最新戦法の事情【居飛車編 春季号】を公開しました。詳細は、ここをタップ!

最新戦法の事情・居飛車編(2021年2・3月合併号)

居飛車 最新

どうも、あらきっぺです。桜の季節ですね。毎年きちんと花を咲かせて立派な姿を見せるのですから、自然って偉大だなぁと感じたりします。その点、人間はどうなんでしょうね笑

 

タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。

前回の内容は、こちらからどうぞ。

最新 居飛車最新戦法の事情・居飛車編(2021年1月号)

 

注意事項

 

・調査対象の将棋は、先月のプロの公式戦から(男性棋戦のみ)。
棋譜はネット上や棋譜中継アプリにて公開されているものから収集。
全ての公式戦の棋譜を見ているわけではありません。ご了承ください。

 

・記事の内容は、プロの公式戦の棋譜を参考にしておりますが、それを元にして筆者独自の研究内容も含まれております。記事内容の全てが棋譜の引用という訳ではありません。

 

・記事中に記載している出現率は、小数点第二位を四捨五入した数字になります。

 

・戦法や局面に対する評価や判断は、筆者の独断と偏見が多分に混じっております。当記事の内容を参考にして頂けるのは執筆者としては光栄ですが、妄信し過ぎないことを推奨致します。

 

最新戦法の事情 居飛車編
(2020.1/1~2/28)

 

調査対象局は176局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。

 

角換わり

先手が試行錯誤している


42局出現。今回の期間では、一番多く指された戦法でした。

角換わりと言えば、腰掛け銀が最も王道の作戦ですね。なので、先手は基本形の将棋で良ければ、何も悩むことはありません。

ですが、現環境で基本形の将棋に持ち込むと、△6三銀と引かれたときに先手は良さを求めにくいという事情があります。

角換わり 後手の有力策

先手は打開に困るという訳ではないのですが、リードを奪うとなると容易ではありません。それゆえ、現環境ではこの形を先手が避けている傾向があるのです。詳しい理由につきましては、以下の記事をご覧くださいませ。

最新戦法の事情【居飛車編】(2020年7・8月合併号 豪華版)

 

なので、このところの先手は基本形を目指していません。代わりに有力株として浮上しているのが、この指し方です。(第1図)

角換わり 最新

ご覧のように、まだ駒組みの形が定まっていない段階で▲1六歩を指すのが最近の流行りですね。従来では、こんなに早く端歩を突くことはありませんでした。これは一体どういう狙いなのでしょう?

角換わり 最新

後手は△1四歩と歩調を合わせるのが自然ですね。ただ端歩を突き合っただけに見えますが、この交換が入ると先手は、以下の局面を目指して動いてきます。

角換わり 最新

[▲3八銀・▲4九金型]の構えで、颯爽と桂を跳んでいくのが優秀な作戦です。後手の駒組みが整う前に仕掛けることで、リードを奪ってしまおうという訳ですね。根底には、[△6二金・△8一飛型]に組ませないという趣意があります。

角換わり 最新

一見、こんな仕掛けでは攻めが細く頼りないようですが、端を攻める含みがあるので先手の仕掛けは成立しています。詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。

最新戦法の事情【居飛車編】(2020年10月号 豪華版)

 

このように、後手は早い段階で1筋の突き合いが入ると、先手からの速攻を警戒しなければいけません。そこで、近頃では、より慎重に駒組みを進めるようになりました。(第2図)

角換わり 腰掛け銀

先手が桂ポンの速攻策を見せてきた場合は、図のように△5二金型に構えるのが堅実な姿勢です。こうすれば中央が堅いので、▲4五桂と跳ばれても怖くありません。

角換わり 腰掛け銀

ただ、この手を指すと、後手はスムーズに[△6二金・△8一飛型]には組めないですね。よって、先手はそれに満足して腰掛け銀の将棋に戻してきます。つまり、▲4七銀△7三桂▲2九飛という手順です。

前述したように、先手の作戦は[△6二金・△8一飛型]に組ませないことが趣旨でしたね。なので、△5二金型に組んでもらえれば既にミッションは達成しているのです。猪突猛進に攻め込むだけではないところが、この作戦の優秀たる所以です。(第3図)

角換わり 定跡

さて、ここから後手は△6二金▲4八金△8一飛と組むのが自然です。こうすれば、一手損ながら理想形である[△6二金・△8一飛型]に組めますね。

なお、これは筆者が「一手パス待機策」と呼称している指し方です。これも後手にとっては有力な作戦の一つではあります。ただ、先手はあくまで基本形の将棋を嫌がっているのであり、「一手パス待機策」なら相手をしても構いません。なので、その進行なら先手に不満はないと言えるでしょう。

角換わり 定跡

なので、この局面になると先手は作戦が成功していると考えられていたのですが、ここで後手は思わぬアイデアを捻り出します。△6二金▲4八金に、ふわっと△8四飛と浮くのが面白い工夫ですね。(第4図)

角換わり 最新

これは△8四飛型で戦うという意味ではなく、手数を調整するためのパスです。すなわち、ここで先手が▲5六銀を指すと、△8一飛と引きます。その局面は、基本形の将棋に合流していることがお分かりでしょうか。

角換わり 定跡

後手は[△5二金→△6二金]と[△8四飛→△8一飛]という動きをしたので、合計二手損。そして、基本形から△6三銀と引く将棋も、銀の動きで二手損していますね。そう、手の損得に関しては全く同じなのです。

要するに、後手は一手損ではなく二手損する格好になれば帳尻が合うので、例の局面に誘導することが出来るのです。そうなれば、先手の思惑を外すことが出来るので満足という理屈なのですね。

角換わり 最新

 

それでは、話をまとめます。現環境は、後手は基本形に持ち込みたい、先手はそれに持ち込まれたくないので一生懸命に変化する、という流れになっています。そのため、ここ最近の角換わりは定跡型ではなく、類例の少ない不定形の将棋になることも珍しくありません。判で押すように腰掛け銀に組んでいた時代とは、もう違うのです。

角換わり 最新

今は先手が試行錯誤している段階であり、この早い▲1六歩はその一環です。ただ、上記のように後手もしっかり先手の打ち出す作戦に対応しており、十分に対抗できています。それゆえ、今後も先手はいろいろな策を捻り出していくことになるでしょう。今後が見物ですね。

 



矢倉

角の運用で差をつける


39局出現。出現率は12月から32.4%→22.2%と激減しています。この数字が示すように、最近は矢倉の人気に陰りが出ている風潮がありますね。

現環境で先手を悩ましている作戦の一つが、この構えです。(第5図)

矢倉 最新

△7四歩と△6四歩を優先して、急戦と持久戦の両方の含みを見せる作戦が手強い相手です。この作戦は一時期、下火になっていましたが、このところ復活傾向にありますね。

矢倉 最新

さて、先手がこの作戦を真っ向から咎めにいくのなら、▲2四歩△同歩▲同飛と進め、横歩取りを狙うのが一案です。ただ、そこで△8五歩と伸ばすのが後手の有力株。これが横歩取りを牽制する一手になります。(第6図)

居飛車 最新形

△6二銀型のまま8筋の歩を伸ばすのが隠れたポイントで、これが後々、大きな意味を持ちます。ここで先手は▲3四飛と歩を取って良ければ嬉しいのですが、現実は容易ではありません。詳しい解説は、以下の記事をご覧くださいませ。

最新 居飛車最新戦法の事情・居飛車編(2020年12月号)

 

矢倉 最新

横歩取りが上手くいかないのであれば、先手は▲2四歩を指す理由が乏しいと言えます。

そうなると、第5図での代案は▲4八銀が妥当でしょう。対して、後手は△7三桂と跳ねて攻めの姿勢をチラつかせます。これには▲7九角△8五歩▲6八角と指して、速攻に備えるのが定跡化された対応ですね。(第7図)

矢倉 定跡

後手が△7三桂と△8五歩を指してきたら、▲6八角型に構えるのが大事なところです。これを怠ると△6五桂▲6六銀△8六歩という仕掛けを誘発するので、先手は非勢を招きます。

逆に▲6八角さえ上がっておけば、△6五桂で一潰しにされる恐れはありません。この仕組みは、この戦型における重要なセオリーなので、是非とも銘記して頂きたいところです。

矢倉 定跡

後手は攻めの糸口を封じられたので、ここからは急戦一辺倒ではなく、持久戦も想定した駒組みを行うことになります。

そうなると△3三角で2筋を受けるのが一案ですが、今回は△2二角型を活かした指し方を解説しましょう。具体的には、△4二銀▲6九玉△3三銀▲5六歩△6五歩が有力ですね。素早く6筋の位を取ってしまうのが面白い指し方なのです。(第8図)

矢倉 最新

こうなると先手は金矢倉に組めないので、じっくりとした将棋には持ち込みにくいですね。明らかに後手の方が進展性が高いので、駒組み合戦では旗色が悪いのです。

このあと後手は△3一角と引き、その角を6四に運ぶことを念頭に置いて駒組みを進めることになります。そういった状況になれば、後手は作戦勝ちが期待できるでしょう。先手の角よりもスムーズに好位置へ運用できることが後手の自慢ですね。

 

矢倉 最新

なお、この作戦の実例としては、第70回NHK杯準々決勝第4局 ▲羽生善治九段VS△斎藤慎太郎八段戦(2021.2.28放映)が挙げられます。(棋譜はこちら

この将棋は、先手が角を良いポジションに運ぶことに苦心していた節があり、後手の思惑通りという印象でした。

 

この後手の作戦は、

STEP.1
△6二銀型を維持して横歩取りを牽制
STEP.2
△8五歩と△7三桂を指し、▲6八角を強要
STEP.3
角を固定させたので、位を取って持久戦

という組み立てになっていることが分かります。先手に自由な駒組みを許さないことがこの作戦のメリットだと言えるでしょう。

 

矢倉 最新

現環境は、この後手の作戦に対し、先手がやや苦心している印象を受けます。急戦を警戒すれば一潰しにされる心配は無いですが、駒組みの幅が狭いので持久戦にシフトされたときに課題が残っているのです。

はっきりと作戦負けに陥る将棋ではありませんが、先手番の優位性を活かせる展開にはなりません。そういったところに、採用率が減少した理由があるのかもしれませんね。

 

相掛かり

端歩のやり取りが鍵


36局出現。出現率は20.5%であり、12月と比較すると3%ほど上がりました。矢倉とは打って変わって、こちらは支持が高まっているようですね。

先手番の相掛かりは、▲8七歩と打つ手を省略して駒組みを進める作戦が有力視されています。この指し方を採用されると、後手は主導権を握られやすいことが悩みでしたが、現環境では風向きが変わりつつあります。というのも、先手の作戦を真っ向から咎める手法を編み出したからです。(第9図)

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横歩を二枚ともパクパクと取ってしまうのが、このところ注目を集めている指し方ですね。何とも貪欲ですが、これは先手が早めに▲7六歩や▲3六歩を指したことや、▲8七歩と打って飛車を追い払わなかったことを咎めている意味があります。

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なお、後手がこのように横歩を二枚取るためには、端歩のやり取りが大きな意味を持ちます。特に1筋が重要ですね。詳しい理由は、こちらの記事をご参照ください。参考になれば何よりです。

最新戦法の事情【居飛車編】(2020年12月号 豪華版)

相掛かり 最新

さて、今はお互いの飛車が中段にいて流動的な局面ですが、これが収まってしまうと先手は歩損が響いてきます。

よって、先手は激しい流れを持続させる手が求められています。具体的には、▲8二歩△9三桂▲8一歩成△同銀▲1五歩が挙げられるでしょう。(第10図)

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これを△同歩ならば、▲2三歩△1三角▲8四飛△8二歩▲1五香で一丁上がり。このように、端の突き捨てが入ると▲2三歩と打つ攻めの威力が上がるので、先手の攻めが炸裂します。

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しかし、そうは問屋が卸しません。▲1五歩には△3四歩▲1四歩△2三歩が手強い受け。結論から述べると、これで先手は動きを封じられてしまうのです。(第11図)

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これには▲2七飛と引くのが妥当ですが、△1六歩と通せんぼされたときに先手は困ります。香の利きを遮断されると端を攻めることが出来ないので、1筋を取り込んだ意味が無くなってしまうことが辛いですね。

第11図は先手の攻めが空転しており、歩損の代償がありません。ゆえに、この局面は後手が有利と言えるでしょう。途中の△3四歩が飛車の働きを抑制する好手です。先手は飛車を下段に移動させられると、どうも攻めが続かないのですね。

 

相掛かり 最新

このように、第9図の局面になると後手は満足に戦えます。という訳で、先手はこの局面に至る前に工夫を凝らす必要がありますね。そのアイデアについては、豪華版をご覧ください。気になる方は、以下のリンクからどうぞ。

最新戦法の事情 【居飛車編】(2021年2・3月合併号 豪華版)

 

雁木

後手側に良い風が吹いている


25局出現。後手番で採用されるケースが圧倒的に多く、(21局)2手目△3四歩系の居飛車における主力戦法となっています。

後手雁木に対して先手は、急戦でアドバンテージを取りに行くのが王道です。例えば、[左美濃+腰掛け銀]という布陣に組むのが有力ですね。(参考図)

画像77

ただ、現環境では雁木が良い駒組みを編み出したことにより、この作戦は攻めが突き刺さりにくくなっています。詳しい解説は、以下の記事をご参照くださいませ。

最新 居飛車最新戦法の事情・居飛車編(2021年1月号)

 

そこで、先手は腰掛け銀ではなく、早繰り銀を採用する動きも目立ちます。元々、雁木に対しては、こちらの方が主流でもありました。今回は、この戦型にスポットを当ててみたいと思います。(第12図)

雁木 定跡

ここから先手は▲4六銀△7四歩▲3五歩と仕掛けるのが候補の一つです。ただ、これは将来△4五歩と突く手が銀に当たるので、攻めが上手くいく保証がありません。先手は銀を4六から出すと、そういった弊害を抱えます。

雁木 定跡

では、▲3五歩△同歩▲4六銀はどうでしょう。歩を突き捨てることで攻めを加速させようという訳ですね。確かにこうしておけば、銀が3五へ進みやすくなります。

しかしながら、これも後手に正しく対応されると、先手がアドバンテージを取るのは容易ではありません。詳しい内容は、下記の記事をご覧頂けますと幸いです。

最新戦法の事情【居飛車編】(2019年11月号 豪華版)

雁木 定跡

そこで、昨今では▲2六銀と出るほうが主流です。こちら側から銀を出せば、△4五歩の反発は怖くありません。

したがって、これには後手も違うプランで対抗することになります。具体的には、△5四歩が棒銀に対応した一手ですね。(第13図)

雁木 定跡

これは角の通り道を作った意味があります。棒銀は飛車のコビンが開くことが弱点なので、後手は角を6四に配置することで先手の攻めを牽制しようという腹積もりなのです。

雁木 定跡

すなわち、ここで▲3五歩には△4二角▲3四歩△6四角で迎撃します。こうなると先手は銀を3五へ繰り出す展開にはならないので、攻めがスムーズに進みません。

この変化から読み取れるように、後手は△4二角→△6四角で先手の攻めを牽制してきます。ゆえに、先手はそれを見越して攻め筋を組み立てることが必須ですね。

雁木 定跡

例えば、▲4六歩△4二角▲4五歩が考えられます。これは後手の角が3三から移動したことを逆用していますね。

しかし、現実は簡単ではありません。なぜなら、▲4五歩と突っ掛けても後手は△6四角と出ることが可能だからです。(第14図)

雁木 定跡

後手は▲3七銀と引かせてから△5三銀を上がろうとしています。そう進めば棒銀を引かせているので、もう2筋を突破される恐れはないでしょう。

なお、この進行の類例としては、第69期王座戦二次予選 ▲八代弥七段VS△中村修九段戦(2021.2.24)が挙げられます。

この将棋は、先手の棒銀が捌けないまま終局しており、後手の成功事例とも言える内容でした。

 

雁木 最新

このように、現環境の雁木は、受けの方法が確立されているので、先手に急戦を決行されても潰れなくなっています。受け身になりやすい将棋ではありますが、形勢としては互角をキープできます。先手にとっては、厄介な相手と言えるでしょう。

 

横歩取り

工夫を凝らした相横歩取り


15局出現。たくさん指されている訳ではありませんが、この戦型は環境の変化が激しいので、居飛車党にとっては常にマークしておくべき戦型の一つです。

横歩取りは、青野流や勇気流のような▲3六飛と引かない作戦への対処が課題ですね。今回は、それらの作戦を回避する指し方を掘り下げたいと思います。(第15図)

横歩取り 最新

近頃では、このタイミングで玉を上がる手が注目されています。これが青野流を避ける面白い作戦ですね。△3三角型にしなければ▲3七桂→▲4五桂が空振りになるので、青野流を避けることができるという理屈です。

横歩取り 最新

さて、これに対して先手が穏便に▲3六飛と引くと、後手は△3三角▲2六飛△2二銀でよくある△3三角型の将棋に戻してきます。

局面としては五分ですが、こういった展開は後手の方が攻勢に出やすいので、息苦しさは感じません。後手はあくまで青野流(勇気流)が怖いのであり、▲3六飛と引く姿勢なら嫌ではないのです。

横歩取り 最新

という訳で、先手としては△3三角を後回しにしている弊害を突くことで、後手の作戦を咎めたいですね。そうなると、▲2四飛が考えられるでしょう。

ただ、これには△7六飛で横歩を取られる手が少し気になります。(第16図)

横歩取り 最新

基本的に、これには▲8四飛と回って対応することを考えたいですね。△8八角成を防ぎつつ、△8二歩を強要できるので味が良いからです。

しかし、先手は直前に▲2四飛と指しているので、ここで▲8四飛と指すのは些か抵抗があるでしょう。後手はそういったことを見越して△7六飛を指しているのです。

横歩取り

ちなみに、こういった相横歩取りの姿勢は、青野流に対しても採用は可能です。しかし、[△2二角・△4二玉型]比較すると、はっきり見劣りしますね。

仮想図で後手は居玉であり、先手は▲5八玉型です。その上、飛車もスムーズに8四へ移動できるので、これは喜んで▲8四飛と指せる状況です。この指し方は後手にとって条件が悪く、良い理屈がありません。

横歩取り 最新

これを踏まえると、第16図の先手はずいぶんと損な条件で横歩を取られていることが分かります。このように、後手はタイミングをズラせば条件の良い形で相横歩取りの将棋に持ち込むことが出来ます。これが早い△4二玉の狙いなのですね。

横歩取り 最新

△2二角型で△4二玉と上がる作戦は、青野流を回避しつつ、既存の相横歩取りよりも得した局面を作りに行けることがメリットです。まだまだ実戦例は少ないですが、要注目と言える作戦ではないでしょうか。

 

その他の戦型

後手は策を弄する必要が無い


19局出現。この中では一手損角換わりが最も多く指された戦型でしたが、それでも6局の採用に止まりました。基本的には、下火と言えます。

現環境の後手は作戦に困っておらず、持ち球が充実しています。ゆえに、わざわざ力戦系統の作戦に手を出す必要性が無いという感がありますね。

 


お知らせ

序盤の知識をもっと高めたい! 常に作戦勝ちの状態で戦いたい! という方は、こちらをご覧ください。

参考 最新戦法の事情【居飛車編】(2021年2・3月合併号 豪華版)

 

最新の戦術には興味があるけど、どう指して良いのか分からない。どうしてプロがこういった指し方をするのかを知りたい。そういったお気持ちがある方には、うってつけのコンテンツとなっております。

 

有料(300円)ではありますが、その分、内容は深堀しております。よろしければご覧ください!

 

今回のまとめと展望

 

【現環境は、後手が気楽】

多くの戦型で後手側の工夫が目立っており、現環境は先手がリードを奪える作戦が見当たりません。それゆえ、後手番のほうが気楽な環境と言えるでしょう。

2手目△8四歩にせよ△3四歩にせよ、後手はどちらも困っていないですね。かなり戦型選択の自由度が高い環境になりつつあります。

 

【要注目は、雁木?】

後手番での雁木は長らく急戦に苦労していましたが、現環境では悪くなりません。となると、先手番で採用する動きが活発になっても不思議ではないと言えます。

加えて、現環境では2手目△8四歩に対し、[矢倉・角換わり・相掛かり]のどれを採用しても明確には良くできないという事情もあります。ゆえに、第四の選択肢である雁木が主流になっていく可能性もあるでしょう。

画像117

なお、先手雁木は相雁木に持ち込まれたときに千日手になりやすいことがネックなのですが、それがクリアできれば非常に有力な選択肢になり得ます。先手番での救世主になり得るかどうか、要注目ですね。

 

それでは、また。ご愛読いただき、ありがとうございました!

2 COMMENTS

M.Mぼんちくん

 いつも興味深く読ませていただいています。
 ところで、今回の矢倉の第5図から▲48銀△73桂▲69玉△85歩▲56歩とするのは、やはり△65桂がきついのでしょうか?以下、▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲55歩でどうでしょうか?△86歩と合わせてくれば▲24歩△同歩▲同飛として、次の▲77歩を見せれば先手もやれそうな気がするのですが…。
 不勉強ですみませんが、▲55歩の局面での後手からの攻め方をご教示いただければ幸いです。

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あらきっぺ

はじめまして。いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

さて、ご質問の件ですが、結論から述べると先手陣は崩壊します。具体的には、△7八飛成▲同玉△8七歩成▲同玉△8六歩▲同玉△7八金という強襲が厳しいですね。

矢倉 ポンポン桂

また、後手はもっと良い条件で仕掛けを狙ってくるかもしれません。すなわち、桂を跳ねる前に△7五歩▲同歩の突き捨てを入れておけば、▲7七歩で飛車を捕獲される心配はありません。他には、△4二銀から陣形を整備するのも一考です。

先手としては、常に△6五桂が跳んでくる仕掛けを見せられ続けていると、満足に駒組みを進めることが出来ません。形が決まってしまうのは癪ではありますが、やはり早めに▲6八角型に構えるのは致し方ない感もありますね。

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