どうも、あらきっぺです。今年の節分は2月2日なのですね。個人的には、豆をまくという行為に抵抗があるのですが、(だって、食べた方がいいじゃん…)とりあえず豆は買いに行こうかとは思っています。
タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。
前回の内容は、こちらからどうぞ。

・調査対象の将棋は、先月のプロの公式戦から(男性棋戦のみ)。棋譜はネット上や棋譜中継アプリにて公開されているものから収集。全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。
・記事の内容は、プロの公式戦の棋譜を参考にしておりますが、それを元にして筆者独自の研究内容も含まれております。記事内容の全てが棋譜の引用という訳ではありません。
・戦法や局面に対する評価や判断は、筆者の独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、妄信し過ぎないことを推奨致します。
最新戦法の事情 居飛車編
(2020.12/1~12/31)
調査対象局は102局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。
角換わり
△3三金型早繰り銀が要注目!
17局出現。12月に入ってから、ガクンと出現率が落ちました。11月と比較すると、26.1%→16.7%と急落しています。
この数字から読み取れるように、環境に変化が訪れています。まず、先手は腰掛け銀よりも早繰り銀のほうが採用数が多くなりました。具体的には、腰掛け銀は3局、早繰り銀は8局です。これは、腰掛け銀ではなかなかアドバンテージが取れなくなってきていることが主な要因だと考えられます。
腰掛け銀で優位を掴めない理由は幾つかあるのですが、その中の一つに基本形の将棋で攻めが上手く刺さらなくなっていることが挙げられます。詳しい解説は、以下の記事をご参照くださいませ。
最新戦法の事情【居飛車編】(2020年7・8月合併号 豪華版)
こういった事情があるので先手は早繰り銀に鞍替えする動きが活発になっているのです。
なお、早繰り銀も簡単にリードを奪えるとは言えないのですが、この戦型は「玉を固めて先攻する」という将棋に誘導しやすいので、こちらの方が先手番らしい戦い方が出来る印象を持っています。詳細は、下記の記事をご覧ください。参考になれば何よりです。
ただ、現環境では後手にも面白い作戦があり、これが先手を悩ましています。それは、△3三金型早繰り銀ですね。(第1図)
よくある定跡形の将棋は△7七角成と指すものなので、図の△3三角は風変りな一手です。△3三金型早繰り銀を採用する場合は、まず、この手を指しましょう。
既存の感覚では、これは▲同角成と取られて損という認識でした。なぜなら、角換わりにおいて3三にいるべき駒は銀だからです。要するに、後手は愚形になってしまうので冴えないと見られていたのですね。
しかし、[▲3三同角成△同金]と進むと、後手は一手得することが出来ます。(先手は角の移動で手損する)そこで得た手得を活かして速攻に打って出れば面白いのでは? という思想が、△3三金型早繰り銀の骨子となる考え方になります。(第2図)
△3三金型早繰り銀は、まず第2図の形を目指すことが基本です。なお、△9四歩に代えて△4二玉も普通ではありますが、後手は居玉を維持しておく方がバランスが良い意味があります。
さて、先手としては「△3三金」という愚形を咎めに行きたいですね。あの配置の欠陥を突いてしまえば、後手の作戦を根本から打ち崩すことが出来るからです。
そうなると、▲3七桂が最も王道と言えるでしょう。将来▲4五桂と跳べば金に当たるので、通常の角換わりよりも威力が高いですね。
しかし、▲3七桂には、当然後手にも策があります。具体的には、△4四歩▲4八金△5四角が有力な対応。結論から述べると、すでにこの局面は後手が一本取っていますね。(第3図)
早々と自陣角を放っていますが、これがこの戦型における急所の一着です。△3三金型早繰り銀は、この角打ちを使いこなすことがポイントの一つですね。
この自陣角は、いろいろな役割を担っています。まず、△7五歩▲同歩△同銀と攻めて行ったときに、次の△8六歩の威力を高めている意味がありますね。加えて、3六の地点にも利いているので、△3五歩▲同歩△3六歩で桂頭を狙う攻め筋も実行しやすくなっています。
また、この角は受けに関しても良い働きをしています。▲4五歩△同歩▲同桂の攻めを封じつつ2一の桂に紐を付けているので、防御力の向上にも一役買っていることが分かります。このように、△5四角は攻防に働く絶好のポジションなのです。
先述したように、後手は次に△7五歩▲同歩△同銀と攻めて行きます。そうなると、先手は△8六歩と△3五歩の攻め筋を同時に受けることが出来ません。しかしながら、ここで△7五歩を防ぐ術も難しいですね。
つまり、ここで先手は相手の確実な攻めを封じることが出来ないので、すでに思わしくない情勢になっているのです。こうなると、「手得を活かして速攻する」という後手の思惑通りと言えるでしょう。
なお、この作戦の実例としては、第79期順位戦B級1組10回戦 ▲永瀬拓矢叡王VS△山崎隆之八段戦(2020.12.24)が挙げられます。(棋譜はこちら)
これは後手の山崎八段の名局とも言える内容でした。
このように、△3三金型早繰り銀は、後手番ながら先攻しやすい戦法であることが分かります。先手としては、もう少し違う駒組みを行い、後手の攻めを牽制する必要があるようですね。その具体的な手法については、豪華版のほうで解説しております。
矢倉
銀上がりを保留する
33局出現。非常に多い数字です。角換わりを指していたプレイヤーが、こちらに流れてきているのでしょう。現環境では、相居飛車で一番ホットな戦型と言えますね。
33局中、22局が急戦を志向する将棋であり、相矢倉は少数派。これには明確な理由があります。
まず先手目線で話をすると、現環境では急戦矢倉と土居矢倉を併用するのが優秀な作戦です。それゆえ、金矢倉を選ぶ必要性が得にありません。詳しくは、以下の記事をご覧くださいませ。
後手はこれが嫌なので、それを避けるために急戦をします。だから、やはり金矢倉には組みません。なので、相矢倉にはなりにくいのです。
さて、一口に急戦と言っても様々な指し方がありますが、中でも意欲的なのは次の図の将棋です。今回は、この形をテーマに掘り下げて行きましょう。(第4図)
図のように、後手は居玉のまま右桂を優先的に活用しています。こういった駒組みは現代将棋のトレンドであり、もはや普遍的な指し方とも言えます。いわゆる即効性理論ですね。
ただ、ここで△6二銀と上がるのは些か珍しい指し方です。従来は△6四歩と指していました。非常に何気ないところではありますが、この手が後手の新たなる工夫なのです。
ちなみに、後手が△6二銀に代えて△6四歩と指すと、先手は▲7九角と引いてきます。これが後手にとって手強い指し方ですね。(仮想図)
こうなると後手は▲4六角と▲2四歩を同時に見せられているので、陣形を整備する余裕がありません。つまり、否応なしにアクセルを踏まされてしまうのです。具体的には、△6五桂と跳ねることになりますね。
後手はその仕掛けでアドバンテージを取れるのであれば嬉しいのですが、現環境ではそこまで確信の持てる変化ではないという見解が下されているように感じます。景気よく先攻は出来るのですが、基本的に攻めが細いのでハイリスクと言えるのです。詳しい解説は、以下の記事をご参照ください。

こういった事情があるので、後手は△6四歩ではなく、△6二銀と上がっているのです。この指し方をすることで、後手はそういったリスクを軽減できる効果があります。
さて、ここで先手は▲7九角と引くのが自然ですね。これには△3二金で2筋を受けておきます。(第5図)
後手は仮想図の局面で△3二金と上がると、▲4六角で困ったことになるところでした。けれども、この局面なら▲4六角が何でもないので、今度はゆっくりと駒組みを進めることが出来ます。相手から催促されないので、好きなタイミングで△6五桂を実行できるということなのですね。
なお、この作戦の実例は、第33期竜王戦七番勝負第5局 ▲羽生善治九段VS△豊島将之竜王(2020.12.5~12.6)が挙げられます。(棋譜はこちら)
先手は▲4六角と出ても効果が乏しいとなると、駒組みを進めるのが妥当なところではあります。ただ、後手は常に△7五歩▲同歩△6五桂という仕掛けを狙っているので、先手は囲いを作っている途中で攻撃されることを念頭に置かなければいけません。
そういった不安を取り除くのであれば、ここでは▲6九玉△4一玉▲6八角のように、早い段階で角を6八に上がってしまうのが一案ではあります。こうすれば、後手から速攻される心配はありません。事実、▲羽生ー△豊島戦もこの手を選択していました。(第6図)
しかしながら、先手はこの手を指すと駒組みの幅が狭まってしまう弊害があります。なので、後手はそれに満足して、持久戦に移行するのが賢いですね。(第7図)
こういった展開になると、[矢倉VS雁木]という構図に落ち着きます。ただ、先手は角を6八に上がっているので、▲3五歩△同歩▲同角という指し方がやりにくくなっていますね。ゆえに、後手は初めから雁木に組むよりも、ほんの少し得をしていると言えるでしょう。
もちろん、この局面は優劣としては五分ですが、後手は自分のやりたいことは貫けているので、作戦としては納得のいくものだと思います。通常の雁木もよりも条件が良いので、少なくとも気分は良いですね。
このように、△6四歩を保留する作戦は、急戦一辺倒ではないので落ち着いた戦い方も出来ることが特色です。
先手は不用意な組み方をすると後手に動かれてしまいますし、相手の攻めに備えると、駒組みの幅が狭くなってしまいます。現状ではしっくりと来る対策が見当たらず、先手にとって手強い相手だと考えられるでしょう。今後の主流になり得る指し方かもしれませんね。
相掛かり
特に変わらず
18局出現。出現率は11月から16.7%→17.4%と推移しており、採用数の上では目立った変化は見られないですね。
先手は▲6八玉型で▲8七歩と打つ手を保留する作戦が最も多く指されており、これも今までと変わらない傾向です。ただ、この作戦は後手も対策を用意できているので、現環境では互角以上に戦えますね。詳細は、前回の記事をご覧ください。

12月はそこまで大きな動きはなく、以前と変わらない印象でした。
雁木
急戦には居玉で戦え!
16局出現。12月では環境の激しい変化が見られました。
16局のうち、4手目に△4四歩を突いて雁木にするパターンが14局。残りの2局が相雁木。つまり、全ての将棋で後手が積極的に雁木を志向しているのです。
後手雁木は長らく先手の急戦に苦心しており、それゆえ魅力の薄い戦法だと見られていました。一体、どういった変化が起こっているのでしょう?
今回は、この理由について深掘りしていきたいと思います。(第9図)
後手雁木に対する急戦策はいくつかありますが、中でも、先手は[腰掛け銀+左美濃]が優秀です。この作戦は[飛角銀桂]という4枚の攻めで雁木をアタックできるので、破壊力の高さが売りの戦法ですね。
これに対し、今まで後手は△5二金→△4一玉→△3一玉と玉を固めて対抗していました。しかし、結論から述べると、この対応では非勢に陥るのです。(仮想図)
雁木と左美濃では、囲いに費やす手数がまるで違います。先手は少ない手数で囲いを整えているので、その分、攻撃型を充実することが出来ますね。その結果、後手は一方的に攻められる将棋になってしまうのです。
もちろん、雁木はこれで相手の攻めを防ぎ切れるのなら問題ないのですが、この局面から△4五同歩と応じると、跡形もなく粉砕されることになります。詳しい解説は、以下の記事をご参照ください。
要するに、雁木は急戦策に対して玉を固めても、相手に攻められるための的を作っているようなところがあるので、そのプランでは上手くいかないのですね。
そこで、現環境では相手が急戦の姿勢を見せてくると、雁木は全く違う対応を取るようになっています。具体的には、△8六歩から一歩を交換して、△7四歩と突くのが改良案の一つになります。(第9図)
8筋の歩を交換したり、△7四歩を突いたりするのは、自陣の守備力を高める手ではありません。従来の感覚だと、こういった手を指すと受けの態勢が遅れるので、急戦に対処できないだろうと見られていた節がありました。
しかし先述したように、雁木は一生懸命、玉を固めても相手の攻めを凌ぎ切れません。それならば、囲いの完成よりも攻撃力を高める手を選ぶほうが良いと考えるようになったのです。
なお、こういった居玉のまま駒組みを進める指し方の類例としては、第34期竜王戦1組ランキング戦 ▲丸山忠久九段VS△佐藤康光九段戦(2020.12.15)が挙げられます。
ここからの雁木の方針としては、とにかく攻めを重視した手を選ぶことです。囲いの構築よりも、△6四銀→△7五歩などで仕掛けを狙うほうが面白いですね。
この戦型の雁木は、玉を囲ってもそこまで安全度は上がりません。なので、居玉のまま攻めて行く姿勢を取るほうが形勢を損ねにくいのです。
居玉のまま戦いを起こすプランは、抵抗感のある指し方に感じられるかもしれません。けれども、雁木は金銀が中央に集まりやすい作戦なので、実を言うと玉は5筋にいても安全という側面があります。となると、わざわざ玉を囲う必然性がありません。ゆえに、「居玉で戦う」という指し方をしても、そう簡単には祟らないのです。
現環境の雁木は、攻め合うプランで立ち向かえば急戦相手でも十分に戦えます。後手番での採用数が増えてきたことは、この発見が大きいですね。
横歩取り
青野流には早めの△8二飛も有力
8局出現。出現率は、10.9%→7.8%と推移。やや少なくなりましたね。現環境の後手は2手目△8四歩で特に困っていないので、率先して横歩取りを採用する理由が乏しいという話はあります。
先手は相変わらず青野流で対抗するのがポピュラーですね。これに対して後手は、
(1)△4二銀型を作る。
(2)早めに△8二飛と引く。
このどちらかを選ぶ傾向が強くなっています。
なお、△4二銀型を作る指し方とは、以下の図のことを指します。
この指し方は2020年の6~7月頃から注目され始め、今では青野流に対する主流の作戦の一つとなっています。▲4五桂と跳んでくる攻め筋に強いことがメリットですね。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。参考になれば幸いです。
後手は△4二銀型も有力な指し方ではありますが、今回はもう一つのプランである(2)の早めに△8二飛を引く指し方を掘り下げます。これも後手にとって有力な選択肢の一つなのです。(第10図)
あっさりと飛車を引くのは攻撃力を高めていないので、横歩取りらしくない指し方ではあります。けれども、飛車を二段目に配置すれば▲7七角や▲7五角などで両取りを掛けられる筋を回避できる利点がありますね。加えて、二段飛車に構えることで、自陣の守備力が強化されることも自慢です。
後手が早々と下段飛車に構えたことを見て、先手は▲3六飛から持久戦を選ぶ方針も考えられます。しかし、この姿勢なら後手も互角以上に戦えるので、特に怖くはありません。詳細は、以下の記事をご参照くださいませ。
なので、ここで先手は▲3六歩と突いて青野流の姿勢を貫くほうがアグレッシブと言えます。こちらの方が良さを求めやすいでしょう。
これには後手も臨戦態勢に入ります。手始めに、△2六歩と垂らして牽制球を投げるのが定跡化された一手ですね。(第11図)
これは先手に▲2八歩を打たせることがミッションです。2筋に歩を使ってもらえれば、相手の攻撃力を落とすことが出来ますね。また、▲2八歩型という配置は、持久戦になった際にも味の良い形ではないでしょう。
先手は▲2八歩を打てば無難なのですが、相手の言い分を素直に受け入れている嫌いがあるので、軟弱という感があることも確かです。
先手としては、この垂れ歩を無視して良さを求められるのであれば、△2六歩を真っ向から咎めることが出来ます。すなわち、▲3七桂と跳んで攻め合いを挑むほうが青野流らしい指し方と言えますね。これが成立していれば、後手の△2六歩は悪手だったということになります。(途中図)
後手は△2六歩を打った以上、△2七歩成と指すのは当然です。以下、▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛▲4五桂△8八角成▲同銀△3七とと斬り合います。
最終手の△3七とも過激な一手ですが、このと金を活用しないと先手陣にプレッシャーを与えられません。ここは怯まずに攻め合う必要があるのです。(第12図)
なお、この局面の実例としては、第62期王位戦予選 ▲長谷部浩平四段VS△飯島栄治七段戦(2020.12.23)が挙げられます。
さて、この局面は[桂の活用VSと金]という構図ですね。先手としては、あの桂を活かして後手陣を攻略したいところです。候補としては、
(1)▲5三桂成
(2)▲5六角
(3)▲2二歩
この三つです。どれも一理ある手で、それぞれ一長一短なところがあります。詳しくは、豪華版のほうで解説しております。ご興味があれば、以下のリンクからご覧くださいませ。
なお、結論のみ述べると、この局面で先手が良さを求めるのはなかなか大変です。早い△8二飛から△2六歩を咎めるは、後手にとって有力な指し方の一つと言えるでしょう。
その他の戦型
一手損角換わりが消えた
10局出現。相居飛車の力戦形や陽動振り飛車などが指されていました。
気になる点としては、一手損角換わりを見かけなくなったことです。12月では僅か1局しか出現しませんでした。11月も4局しか指されていなかったので、現環境では人気が無いようです。
ただ、消えてしまった理由については、正直なところ謎です。もう少し多くの棋譜を見てみないと、分かりかねますね。
序盤の知識をもっと高めたい! 常に作戦勝ちの状態で戦いたい! という方は、こちらをご覧ください。
参考 最新戦法の事情【居飛車編】(2021年1月号 豪華版)
最新の戦術には興味があるけど、どう指して良いのか分からない。どうしてプロがこういった指し方をするのかを知りたい。そういったお気持ちがある方には、うってつけのコンテンツとなっております。
有料(300円)ではありますが、その分、内容は深堀しております。よろしければご覧ください!
今回のまとめと展望
【現環境は先手に苦労が多い】
現環境では、先手番の利を生かせる戦法が、あまり見当たりません。角換わりは強敵が多いですし、矢倉は△7三桂を優先する急戦が厄介です。
また、雁木や横歩取りは先手が攻勢に出やすい戦型ではありますが、これらの戦法は後手の守備力が向上しているので、簡単には良くなりません。現環境の先手番は、「良さを求める」という姿勢は高望みなのかもしれないですね。
【あえて金銀をくっつけない】
後手が善戦している理由の一つに、「守備力の向上」が要因として挙げられます。その立役者となっているのが、二段飛車の存在ですね。
例えば、これは△3三金型早繰り銀の変化の一つですが、後手の飛車が大きく自陣に利いていることが分かります。これは二段目に駒を配置しないからこそ作れた状況であり、可動性理論を存分に発揮した指し方とも受け取れます。
他には、雁木の将棋もそうですね。
後手は5三の銀が浮いているので、△5二金を優先したくなるところではあります。しかし、このように飛車の横利きを通している布陣のほうが、現環境では優秀と見られているのです。
もちろん、金銀を連繋させて守備力を高めるのは基本なので、これを疎かにしてはいけません。しかし、飛車の横利きを使ってバリアーを張れば、広範囲をケアすることが出来ます。
金銀をくっつけると囲いが堅くなる利点はありますが、それによって飛車の横利きを止めてしまうと、広範囲のバリアーを張れなくなってしまうデメリットもあるのです。現環境では、そういったことを強く意識している節を感じますね。
それでは、また。ご愛読ありがとうございました。良いお年を!