイントです。現環境では、この局面になると既に居飛車が作戦勝ちと見られています。詳しい理由は、以下の記事をご覧くださると幸いです。

 

後手超速

そうなると、振り飛車はここに至る前に何らかのアイデアが必要ですね。今回は、その工夫を解説したいと思います。(第1図)

後手超速 定跡

このように、早い段階で5筋の歩を交換するのが現環境で有力視されている作戦です。△7三桂優先型の将棋は、[△6四銀・△4四銀型]を作ってから桂を跳ねるのが特徴です。したがって、振り飛車はその形を整えられる前に動きを見せて良さを求めているのですね。

後手超速 定跡

なお、この戦型は5五の位が安定すれば振り飛車が有利になります。それを踏まえると、こうしてあっさり位を消すのは惜しいところがあるのですが、△7三桂優先型に対しては、どう頑張っても5五の位は維持できません。ならば早く歩交換を行い、位が負担になる前に捌いておく方が良いという理屈になります。ゆえに、これが注目されているのですね。

なお、この作戦の実例としては、以下の将棋が挙げられます。

・第80期順位戦B級2組10回戦▲杉本昌隆八段VS△行方尚史九段戦(2022.2.2)(棋譜はこちら

 

・第48期棋王戦予選▲里見香奈女流五冠VS△澤田真吾七段戦(2022.2.21)

後手超速 定跡

居飛車はひとまず銀を二枚とも繰り出したいので、△5四同歩▲同飛△4四銀が妥当な対応です。振り飛車も歩交換に満足して▲5九飛と引くのが自然ですね。すると、次の図になることが予想されるでしょう。(第2図)

後手超速 定跡

ここは居飛車にとって方針の岐路です。何を選ぶのかはプレイヤーの好みが出そうですね。囲いを強化するのであれば、△4二金寄が挙げられます。こうして金を引き締めるのは、後手超速における常套手段ですね。

後手超速 定跡

ただ、ここで△4二金寄には▲7五歩が機敏な一着。これには△8四飛が自然ですが、▲9五角△9四飛▲9六歩ともたれておくのが振り飛車期待の手順です。こうして後手の飛車を圧迫しておくのが面白いですね。(第3図)

後手超速 定跡

振り飛車は次に厳しい攻めを繰り出せる訳ではないのですが、相手の飛車を9筋に追いやったことで、自陣の脅威を緩和しています。居飛車は飛と桂が攻めに使いにくい配置になっているので、振り飛車が満足のいく岐れだと言えるでしょう。△7五歩には▲同銀と取り返せば問題ありません。

後手超速 攻略法

このように、早い段階で▲5四歩と突っかける将棋は、▲7五歩と突く攻め筋を使えることが自慢です。こうして先攻する将棋に持ち込めば、振り飛車は存分に戦える印象ですね。

後手超速 定跡

居飛車としては、そういった状況を避けるべく、ここで△6五桂と先攻した方が良いのかもしれません。それに対する攻略法が確立できれば、先手中飛車は再び興隆することでしょう。

 



四間飛車

美濃囲いで勝負する姿勢が目立つ


40局出現。出現率は27.4%であり、今回の期間では最も多く指された戦法となりました。前回の期間では9.1%だったので、爆発的に増加したことが窺えます。

四間飛車にとって一番の強敵は、やはり端歩突き穴熊です。この戦法を打ち破らない限り、四間飛車に未来はありません。特に、後手番では速攻する条件が悪いので、これの対策は死活問題と言えます。

今回は、現環境で後手四間がどういった姿勢で戦っているのかを解説したいと思います。(基本図)

四間飛車 対策 最新

現環境で後手四間を悩ませているのは、この作戦です。居飛車は端歩突き穴熊を志向していますが、場合によっては急戦で戦うことも視野に入れています。それは、▲3六歩を優先していることからも読み取れますね。

四間飛車 対策 最新

さて、端歩突き穴熊に対して、振り飛車は大きく分けると三つのプランがあります。すなわち、

(1)美濃系統に囲う
(2)四間ミレニアム
(3)耀龍(金無双)

この三つですね。

四間飛車 対策 最新

ただ、この局面においては、(2)の四間ミレニアムを選ぶことは出来ません。

というのも、ミレニアムに組むのであれば、△7四歩や△6四歩を優先しないといけないからです。しかし、それらの手は急戦に対する備えになっていない(むしろ傷を作って危険)ので、急戦相手に相性が悪く戦い切れません。

つまり、▲3六歩優先型は四間ミレニアムを封じる利点があるのですね。

四間飛車 対策 最新

では、次に、金無双に囲う耀龍四間飛車を見ていきましょう。(第4図)

耀龍四間飛車 対策

なお、振り飛車は耀龍に決め打ちするのであれば、左銀は△3二銀型の方が含みが広いですね。ただ、その配置でも▲3六歩優先型が強敵なのです。

耀龍四間飛車 対策

実をいうと、耀龍四間飛車は急戦に対して手を焼いています。特に、金無双急戦が非常に嫌な相手ですね。

振り飛車は囲いが美濃であれば「玉の堅さ」というアドバンテージがありますが、耀龍は金無双なので囲いの堅さはイーブン。そうなると、主導権を握られているデメリットだけが残ってしまうので、作戦として旨味が無い理屈になるのです。

耀龍四間飛車 対策

つまり、振り飛車は金無双急戦の余地が残っている間は、耀龍に拘ると危険であることが分かります。それを考慮すると、△5四歩▲1六歩△8二玉という組み方は一案ですね。早い▲1六歩は金無双急戦を志向した一着なので、それを見て玉を深く囲う将棋にするということです。

けれども、急戦を警戒して△8二玉を指すと、今度は穴熊を志向されたときにどうするのかという問題が生じます。つまり、▲7七角ということですね。(第5図)

なお、この作戦の実例としては、第80期順位戦C級2組10回戦▲伊藤匠四段VS△谷合廣紀四段段戦(2022.2.10)が挙げられます。(棋譜はこちら

耀龍四間飛車 対策

耀龍四間飛車は△8二銀→△9三銀→△8四銀というルートで銀を進軍させ、端棒銀という攻撃手段を使えることが特色の一つ。しかし、△8二玉を決めるとそのプランが使えません。ゆえに、居飛車は端歩突き穴熊に組みやすくなるのです。

耀龍四間飛車 対策

一応、振り飛車は▲1六歩という不急の一手を指させた主張はあるのですが、居飛車は後手番になったと思えば、そう悪くは感じないでしょう。また、この端歩は▲3七桂を跳ねやすくする効果(△1五角の牽制)もあるので、全く無駄という訳ではありません。

耀龍四間飛車 対策

そして何より、振り飛車は囲いをどうするかという課題がありますね。その気になれば△7二銀から銀冠に組めますが、それではいずれ6二の金を移動させないといけないので手損になってしまいます。第5図は、居飛車の作戦勝ちが期待できる将棋でしょう。

耀龍四間飛車 対策

話をまとめると、耀龍四間飛車は

・△7二玉型を維持すると金無双急戦で困る
・△8二玉型を選ぶと端歩突き穴熊で困る

というジレンマに悩まされており、下火になっているのが実情ですね。

四間飛車 対策 最新

そういった背景があるので、現環境では(1)の美濃系統に囲うプランで戦う姿勢が主流になっています。昨今の四間飛車は囲いの多様性が広がりましたが、結局はオーソドックスな指し方に帰結したといったところですね。

なお、美濃系統に囲うプランでどういった対策を講じているのかについては、豪華版の記事をご覧頂けますと幸いです。

【後手四間で端歩突き穴熊に対抗する構想】 続きは、こちら!

 

三間飛車

左美濃が大流行


39局出現。対局数は四間飛車とほぼ同等であり、現環境における振り飛車の主力戦法です。先後に関わらず満遍なく指されている(先手番は22局、後手番は17局)ことからも、多くのプレイヤーから支持を得ていることが読み取れます。

居飛車の対策は、持久戦が圧倒的多数派。昨年の下旬は端歩突き穴熊を志向する作戦が人気でしたが、今年に入ってからその傾向に変化が起こりつつあります。具体的には、左美濃に鞍替えする動きが顕著ですね。特に、後手番で左美濃を採用するケースが非常に増えています。

これは、後手番で端歩突き穴熊を目指すと、石田流の組み換えを見せられた時に対応しづらいことが理由の一つだと考えられます。詳細は、以下の記事をご参照くださいませ。

【後手番で端歩突き穴熊を目指すと危険な理由】 続きは、こちら!

 

一口に左美濃と言っても様々な指し方がありますが、現環境で注目を集めているのは、△6二銀型を維持して駒組みを進める手法ですね。(基本図)

三間対策 左美濃

図が示すように、この配置に構える指し方が、ここ最近のトレンドです。ちなみに、この局面の実例としては以下の将棋が挙げられます。

・第48期棋王戦予選 ▲西田拓也五段VS△大橋貴洸六段戦(2022.1.17)

 

・第15回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント ▲西田拓也五段VS△稲葉陽八段(2022.1.28)

三間対策 左美濃

さて、振り飛車としては、石田流に組み換えて主導権が握れれば満足のいく序盤になります。ゆえに▲7五歩と指したいところですが、これをあまりに早く指すと△5三銀→△6四銀から「射手の構え」を作られて危険。左美濃は金銀の連結が良いので、素早く攻勢に出れることが自慢ですね。

三間対策 左美濃

石田流の組み換えが難しいとなると、振り飛車は囲いを銀冠に発展するのが一案です。居飛車もそれに対抗するべく、同様に銀冠に組むことでしょう。すると、以下の局面になることが予想されますね。(第6図)

三間飛車 対策 左美濃

振り飛車は先手番らしく先攻したいところですが、ここで▲4五歩と突っ掛けても△同桂▲同桂△2一玉で後続手がありません。動くのは時期尚早です。

三間飛車 対策 左美濃

したがって、▲4七金左で囲いを発展させるくらいですが、居飛車は一足先に囲いが完成した利を活かして、△7三桂▲6六銀△6四歩と動きます。以下、▲同歩△同角▲6五歩△4二角が妥当な進行ですが、この局面は居飛車の旗色が良いですね。(第7図)

三間飛車 対策 左美濃

居飛車が優位に立っている理由は、自分だけ桂を攻めに使うことが出来ているからです。8九の桂が活躍するのは相当に難しいので、振り飛車がこの状況をイーブンにするのは至難の業と言えます。

振り飛車は銀の出足で勝っていることが主張ではあるのですが、五段目に進むことが難しいので、有効な攻めが見当たらないことが辛いですね。第7図は、全く同じ玉型で居飛車だけ攻撃手段があることから、居飛車の作戦勝ちと言えるでしょう。

 

三間対策 左美濃

それでは、話をまとめます。現環境の三間飛車は、左美濃が強敵です。居飛車は△6二銀型を維持することで、「射手の構え」と[△4二角・△7三桂型]の配置を状況に応じて使い分けられるようにしたのが進化したところですね。

振り飛車は石田流の組み換えを軸にする戦い方では、どうも主導権を握ることが難しそうです。左美濃が相手の場合は、違う作戦に活路を求めた方が良いのかもしれません。

 

角交換振り飛車

徹底待機策が面白い


23局出現。このうち18局が後手番での採用です。後手番に偏っている理由としては、

(1)先手番なら他の振り飛車が指したい。
(2)戦法の性質上、千日手を狙いやすい。

といった要因が考えられるでしょう。

また、現環境では(2)のメリットを最大限に生かす作戦がホットですね。今回は、それを解説したいと思います。(第8図)

角交換振り飛車 菅井

角交換振り飛車は駒組みのバリエーションが広い戦法ですが、現環境ではオーソドックスな[△3三銀・△2二飛型]の支持が高まっています。

この駒組みは2一の桂が活用しにくいことがネックなのですが、振り飛車はその問題点が顕在化しにくい構想を編み出したのです。

角交換振り飛車 菅井

さて、△3三銀型の角交換振り飛車に対して居飛車は、銀冠に組むのが有力な作戦です。ただし、ここで▲8六歩だと△2四歩から逆棒銀を誘発するので感心しません。愚直に銀冠を目指すのは危険なのです。

角交換振り飛車 菅井

ゆえに、こういった局面では▲3六歩と突くのが定跡化された対応ですね。こうして右桂を使える状態にしておけば、逆棒銀は簡単に受かります。

画像

従来では、こうして狙い筋を消されると振り飛車は先攻できないので、面白くない序盤だと考えられていました。しかし、現環境ではこの先に用意があるのです。

その用意とは、「淡々と高美濃に組むこと」本当に何もせず、ただ高美濃を作るのです。(第9図)

角交換振り飛車 菅井

一体、これのどこが工夫なんだと思われるかもしれませんが、これが後手番であることを活かした構想です。振り飛車の狙いは、ずばり千日手。「淡々と高美濃に組む」という態度が、最も打開されにくいと踏んでいるのです。

なお、この作戦の実例としては、以下の対局が挙げられます。

・第80期順位戦A級7回戦 ▲広瀬章人八段VS△菅井竜也八段戦(2022.1.11)(棋譜はこちら

 

・第15回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント ▲渡辺明名人VS△菅井竜也八段戦(2022.1.15)

角交換振り飛車 菅井

ちなみに、一つだけ注意点を述べると、この構想をするからには序盤で▲3六歩を突かせておくことが大事ですね。

これを怠ると居飛車に有力な構想を与え、振り飛車は徹底待機策が取りづらくなってしまいます。詳しい解説は、以下の記事をご覧くださいますと幸いです。

【▲3六歩を突かせないといけない理由】 続きは、こちら!

角交換振り飛車 菅井

さて、居飛車はまだ陣形を発展できるので、▲6六歩→▲6七金右→▲5六歩という要領で自陣を充実させるのが自然ですね。

対して、振り飛車はその間ずっと[△4四銀⇆△3三銀]などでパスを繰り返し、ひたすら待ちます。恐ろしいまでの手損ですが、「打開されなければ関係ないもんね」という姿勢なので、振り飛車はこれで良いのです。(第10図)

角交換振り飛車 菅井

居飛車は堂々たる布陣ですが、戦いを起こすことを考えると容易ではないところがあります。4七の銀が前進する形は見えないですし、▲4五桂と跳ねても△4二銀で無理攻め。銀桂の進軍が難しいので、簡単に打開できる将棋ではないのです。もちろん、居飛車の形勢は悪くありませんが、勝ちに行くとなると大変ですね。

角交換振り飛車 菅井

この徹底待機策は積極性に欠けるのですが、後手番の恩恵を最大限に活かしているので、理にかなっている指し方だと感じます。駒組みが分かりやすいのも魅力的なところですね。後手番振り飛車の主力になり得る可能性は、十分にあるでしょう。

 

その他・相振り飛車

ゴキゲン中飛車は茨の道


29局出現。なお、相振り飛車は8局でした。

対抗型に話を絞ると、角道を止める振り飛車は僅か一局のみ。こういった傾向を見ると、振り飛車は端歩突き穴熊を嫌っていることが窺えますね。

角道を止めない振り飛車で最も多く指されていたのはゴキゲン中飛車です。ただ、ゴキゲンは言うまでもなく超速が強敵であり、長きに亘ってこれに悩まされています。

超速に対して振り飛車は△4四銀型で立ち向かうのが定番の指し方。けれども、これには二枚銀急戦が厄介で、振り飛車は苦慮しているのが実情です。詳しい解説は、以下の記事をご参照くださいませ。

[△4四銀型が苦戦している理由]
2021年6・7月号合併号 無料版

加えて、居飛車は二枚銀ではなく、こういった作戦も面白いですね。

このように、△4四銀型は居飛車に複数の有力策があることから、現環境では支持率が落ちています。かと言って、これ以外の対抗策となると、もっと自信の持てない将棋になりかねません。現環境のゴキゲン中飛車は、とにかく茨の道ですね。


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今回のまとめと展望

 

【なぜ、四間飛車が爆発的に増えた?】

今回、解説した作戦の中では、何といっても角交換振り飛車の徹底待機策が目玉です。現環境の後手振り飛車では、これが最も面白い作戦ではないかと思います。簡単には打開されませんし、玉型も堅さ負けしないことは嬉しいポイントですね。

逆に、先手振り飛車はどれも微妙なところがあります。長らく三間飛車がエースに君臨していましたが、左美濃が強敵で信頼が揺らいでいます。先手中飛車は後手超速が厄介ですし、角交換振り飛車は後手番で使う方が適性が高い戦法です。そうなると、行きつく先は四間飛車ということになってきます。四間飛車が爆発的に増えた理由は、こういった背景がありそうですね。

 

【相対性理論と桂の優位性】

対抗型全般に言えることですが、現環境は居飛車が押し気味に進めている戦型が目立ちます。これは、居飛車側が自身の優位性を活かす指し方を確立していることが要因だと言えるでしょう。

とりわけ、三間対策の左美濃は、それが顕著だと感じます。

三間飛車 対策 左美濃

本文に記したように、互いの囲いの形は全く同じ。しかし、攻めの桂の働きに関しては、はっきりと居飛車が勝っていますね。

振り飛車は戦法の性質上、自分の角が左桂の活用を阻んでいることが殆どです。しかし、居飛車の桂がそうでないことは言うまでもありません。つまり、居飛車は相対性理論を使って他の部分の均衡を保っておけば、桂の優位性の分だけリードを奪えるという理屈が成り立ちます。

他には、耀龍四間飛車対策の金無双急戦もそうですし、後手超速における△7三桂優先型も、桂の優位性を活かした作戦と言えます。先手中飛車の項目では、最後にこの局面での指し手に言及しましたが、こういったことを考慮すると△6五桂と跳んでくる指し方の方がより強敵という感はありますね。

 

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

7 COMMENTS

低段のナオ

いつも参考にしております。
三間飛車対左美濃の基本図で、☗7五歩は居飛車側に射手の構えを作られて模様が悪いのは同感なのですが、基本図で☗5六銀はないでしょうか?対して☖2四歩☗4五銀☖2三銀には☗5四銀、☖4四歩なら☗7五歩から石田流に組めば、将来の☖6四銀を☗6五歩で防げる見込みがつきます。

返信する
あらきっぺ

いつもブログをご覧くださり、ありがとうございます。

基本図から▲5六銀の場合ですが、△4四歩が手強いですね。▲7五歩には△5三銀と上がります。放置すれば射手の構えを作られてしまいますし、▲6五歩には△4五歩と突かれたときに困ります。

このタイミングで銀を上がっても射手の構えを牽制することに結びつかないので、振り飛車としては、これを優先する理由は乏しい感はありますね。

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低段のナオ

ご丁寧な返信、ありがとうございます。
▲7五歩に代えて▲5九角が正着だと思います。飛車の縦利きを通してから▲7五歩とすることで、ご指摘の筋は受かるかと。
とはいえ▲5九角に△6四銀▲6五歩△5三銀で次の△4五歩を狙う筋はありますが、▲9八香と備えれば△4五歩も指しすぎになりそうです。
▲5九角に対して居飛車の有力手などありましたら、何度もすみませんが、ご教授頂けると嬉しいです。

返信する
低段のナオ

最初のコメントで、△4四歩には▲7五歩と書いてしまっていました…
完全に私の書き間違いです。▲5九角と書くつもりでした。二度手間になってしまい、本当に申し訳ありませんでした。

返信する
あらきっぺ

▲5九角△6四銀▲6五歩の変化ですが、そこで△5三銀ではなく、△5五歩と突っ掛けられる変化が手強い印象を持っています。
以下、▲6四歩△5六歩と銀を取り合うことになりますが、その局面は5筋に手が着いていることや△6九銀の筋が残っていることから、振り飛車が大変だと思います。

こういった変化になったとき、急戦に強い左美濃は心強いですね。

返信する
千兆

先手中飛車の局面、5筋にどちらの歩もなく3八銀とあがったところの局面ですが、
そこで居飛車が5五歩打と位を奪還する指し方はあるんでしょうか?
ウォーズ低段だとたまに見かけるんですが・・・

返信する
あらきっぺ

第2図から△5五歩と押さえるのは、穏やかな指し方で一理あると思います。ただ、居飛車はそこに歩を打ってしまうと△6五桂▲6八角△5五銀左という攻め筋を消してしまう嫌いもあるので、一長一短です。

△5五歩は堅実ですが大人しい手でもあるので、振り飛車としてはそこまで怖い手ではないという印象ですね。

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